疑惑の側近を法相に強行任命

疑惑の側近がついに法相に就任した。9月9日、韓国の文在寅大統領が最側近で大学教授のチョ・グク氏を新しい法相に任命した。

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名門大学への娘の不正入学など、むいてもむいても明らかになる疑惑の数々から“たまねぎ男”と揶揄されるチョ・グク氏。

疑惑の人物の法相就任をめぐっては、韓国の世論も真っ二つ。加えて自身の妻も私文書偽造の罪で在宅起訴されるという異例の状況下で、なぜ文大統領はチョ氏の法相起用にこだわったのだろうか?

こだわりの原点 実は8年前に…

実は、今から8年前にも…チョ氏を笑顔で法相に推す文氏の姿があった。
女性からの歓声に包まれて登場したタートルネックのハンサム男性。多くの疑惑の渦中にありながらも今日、法相に就任したチョ・グク氏だ。約8年前、大統領になる前の文氏がチョ氏と検察改革のシンポジウムに出席した際の映像だ。

チョ・グク氏:
(もし大統領になったら文氏は)誰を法相に指名しますか?

文在寅氏:
皆さん、(法相に)チョ・グク教授はいかがでしょうか?

自分なんて…という身振りを見せながらもまんざらでもなさそうなチョ・グク氏。

あれから8年、チョ・グク法相の誕生は現実のものとなった。9日の任命式直後、文大統領は…

文大統領:
本人が責任を負わなければならない明白な違法行為が確認されていない。疑惑だけで任命しないならば悪い先例になる
検察は検察のすべきことをして、法相は法相のすべきことをしていくならば、それもまた権力機関の改革と民主主義の発展を見せることになる。

こう話し、選挙公約である検察改革への意思を改めて強調し国民に理解を求めた。

強行任命に揺れる韓国世論

しかし、文大統領を支持する若年層からの反発もあって韓国の世論は真っ二つに割れている。

任命反対の韓国国民:
家族の疑惑で清廉と言えない状況ではないか。法相任命強行は独断的だったと思う。

任命賛成の韓国国民:
調べて疑惑がない人がいるだろうか。人間と政治は違うものだから、文大統領が良い判断をしたと信じて肯定だ。

韓国検察は、新たにチョ氏の家族による約1億3000万円もの不透明な投資について、資金を運用する会社と投資先の会社の代表2人について横領などの疑いで拘束令状を請求した。

就任式に臨んだ渦中のチョ・グク氏は…

チョ・グク新法相:
個人的に難しい状況で、重大な役目を引き受けることになりました。若い世代が私を踏み越えていけるように、絶えず努力するという誓いを先に明らかにします。

式典には検察トップのユン・ソクヨル検事総長は出席しておらず、法相と検察との緊張関係は続く。

法相強行任命のウラに何が?…

木村拓也アナ:
チョ・グク氏をめぐっては様々な疑惑がある。チョ氏の妻が、娘の大学進学に絡む私文書偽造で在宅起訴されている。他にも家族が投資した投資ファンドの関係者、代表らが拘束令状を請求されている。こういう中で、文大統領はチョ氏を法相に任命している。

フジテレビ・風間晋解説委員:
矛盾しているように思われれるかもしれないが、文在寅政権の実質的な延命のためにやっていると思う。
大統領の任期はあと2年半で、検察改革の同志であるチョ氏を法相に起用して岩盤支持層に訴えていく。それが政権をじり貧にしないためのプランAだと思える。
チョ氏に疑惑があったとしても、今は前に向かって全力疾走して疑惑から逃げるしかないわけで、文大統領にとってはチョ氏はあと2年半の大事なランニングメイトではないかと受け止めている。

コメンテーター・山田秀雄氏:
私も基本的には延命の考え方が根底にあると思う。今回の任命に関して、チョ氏は文大統領の側近中の側近で、しかも本人が疑惑を否認している。ここでもし任命しないと、疑惑を肯定したことになる。
しかも「無罪推定の原則」があって、当然ながら任命したうえで検察と法務大臣の戦いになって、結果的に黒になったりすると、より早く文在寅政権が崩れることになるかもしれない。
検察と政権の対立構造がどうなるのかも気になるが、国民が、世論がどう変わっていくのかも注視していきたいところだ。

(Live News it! 9月9日放送分より)