新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられてから、1年が経ちました。感染状況は落ち着きを見せていますが、感染者や重症化する患者が増えるかどうかは、夏にかけてが一つのポイントとされています。今後の動向について、専門医に聞きました。
  
話を聞いたのは、福井大学病院で感染症を専門とする酒巻一平医師です。
 
福井大学病院・酒巻一平医師:
「感染者はかなり少なくなってきている。定点観測で、一医療機関あたり一週間に2人程度。重症の人はほとんどいない」
 
行動制限もなくなり、5類移行後も続けられてきたワクチン無料接種などの公費支援は、2024年3月末で終了していますが、治療薬にかかる自己負担も増えることを酒巻医師は危惧しています。

福井大学病院・酒巻一平医師:
「治療に使う抗ウイルス薬は内服が3種類あって、4月から保険適用になった。薬のうち2種類は10万円弱するので自己負担3割で3万円弱、もう一種類が5万2000円なので3割負担で1万6000円弱かかり、かなりの自己負担。これにより飲まなくなる可能性が高い」

治療薬は後遺症のリスクも下げる効果があり、重症化リスクの高い高齢者や高血圧、糖尿病などの基礎疾患のある人に勧めたいとしていますが、費用の問題から選ばれない恐れもあるというのです。また、重症化リスクを防ぐためのワクチン接種についても7000円以上の自己負担が発生するため、接種控えも懸念されています。
  
加えて、例年、夏と冬に感染拡大の傾向にあることから、この夏にも感染のピークが訪れるのではないかと酒巻医師は予測します。
 
福井大学病院・酒巻一平医師:
「8月に感染ピークが来た時に重症がどのくらいか、医療への影響があるかということ。医療に影響がなければ、コロナは普通の風邪になっていくし、ここで重症患者が増えて医療に負担がかかれば、今後の戦略を考えないといけない」

公費支援がなくなって初めて迎える夏。今後の感染状況にも注視していく必要があります。

福井テレビ
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