危険な“毒カエル” 一体どこからやってきた?

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北海道・札幌市にある周囲50mほどの小さな池。
今、この池をはじめ、札幌市に“生物”が大量発生し、問題となっているのだ。

その生物とは「アズマヒキガエル」
アズマヒキガエルは本州原産で、本来は北海道にいるはずのないいわゆる「国内外来種」だ。

約40年前、人の手によって旭川市周辺の石狩川に放されたとみられており、石狩川流域ではすでに大繁殖しているが、去年の夏ごろ、札幌市内でも生息が確認されるようになったのだという。

一般財団法人 自然環境研究センター・戸田光彦主席研究員:
(アズマヒキガエルは)皮膚から強い毒を出します。アルカロイド系の毒で、強心剤として作用する。犬がヒキガエルにかみついて毒を口の中に受けてしまい、ひっくり返るという話を聞いたことがあります。

問題となっているのは、その強い繁殖力と毒性
5月、10日間にわたって市民らが行った駆除作業では、約400匹のアズマヒキガエルと、池を埋め尽くすひも状の卵バケツ50杯分を駆除した。

北海道爬虫両棲類研究会・徳田龍弘さん:
絶望的な状況かと思い、ショックを強く受けました。今後もまだ(卵を)産みにくると思うので、これで終わりというわけではないですね。

在来種にも深刻な影響…対策は?

強い毒を持つ、危険なアズマヒキガエル。
さらに、その毒は北海道固有の「エゾアカガエル」にも影響を及ぼす可能性があるのだという。

孵化直前のアズマヒキガエルの卵を食べたエゾアカガエルのオタマジャクシを観察してみると、数時間でエゾアカガエルの泳ぎ方に変化が。
バタバタともがくような動きをした後、全く動かなくなってしまう様子が見られた。

北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター・岸田 治准教授:
(アズマヒキガエルの)孵化したばかりの幼生を食べた時に、かなりの数が死んでしまう。エゾアカガエルの場合は100%死んでしまう。

岸田准教授によると、在来種に対する影響が懸念されるため、アズマヒキガエルの繁殖状況を注視していく必要があるという。

北の地で急激に生息域を拡大するアズマヒキガエル。
固有種を守るためにも、更なる繁殖を防ぐための対策が求められている。

(「Live News it!」6月17日放送分より)