18日午前、京都府伏見区にあるアニメーション制作会社「京都アニメーション」(以下、京アニ)の第一スタジオで、放火による火災が発生。33人が死亡、35人が重軽傷を負う大惨事となった。

19日夕方に行われた京都府警の会見で、放火したとみられる男は、住居・職業不詳の青葉真司容疑者(41)と発表した。男は全身やけどを負い、現在治療中で重篤な状況だというが、これまでの調べで、確保された際、「小説を盗んだから放火した」という趣旨の話をしていたという。

京アニの残してきた実績

1985年に設立された京アニは、2006年の『涼宮ハルヒの憂鬱』、2007年の『らき☆すた』、2009年の『けいおん!』などのテレビアニメ作品でファンの心をとらえたほか、2016年9月に公開された『映画 聲の形』では第40回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、高い評価を得ている。

また、2018年4月には『リズと青い鳥』、2019年4月には『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』が劇場公開されたことも記憶に新しい。

日本アニメーション協会が「冷静な報道を」

国内外から支持を集めるアニメスタジオに起こった悲劇に、同業者からも心配の声があがっているが、アニメに携わるクリエイターから成る日本アニメーション協会(JAA)が「非常に大きな事件ですので、各所機関におかれましては慎重かつ冷静な報道をお願いいたします」と18日午後、公式Twitterアカウントで投稿した。



このツイートに、「慎重さを欠くツイート申し訳ありません「お願いだからコメンテーター等が『だからオタクが…』とかって言うのはやめて欲しい 」と同意する反応など、約2万9000件のリツイートと、約4万7000件の「いいね」を集めるなど、大きな注目を集めた(19日現在)。

そして翌日19日朝には、広報担当者が公式サイトの「JAAニュース」上で、今回の事件に対して「今回の事件に対し強く深い悲しみをおぼえます」「歴史と文化の破壊であり、言葉に言い表せない悔しさを感じます」と表明するとともに、「正しい情報が本当にそれを必要とする関係者の方々に迅速に届けられているだろうかという想いから」と投稿の理由について説明した。

広報担当者は「さらなる本意もなく文章そのままで、事件直後からたくさんのツイートがございましたが生死にかかわる重大な事件ですから、被害に遭われた方々の情報が不確定な段階で飛び交うことのないよう願った、ごく一般的な意見と同様にお考えください」 と、編集部の取材に対しても改めてその思いを回答した。

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日本動画協会も声明を発表

また19日、アニメ制作会社を中心とした日本動画協会(AJA)も事件に関する声明を発表。

事件に対して強い怒りを示すとともに、「誤解や偏見を蒙ることなく、事件の全容が解明されることを祈念するとともに、同じアニメーション業界に身を置く者として、株式会社京都アニメーションへの支援について、急ぎ検討してまいります」などのコメントを公式サイトに掲載した。

悲惨な事件を起こした男の動機の解明が待たれるが、事件から一日が経過した今、その余波は多方面に大きく広がっている。

プライムオンライン編集部
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