上川外相は10日の衆院外務委員会で、中東情勢に関して広島・長崎への原爆投下を正当化したアメリカ上院議員の発言について「適切ではない。受け入れることはできない」と批判した。松原仁元拉致担当相の質問に答えた。

米共和党のグラム上院議員は議会の公聴会におけるイスラエルへの武器供与の議論の中で、広島と長崎への原爆投下が戦争の終結につながったと主張。イスラエルに必要な武器を供与すべきだと指摘し、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長と、オースティン国防長官に原爆投下への認識を質した。これに対し、ブラウン議長は「世界大戦を止めたと言える」と述べ、オースティン国防長官も同意した。

10日の衆院外務委員会で松原氏がこのグラム氏の発言について見解を問うと上川外相は「この広島および長崎に関する発言は適切ではないと考えている。また、現下の中東情勢の文脈の中で、グラム上院議員が広島・長崎の原爆投下を引用した議論を提起したことは受け入れることはできない」と述べた。

松原議員がアメリカに抗議するのか尋ねると上川外相は「原爆投下に関する日本側の考えは変わりはなく、米側にも繰り返し伝えてきているところだが、今回改めて米国政府のみならず、グラム上院議員事務所に対しても申し入れた」と述べた。松原議員は米政府に正式に抗議すべきだと主張したが、上川外相は明言を避けた。

一方、オースティン国防長官の発言について上川外相は「グラム議員の質問に答える形での発言だ」と指摘するにとどめるなど直接の評価を避け、「核兵器のない世界のための取り組みについて一層理解されるための努力を重ねていきたい」と述べた。

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