突然の噴火に気象庁も戸惑い

8月7日の午後10時8分、群馬と長野の県境にある浅間山で小規模な噴火が発生した。

この噴火について気象庁の火山活動評価解析官は会見で「これまで我々が仮定していたプロセスとは違う形で起こった可能性がある」と戸惑いを隠せなかった。

解析官の言葉を借りれば、浅間山は“非常に優等生な火山”であり、噴火の前には広い範囲で地殻変動が見られたり火山ガスの噴出量が高まったりと、我々にそろそろ噴火することを知らせてくれる火山のはずだったのだ。

浅間山は2004年、2008年、2009年、そして4年前の2015年の噴火の際にも、明らかな地殻変動や火口から二酸化硫黄の放出量が増えるなど噴火の前兆を示してきたのだ。

“前兆”となる火山ガスや地殻変動の変化は見られなかった
“前兆”となる火山ガスや地殻変動の変化は見られなかった
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しかし、今回の噴火の前には火山ガスの噴出量が高まったり、GPSで監視している地殻変動に変化は現れず、火山性地震も目立った増加は全く確認出来なかったのだ。
気象庁は会見で、これまでとは異なったプロセスで起きた、いわば想定外の噴火だったと明らかにしたのだ。

“想定外の噴火”がまた起きた

登山客ら58人の命を奪った日本における戦後最悪の火山災害と言われる2014年の御嶽山の噴火も、スキー場のゲレンデで訓練中の自衛隊員が噴石の直撃を受けて亡くなった2018年の本白根山の噴火も、今回と同じ噴火警戒レベル1での突然の噴火だった。

2018年1月 草津白根山が噴火
2018年1月 草津白根山が噴火

自然の脅威という言葉では済まされない、優等生に裏切られる形になった気象庁は今後、浅間山を監視している大学など関係機関の持つデータとすり合わせて、火山の中で何が起きていたのか詳しく調査するとしている。

長坂哲夫
長坂哲夫

フジテレビ社会部 気象庁担当