秋田を代表する発酵食品「いぶりがっこ」を仕込む際に使う「漬け汁」が、クラフトビールに姿を変えた。いぶりがっこの風味とうまみが感じられる商品だ。
廃棄していた「漬け汁」に注目
5月10日に発売されたのは、秋田県内の2つのいぶりがっこ製造会社と羽後町のビールメーカーがタッグを組んでつくった2種類のクラフトビールだ。
この記事の画像(11枚)「いぶりがっこ」は、いぶしたダイコンを漬け込んで作られるが、ダイコンを取り出した後に残る「漬け汁」は廃棄される。
雄勝野きむらや・木村吉伸社長は「漬け汁は全てのエキスが詰まっていて、毎日廃棄することは、非常に心苦しくてもったいなかった」と話す。
湯沢市の老舗漬物店「雄勝野きむらや」は、最盛期には1日に約8000~9000本のいぶりがっこを製造する。「漬け汁」は1日に300~400リットル出るが、全て廃棄していた。これに注目したのが今回のビールだ。
すっきりとした味わいと燻製の香り
漬け汁から不純物を取り除き、酵母などを加えて発酵させ、完成させた。
それが「いぶりがっこクラフトエール MANTZNAR(マンツナー)」だ。
名前は、秋田を訪れたときの“最初の1杯にしてほしい”という願いを込め、秋田弁で「まずは、とりあえず」の意味を持つ「まんつ」から取った。すっきりとした味わいながら、鼻に抜けるほどよい燻製(くんせい)の香りが感じられる。
雄勝野きむらや・木村吉伸社長:
同じ発酵なので酒との相性は良いのかなと思い、ビールにしてもらった。社員からは「予想以上においしい」と評価をもらった
女性やビールが苦手な人にも!
もう1つのビールが、羽後町の「ゆめ企画須藤健太郎商店」のいぶりがっこの漬け汁からつくられた「KINNOKURA Ale(きんのくらエール)」だ。
県内の桜の花から採取した「秋田美桜酵母」を使用していて、濃い色合いが特徴だ。燻製の香ばしさはもちろんのこと、フルーティーな香りも同時に楽しめる。
パッケージはシンプルながら、どこか華やかさが感じられ、女性が手に取りやすいように工夫した。
ゆめ企画 須藤健太郎商店・薄井あゆみ社長:
女性や若者、ビールが苦手な人にも楽しんでほしい。次はビールだけではなく、ドレッシングやタレなど調味料としても使える何かをつくれたらいいなと思う
雄勝野きむらや・木村吉伸社長:
秋田に来たら「マンツナー」と気軽に楽しんでほしい
いぶりがっこの風味とうまみが楽しめる2つのクラフトビールは、雄勝野きむらやの店舗や「道の駅うご」などで販売されているが、いずれも300本の限定販売となっている。
気になる人は早めにご賞味を。
(秋田テレビ)