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東京・巣鴨のドラッグストアに書かれた“1人1点まで”という注意書き。
各地のドラッグストアの店頭を見ると深刻な品薄状態となっていた。

三千里薬品二子玉川店
飯高宗久店長:

GW前ごろから急に入ってこなくなって、(ティッシュの品薄状態が)続いている。連休中はメーカーさんが休みというのもあるので少なくなったのかなと

ティッシュ不足の要因の1つとなったのは、2019年4月、大手メーカー王子製紙の工場で起きた火災だ。この影響で工場は2週間ほど生産を停止し出荷量が4割ほど減り、ゴールデンウィーク直前までの供給に影響がでた。そこに、店側が10連休中の在庫の確保に動いたことなどが重なり品薄に追い打ちをかけたのが要因とされている。

“値上げ”の理由は製紙工場に・・・

1パックあたりの小売価格が1年前と比べ5%近く上昇していたティッシュペーパー。取材班は製紙工場が立ち並ぶ紙の街、静岡・富士市の巨大工場へ向かった。
そこに積まれていたのはティッシュやトイレットペーパーの原料となる古紙だ。

この工場では、1日に200トンの古紙を溶かし異物などを取り除き170トンの製品を作っている。

そして、この巨大なロール1本が約130万個のトイレットペーパーになるのだ。
裁断されると見慣れた商品の出来上がりだ。

値上げ理由:古紙など原料の高騰+電気・ガスの光熱費の値上げ

こちらのメーカーでは2019年4月、出荷価格を18%引き上げた。値上げの大きな要因となっていたのが古紙など原料の高騰。更に、電気やガスなど光熱費の値上がりに加え物流費の高騰が製造コストを大きく圧迫していたのだ。

製紙工場「コアレックス信栄」
佐野 仁さん:

昨年の春に15%値上げをした。トラック運転したドライバーが自ら手作業で積み込み作業を行っています

単価が安い割にかさばるティッシュやトイレットペーパーは1つでも多くトラックに積むために手作業で荷積み作業を行っている。10トントラックに積み込む作業は実に約2時間かかるというのだ。

“値上げ”続々 どっち買う?「ダブル」と「シングル」の差

そもそもトイレットペーパーの元祖は太平洋戦争後にアメリカ軍が日本に持ち込んだもの。

製紙工場「コアレックス信栄」佐野 仁さん:
元々トイレットペーパーはシングルのみでした。ソフト感を求めていくなかで、付加価値の一つとして、肌触りの良いダブルができたんです

シングルは片側だけが肌触りのいいツルツル。ダブルはそのツルツルの面を合わせ両側ともツルツルなのが特徴だ。お店では、シングルもダブルもほぼ同じ値段で販売されているというがパッケージを見ると使える長さは、シングルが60mなのに対して2枚重ねのダブルは35m。長持ちするのはシングルなのだ。

更に、製造コストがかかるのも実はシングル。長いうえに紙に厚みがあるというのだ。

日本はティッシュ消費量“世界一” 

木村拓也アナウンサー:
街では、宣伝のチラシをつけたティッシュ配りが減っているという現象や、今インターネットの通販でもサイトによっては品切れの状態になっているティッシュ。実は、日本がティッシュの消費量世界一といわれています。その数は1人あたり年間で17箱。これも断トツのトップとなっています。
 
先日、中国のメディアが中国が人口が多いことを前置したうえで“なぜ日本ではこれだけティッシュの消費量が多いのか”という記事を書きました。

木村アナウンサー:
それによると、“日本は花粉症の方が多いティッシュで虫を捕まえたり、眼鏡を拭くこともある”ということでした。そして、VTRにもありましたがティッシュ配りも日本独特の文化として紹介されており、このティッシュ配りも消費量が多い理由だと分析しています。

風間晋解説委員:
大したことなさそうな気がしますけどね。
 
 木村アナウンサー:
中国のメディアの記事ですけど確かに品薄になってしまうと買いだめをしてしまう気持ちも分かりますがそこはできる限り控えて、これだけ使っているんだということを理解したうえで消費をどれだけ減らしていくかが必要かもしれません。
 
(「Live News it!」5月20日放送分より)