他者との接触を避けたい...新型コロナの影響は手袋にまで

感染が拡大する新型コロナウイルスの予防対策として、私たちができることの一つが衛生管理の徹底だ。

厚生労働省は特設ページで「新型コロナウイルスに関するQ&A」を公開しており、そこでは石けんによる手洗いや消毒用アルコールでの手指消毒、混雑した場所を避けるなどの対策も呼びかけている。詳細については、編集部でもすでに取り上げているので、こちらを確認してほしい。
(参考記事:【新型コロナウイルス】 疑問に答えるQ&A…厚労省や首相官邸が公開中

厚生労働省の特設ページより
厚生労働省の特設ページより
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とはいえ、街には不特定多数の人が触れるものであふれていることも事実。

電車のつり革やドアノブ、エレベーターのボタンなどは触れざるを得ないこともあるが、その後すぐに手洗いやアルコール消毒ができるとは限らない。特に公共交通機関を利用する人にとっては、大きな悩みだろう。

つり革などに触れないようにしている人もいるはず(画像はイメージ)
つり革などに触れないようにしている人もいるはず(画像はイメージ)

こうした中、意外なものの需要が高まっているという。それが手袋。用途は防寒具としてではなく、他者との接触やウイルスが素手に付着することを防ぐためだというのだ。

実際にTwitterでは、「電車に乗る時はマスク、イヤホン、目を閉じる、手袋のコンボで徹底的に感染予防をしています」「電車通勤の方、吊革には手袋して掴まりましょうね」といった、投稿もある。

新型コロナウイルスの感染経路の一つは、「ウイルスが付いた共用部分などに他の人が触れたことで手にウイルスが付着。その手で口や鼻を触ったことによる粘膜からの感染」だ。確かに、この接触感染の予防には効果がありそうだ。
(参考記事:つり革・手すりに触れたら顔を触らないで…日本感染症学会らが新型コロナ“日常での注意点”を公開

果たして、実際の店舗にはどのような影響が出ているのだろうか。衣類などを取り扱う、東武百貨店・池袋本店に近況を聞いてみた。

「電車やバスのつり革に触れたくない」という声がある

――手袋がよく売れているというが、本当?

はい。当店では、冬物商品と春物商品の入れ替えに伴い、2月20日~2月27日にかけて販売数量の統計を取りました。そうしたところ、手袋の販売数量が2019年の同時期に比べて、約5倍となっていることが分かりました。


――男性用と女性用で違いはある?どんな手袋が売れている?

当店では、春物の手袋はほぼ女性用のものしか取り扱っていません。そのため、男性用と女性用との違いは不明です。手袋の売れ筋については、素材は綿で、形状は5本指それぞれを覆うものが売れています。水洗いできるもの、抗菌作用があるものが好評のようです。

売場の販売員によると、2~3セットを同時に購入されるお客さまが多いとのことなので、衛生面を気にされて、頻繁に洗濯などをされているのではないでしょうか。

実際の東武百貨店の手袋売場
実際の東武百貨店の手袋売場

――なぜ、販売数量が伸びていると思われる?

お客様からは、新型コロナウイルスが流行しているため、電車やバスのつり革などには触れたくないという声を聞いています。手袋に科学的な予防効果があるのかまでは言及できませんが、衛生面を気にされる人が多いことが影響していると思われます。


――売場にはつり革もあるようだが、このようなディスプレイは例年あるもの?

いえ、例年はつり革は用意されていません。新型コロナウイルスの脅威が話題となっていることなどを踏まえて、このような売場となったと思われます。

手洗いできるものが人気という
手洗いできるものが人気という

マスク需要で「眼鏡の曇り止め」の販売も増加

――他に販売数量に影響しているものはある?

眼鏡の曇り止め用品の販売数量が増えていて、2019年の同時期に比べて約3倍売れています。これはマスクを着ける機会が増えたことが影響しているからと想定されます。


――そのほかは?マスクや消毒液などはどう?

そのほかの製品だと、今のところは大きな影響がありません。当店はマスクなどは花粉の時期に少し取り扱う程度なので、ドラッグストアのような影響は出ていません。


――ちなみに、百貨店内のウイルス対策として、気を付けていることはある?

さまざまな対策をしています。雇用する全従業員にマスク着用を義務付けているほか、アルコール消毒を含めた手洗いの徹底、うがいの徹底をさせています。また、食品売り場では試飲・試食販売の一切を中止しております。

マスク需要が眼鏡の曇り止めにまで影響していた(画像はイメージ)
マスク需要が眼鏡の曇り止めにまで影響していた(画像はイメージ)

新型コロナウイルスに対する感染の不安は、身近な衣類である手袋の販売数量にまであらわれていた。ただ、手袋の表面にはウイルスが付着しているため、身に着けた状態で目や鼻、口などに触れないこと、手袋自体をしっかり洗うことも大切だろう。

そしてもちろん、普段の衛生管理も重要。基本的な手洗いやうがい、アルコール消毒も忘れないようにしたい。


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プライムオンライン編集部
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