近年、高価な盆栽を狙った窃盗事件が増えている。
5月8日には熊本で1880万円相当の盆栽が被害に遭い、店の防犯カメラが約30分間の用意周到な犯行を捉えていた。ある盆栽園の関係者は「東南アジアでの需要の高まり」が影響していると話す。そのような状況もあり、被害対策として、GPSを埋め込む店も多いという。番組では、GPSを使って犯行を追跡し、窃盗犯を自ら突き止めたという人物を取材した。

「真柏と黒松を狙いピンポイントで…」

5月8日に撮影された熊本にある盆栽専門店の防犯カメラ映像。

深夜1時30分すぎ、突如画面に人影が映り、その人影が棚に近づくと、盆栽を持ち上げて画面の奥へと去って行った。

さらにその5分後にも、棚に並ぶ盆栽を、左手で一つ、そして右手にもう一つ、両手に持って逃走した。

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「雅松園」佐々木勇星オーナーは、「30分くらいの犯行だったんですよ。盆栽を置く棚場があって、そこの一部分の棚がごっそりいかれてて…」と振り返る。

映像を見ると、1カ所を集中的に物色しているのが分かる。

佐々木オーナーは、「『真柏』っていう樹種のものと、『黒松』っていう樹種のものを特定して、ピンポイントに盗んできたんじゃないかな」と指摘する。

約30分間に盗まれた盆栽は33点、被害額は1880万円にのぼるという。

盆栽にGPSを仕込んで犯人を…

日本盆栽協同組合によると、2023年12月以降、全国で連日、盗難被害が報告されているという。いったいなぜ今、盆栽なのか?

番組は、窃盗犯を自ら突き止めたという人物を取材した。

事件は2024年3月神奈川県で起きた。

被害に遭った盆栽園の関係者は、「70個ほどの盆栽を置いていた中で、小ぶりで葉っぱのボリュームがあるもの、特に、海外で人気の『黒松』や『真柏』などが盗まれました」と説明する。

被害額は7鉢で計530万円相当で、その中には樹齢約200年、140万円の貴重な盆栽もあったというのだが、店主は「高価なものを中心に、GPSを仕込んでいました」と話す。

盗難が増えていたことから、近年、位置が追跡できる小型のGPSを盆栽に仕込んでいる業者も多いという。

「その日、同じ県で盗難被害があったと聞いて、急いでGPSを確認してみたら、なぜか愛知県にあったんです」

そのときの追跡画面を見せてもらうと、絵文字が表示されている地点が、GPSを仕込んだ盆栽があることを示している。

そこは、神奈川から約300キロ離れた愛知県だった。

「いやな予感がして、警察に連絡して向かってもらったんです。そしたら、段ボールに入った盆栽を見つけたそうです」

事件発生の数日後、愛知県内の配送センターで見つかったのは、段ボールに入った140万円の黒松だった

ベトナム国籍の男が複数事件で逮捕される

そして4月25日、窃盗の容疑でベトナム国籍の日本語学校の学生(20)ととび職(33)の2人の男が逮捕された。

さらに、5月8日にも、別の盆栽の窃盗容疑で逮捕されたのは、ベトナム国籍の男。

逮捕されたのがいずれもベトナム国籍の男だったのは偶然なのか?

関係者によると、近年東南アジアで需要が高まっているという日本の盆栽。それに伴い、日本国内での窃盗被害も増えているのだという。

「盗まれるというより、誘拐されたような感覚です。何年も手塩にかけて育てて、二度と同じものは作れないですから」
(「Mr.サンデー」5月19日放送より)