健康には気を付けたいが、仕事に追われ栄養バランスが偏ってしまう人や、タクシー運転手や看護師など深夜の勤務で食生活が乱れてしまうと悩んでいる人も多いのではないだろうか。

夜勤の人や生活習慣病を気にする人に向けて、東京労災病院 治療就労両立支援センターが「深夜勤務者のための食生活ブックー健康をめざすコンビニ食の選び方ー」を公開していて、現代人が頻繁に利用するコンビニでどのような食べ物を選ぶべきか紹介している。

夜勤・交代勤務者の食事のとり方

夜勤・交代勤務者の食事のとり方では、日勤の人と同じような食事リズムを意識することが重要だという。
勤務前(夜)は(1)エネルギー源となる炭水化物をしっかりとる(2)魚や肉、卵などのタンパク質を含む食品をとる(3)野菜は片手のひらにのるぐらいの量をとることがポイントだ。

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勤務中(深夜)は、エネルギー400キロカロリー前後を目安にサンドイッチと野菜スープなどタンパク質と野菜を組み合わせることを意識し、菓子パンや油分、塩分の多いスナック菓子は避けるべきだという。
そして、勤務後(朝)に食事をしてすぐに寝る場合は油分の多い食事は避け、グラタンや煮物など消化が良いものを選ぶのが良い。

脂質異常症が気になる人のコンビニ食

また、生活習慣病が気になる人へのコンビニ食も紹介していて、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなる要因となる脂質(脂質異常症)が気になる人のコンビニ食は、青魚や大豆、食物繊維が豊富な海藻、根菜類の組み合わせが良いとされる。
具体的には「納豆巻きと海藻サラダ」、「ほぐしあじのご飯と五目豆」などの組み合わせが良いとされ、おやつは食物繊維が豊富なくるみやアーモンド、ドライフルーツが良いという。

一方で、レジで目に付く揚げ物や甘いもののとりすぎ、お酒の飲み過ぎ、喫煙は良くない。

その他、高血圧や糖尿病が気になる人のコンビニ食なども紹介しているが、栄養バランスを考えると、そもそもコンビニ食中心でも問題はないのか。東京労災病院 治療就労両立支援センターにお話を伺った。

食の幅広い選択肢のひとつとして

ーーテレワークなどにより、コンビニ食が多くなっている人もいると思うが、「深夜勤務者のための食生活ブック」に書いてあるような食事の選び方をすれば、コンビニ食中心でも健康に問題はない?

選び方次第ではないかと思います。本冊子のポイントは炭水化物・タンパク質・野菜をバランスよく組み合わせることを提案しています。テレワークに限らず、簡単にパンだけ、パスタだけ、カップ麺だけでランチを済ませる人もいらっしゃるでしょう。このような食事ではバランスがとりづらく、栄養の偏りが生じやすいでしょう。

年齢や健康状態、体を動かす量などでも理想の食事は異なりますが、コンビニに限らず、「基本的な考え方は、主食・主菜・副菜でバランスをとる栄養素でいうと、炭水化物・タンパク質・食物繊維です。具体的には、ご飯・肉や魚・野菜とイメージをしていただければと思います。

コンビニについては添加物等を懸念されている人も多いかと思いますが、保存料、着色料、不使用、トランス脂肪酸低減に取り組んでいるところもありますし、食の幅広い選択肢のひとつとして利用してもらえたらと思います。

ーー夜勤・交代勤務者の勤務中(深夜)のエネルギーは「400キロカロリーを目安に」と少し物足りない感じもあるが、食べすぎは良くないということ?

本冊子はタクシードライバーを対象にした研究の成果ですので、タクシードライバーの特徴として、座り仕事が大きく活動量が低いためエネルギー消費が少ないことを踏まえ設定しております。
またタクシードライバーに限らず、夜勤・交代勤務者の健康課題として高血圧、糖尿病、胃腸症状等の健康課題を抱えている人も少なくありませんので、食べ過ぎず、軽食や栄養補給のイメージをお持ち頂ければと思います。よくカップラーメンだけでは足りないから菓子パンを追加してしまうという人もいらっしゃいますが、エネルギー過多になりやすいので注意が必要です。

ーー夜勤・交代勤務者が食生活のなかで意識すべきことは?また、食べる時間はいつがいい?

夜勤明けは仕事のストレスから解放されることから、お酒の量が増えやすい人や過食に走ってしまう人も少なくありません。また夜勤明けに24時間営業の丼店やラーメン店、ファストフードを利用する人もいらっしゃるでしょう。炭水化物に偏らず、野菜を食べたり、タンパク質摂取にも目を向けバランスを意識してもらえたらと思います。

また、食事のリズムが不規則なことから1日の食事回数が3食ではなく、2食、なかには1食という人も見受けられます。食事の回数が少ないと空腹時間が長いことから1回の食事量がまとめ食いになりやすい傾向がありますので、食べ過ぎ防止のためにも野菜メニューなどを揃え、野菜から先に食べる(ベジタブルファースト)ことを意識してもらえたらと思います。

食べる時間については特に寝る直前の食事(食べてすぐ寝る)は注意必要です。肥満や中性脂肪、血糖値上昇など生活習慣病につながります。睡眠をとる2~3時間前の食事を心がけてもらえたらと思います。

ーーコンビニ食中心の人が気を付けなければならないことは?

炭水化物に偏らず、野菜やタンパク質を組み合わせることです。組み合わせることが面倒であったり、忙しい人は1品でもバランスが整っているメニューもあります。例えばパスタサラダ。パスタの上に野菜、さらに鶏肉やツナなどがのっているものはタンパク質や炭水化物、野菜の全てを1品で含むからです。ほかにはパスタなら、ほうれん草やきのこを使用したパスタに肉類や魚介類が入ったものを選ぶとよいでしょう。大盛りのパスタもありますので、普通サイズを選び炭水化物過多にならないよう、注意するとよいでしょう。

またコンビニ食の課題は塩分にあると考えます。日本人は塩分の過剰摂取が課題とされ、特に年齢が高くなると生活習慣病や高血圧の人が多くなります。解決策はサラダや野菜を組み合わせることです。
多くの野菜に含まれるカリウムは、ナトリウム(塩分)の排泄を促す効果があるからです。またサラダ付属のドレッシングやめん類、おでんのつゆを多めに残すこともおすすめします。揚げ物も下味がしっかりしているので、ソースをもらわなくてもおいしく食べられます。

 

コンビニ食が中心でも選び方次第だということで、炭水化物、タンパク質、野菜をバランスよく組み合わせることが重要だという。現在健康な人も生活習慣病に悩まされている人も是非参考にしてほしい。
 

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。