アフリカ南部・ジンバブエで、新しい通貨「ジンバブエ・ゴールド」が発行された。
過去のハイパーインフレでは、100兆ジンバブエ・ドルが1円未満の価値となり、経済が混乱した。
新通貨発行後も、国内では混乱が続いている。
銀行に長蛇の列も…「だまされているみたい」
ゾウやサイが生息し自然豊かな国、アフリカ南部・ジンバブエで新しい通貨が発行された。
この記事の画像(11枚)ジンバブエの通貨といえば、「ハイパーインフレ」が過去には問題となっており、2008年に発行された紙幣を見ると、0が“14個”、100兆ジンバブエ・ドルも発行されていた。
この100兆ジンバブエ・ドルは、日本円で1円にも満たない価値しかないという。
ジンバブエは、2008年には250万%というインフレになっていた。
日本に置き換えると、例えば100円で買えていたパンを買うのに、250万円を用意しなければいけないことになる。
そのため、買い物に行くのは、札束を抱える状態になっており、この時は、アメリカドルの使用へシフトする人も見られた。
そうした中で発行された新通貨だが、早速混乱が起きている。
4月30日に配布が始まった新通貨「ジンバブエ・ゴールド」。
当日には、新通貨を受け取るために、ジンバブエの銀行には長蛇の列ができていた。
もらった紙幣を不思議そうに眺める男性や、別の場所では、新しい紙幣を一目見ようと人々が集まって何やら話している様子が見られた。
銀行に来た人は、「新紙幣の価値が不明。だまされているみたい。銀行で聞いたら、わからないと言われた」と話している。
詳細は明らかになっていないが、バスで新通貨を使おうとした人々により、もめごとが起きているという声も聞かれた。
政府の信頼を確保できるかがカギ
「ジンバブエ・ゴールド」は、うまく行くのだろうか。
ジンバブエでは過去6回、新通貨を発行したが、浸透せず失敗しており、不安要素も多い。
また現在、アメリカドルも使用されているが、自国の通貨ではないため量が少なく、アメリカドルだけで経済活動は難しい状態だ。
実際にジュースを買って、アメリカドルで払っても、おつりがなくて、あめで代用するというケースもあった。
そのため、今回、アメリカドル並みの信頼を確保できるかがカギとなってくる。
日本でも“歴史的な円安・物価高”とはいわれているが、深刻さは桁違いだ。
ジンバブエというのは本来、金やダイヤモンドの埋蔵量が非常に豊富な豊かな国だが、政府の高官が密輸に関わってるとして、信頼がなくなっていった。
通貨の信頼は政府の信頼でもあるため、いくら新しい通貨を導入しても、政府自身の信頼が回復しないかぎりは、なかなか定着しないかもしれない。
(「イット!」 5月15日放送より)