車が多く行き交う大通りで、誘導棒を片手に道路の様子をうかがう一人の女性。内山初江(うちやま・はつえ)さんです。

内山さんは交通事故から子供たちを守るため見守る、横浜市の磯子小学校の「学援隊」。それも15年間、毎朝欠かさず通学路に立ち続けている。

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内山さんが「おはようございます!」と挨拶すると、子どもたちも「おはようございます!」と元気に返す。内山さんは、「あら偉い!おはよう!はい頑張ってー。頑張れ頑張れ!」と子どもたちに声をかけるのが日常だ。

子供たちが渡り終える最後の最後まで見守る内山さん。ときには子どもたちのこと想って、並び方について「4列はダメだよ2列ずつだよ」などと注意を促すこともある。

一方、子供たちが通う小学校の校門近くには初江さんの夫・博(ひろし)さんの姿もあった。夫婦二人三脚で見守りを続けるきっかけは、孫の存在だった。

2人の孫は難病である潰瘍性大腸炎を抱えていて、学校は給食を1人だけ別に作ってくれるなど、孫をサポートしてくれたという。難病を抱えた孫を気にかけてくれた小学校に対して、“恩返しがしたい”と学援隊を始めたのだ。

今では「信号のおばちゃん」として親しまれ、自宅には子どもたちからたくさんの手紙が届くほどの人気者になった内山さん。「“内山さん大好き”って。こういうのもらうと嬉しいでしょ?」と話す。

毎朝欠かさず立ち続けられる内山さん夫婦の原動力とは。

内山初江さん「朝行かなきゃという力」
内山博さん「お子さんが安全安心に通えれば幸せですよ」

思いやりから思いやりが生まれ、子どもたちの安全を守る内山さん夫婦の活動は、あすも続く。