山手線でトレーニング!
何となくスマホを見ながら過ごしがちな通勤・通学の電車内をもっと有意義な時間にしたい。
JR東日本とJR東日本スポーツが、「移動空間を成長空間に変える」をコンセプトに、山手線の新型車両E235系の車内で利用できる電車専用トレーニングアプリ「‘TRAIN’ing」(トレイニング)を2019年11月26日~2020年3月12日の期間で試験的に導入した。
「‘TRAIN’ing」は「トレイン」と「トレーニング」を掛け合わせた造語で、電車内を「成長空間に変える」という全く新しい発想と、昨今社会で関心の高まるヘルスケアとを掛け合わせることで生まれたサービスだ。
「‘TRAIN’ing」では移動空間で“カラダ”と“ココロ”を成長させることができ、これまで移動手段として利用していた電車内で、「移動 + 身体トレーニング」と「移動 + 精神トレーニング」を体感することができるという。
「体を鍛えたい」、「リラックスしたい」といった乗客の目的や電車の乗車位置・混雑率に応じ、適したプログラムを利用することができ、車内でできる座席・つり革・手すりなどを使ったパーソナルトレーニングプログラムを音声ガイダンスで案内する仕組みになっているのだ。
トレーニングプログラムは、JR東日本スポーツが運営する「JEXER」の健康運動指導士・フィットネスインストラクターが全てを監修し、わずかな時間で本格的なトレーニングが可能となるという。
気になる利用方法だが
1.「‘TRAIN’ing」のアプリをダウンロードし、山手線のホーム上で起動。
2.乗車前に「乗車駅、降車駅、トレーニングカテゴリー」を選択し、乗車後に座席、つり革、手すりなどの車両内のポジションを選択することで、混雑状況に合わせた最適なパーソナルトレーニングプログラムが配信される。音声ガイダンスで配信するため、イヤホンまたはヘッドホンの装着が必要となる。
3.設定した降車駅に到着すると、トレーニングは終了。
という流れだ。
例えばフィジカルトレーニングを選び、トレーニングギアを「座席」で指定すると、「シートアームリフト」というトレーニングを提示されることがある。自身のカバンを両手で握り、ゆっくりと前に持ち上げることで腕の筋肉を鍛えることができるのだ。
電車の中で本格的なトレーニングができる「‘TRAIN’ing」だが、なぜ開発しようと思ったのか。そして、電車内の他の乗客の視線も気になるところだが、迷惑になることはないのだろうか。JR東日本にお話を伺った。
移動時間で“カラダ”と“ココロ”を成長
――なぜ「‘TRAIN’ing」を開発しようと思ったのか?
お客さまの持つ成長欲求やヘルスケア思考の高まりに応え、移動時間の新たな価値を創造、提案して新たなモビリティサービスにつなげることを狙いにしております。
コンセプトは、「ヘルスケアの観点から、お客さまの移動時間を意味のある時間に変革し、新しい価値を創造すること」です。
――「‘TRAIN’ing」の一番のポイントは?
移動空間でカラダとココロを「成長」させることができる点がポイントだと考えています。これまで移動手段として利用いただいていた「列車」の「車内」という空間の中で、「身体トレーニング」と「精神トレーニング」のプログラムを利用することで成長を体感できます。
――身体トレーニングと精神トレーニングができるということだが、具体的にどんなことができる?
まず、トレーニングメニューのプログラム構成として、体と心を「鍛える」ことを目的にしたBuild-PhysicalとBuild-Mental、体と心を「整える」ことを目的としたRecover-PhysicalとRecover-Mentalの計4種類のプログラムがあります。それぞれに多くのトレーニングメニューがあり、例えば、Build-Physicalでは、つり革や手すりを使って体幹に負荷をかけるトレーニングなどがあります。
――全部で何種類のトレーニングがある?
合計で87種類のメニューがあります。
「車内で行う」前提で周囲の迷惑にならないもの
――どのトレーニングがおすすめ?
すべてのメニューについておすすめですが、「Recover- Physical」は3ポジションで39メニューを用意しており、豊富なメニューを用意しております。「Build-Physical」についても3ポジションで24種類とこちらもメニュー数を多く用意しております。
――電車内でのトレーニングということだが、恥ずかしくなったり、他の乗客の迷惑になったりしないか?
「‘TRAIN’ing」のメニューは、「車内で行う」ことを前提に考えられており、体の動きを抑えて周囲のご迷惑にならないものとなっています。そのため周囲の目が気になる、また他のお客さまのご迷惑になることはないと考えております。
また、乗車時間、乗車位置、混雑度をもとに状況にあったトレーニングプログラムが提供されるようになっています。ただし、ご利用いただく際には、お客さま自身で周囲の方のご迷惑とならないように注意するよう、使い方ガイドなどでも記載し注意喚起を行っております。
――実施期間は2020年3月12日までで、さらに山手線の電車内と限定的だが今後の展望は?
今回のアプリの試験公開後、ユーザーの反応を踏まえ、実用化を検討していく予定としております。
と、ここまでスマホで読んでいた山手線の車内のあなた。
このアプリは他の乗客の迷惑にならないということなので、さらに有意義な時間を過ごしたいという人は試してみるのもいいかもしれない。