GoToトラベルに“東京追加”の方針

11日に行われた、政府のコロナ対策分科会。GoToトラベルの東京発着の追加に、早くも都民の期待が高まる一方、観光地には戸惑いも広がっている。


西村経済再生相:
東京発着の旅行につきまして、10月1日以降に開始する旅行からGoToトラベル事業の対象とするという方針について、観光庁から提案させていただきたい。


これまで除外していた東京都民および都内への旅行を、GoToトラベル対象に加える方針。分科会で了承されれば、10月1日から追加される見通しとなっている。

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すでに10月以降の東京発着旅行を予約している場合は、一旦キャンセルした上、今後発売される割引商品を改めて購入する必要があるという。

一方、小池知事が政府に求めていたのが、開始が遅れていた都民らへの割引上乗せ措置

これに対し、赤羽国交相は「現場の取り扱い上難しい」としながらも、「必要があればそうした特別な対応も検討していきたい」と述べ、小池知事の要望に応える特別措置に含みを持たせた。

GoToめぐり観光地で起きている“異変”

秋の行楽シーズンを前にした“東京追加”に、都民からは期待の声が挙がっている。

東京都民:
今まで制限され続けてたので、期待はしています。

東京都民:
行くとしたら、温泉行きたい。


東京では11日も新たに187人の新型コロナウイルスへの感染が確認され、今後の感染状況への不安は残ったままとなっている。

そんな中、観光地側は“東京追加”をどう受け止めているのか。まもなく紅葉シーズンを迎える栃木県日光市では…

土産物屋:
賛成ですね、もちろん。うちは東武日光駅の駅前でしょ。電車のお客さまほとんどいらっしゃらないので。

和菓子屋:
毎日(東京の感染者が)200人くらい出て、どうかなと思う。

男性:
今の時点では観光地はみんなお手上げだから。来てもらわなくちゃならない反面、怖い面があるんだよね。


実は日光では、GoToトラベル開始以降、ある異変が起きているという。

地元の石材を贅沢に使った、ハイグレードホテル「日光西町倶楽部~あらとうと~」。

最上級の客室は1泊2食付きで5万7200円と高額だが、GoToトラベルを利用すれば4万3200円(税込)になり、9月中はほぼ満室。紅葉シーズンを迎える10月も、土日はすでに4割ほどの予約が入っているという。

日光西町倶楽部~あらとうと~・加藤一郎統括支配人:
8月全体で見ますと、(去年に比べ)だいたい2~2.5倍くらいのお客様がお見えになっていただきました。GoToトラベルキャンペーン経由のお客様も増えてきています。


一方、GoToトラベルの恩恵をあまり受けられていない施設も。

地元の新鮮な食材を使った料理が自慢の、アットホームな雰囲気のペンション「森のうた」。

最も安いプランは1泊2食付きで8800円、GoToトラベルキャンペーンを使えば5720円(税込)とかなりリーズナブルだが…

実は、GoToトラベルが始まったことで、利用客が“お得度”の高い、高額なホテルに流れてしまっているという。


森のうた・岩崎正枝さん:
(客数は)前年比で1~2割というところですね。期待値としてはもうちょっと高かったというところはありますかね。これから紅葉シーズン始まりますし、10月から東京の方もGoToトラベルキャンペーンに参加されるということなので、期待していきたいですね。


加藤綾子キャスター:
観光地の複雑な事情というのが見えてきましたね。

フジテレビ・風間晋解説委員:
GoToを利用してワンランク上を楽しみたいという心理は当然ですよね。でも結果的に、高額の施設や店舗は潤ってロープライスのところは閑古鳥と、二極分化してしまうとしたら経済対策としては不出来だと思います。国のキャンペーンとは別に、地方自治体独自の地元振興策も行われていますから、相互に補完し合いながら全体を助けるような調整が望まれます。

加藤綾子キャスター:
新たな格差が生まれないよう、対策を考えてほしいですね。


GoToトラベルの東京追加は、今後の観光業にプラスの変化をもたらすことになるのだろうか。

(「Live News it!」9月11日放送分より)