福岡県内の高校の「学食」が、いま大きく変わり始めている。昔のイメージからは考えられない!イマドキの学食事情を深掘りした。

福岡が世界に誇る名店が学食に

福岡・柳川市の私立、柳川高校。昼休みでにぎわう学食の中で、ひと際、長い行列ができていた。生徒たちのお目当ては、4月から提供を始めたばかりのあるメニューだった。

柳川高校の学食で提供される「一風堂ラーメン(500円)」
柳川高校の学食で提供される「一風堂ラーメン(500円)」
この記事の画像(19枚)

「はい!お待ち!ラーメンです」と出て来たのは、ただのラーメンではない。いまや国内外に287店舗を構え、福岡が世界に誇る名店「一風堂」提供のラーメンなのだ。店舗と同じ味が500円で食べられる。「こってりあっさり、コクがあってとてもおいしい」「ワンコインで食べられるのもとてもいい」と生徒たちも大満足だ。

品質を保つため、スープや麺は県内の工場で完成させ運ぶ。学食の従業員が作っても、おいしく提供できるようオペレーションはシンプルに、トッピングは厚切りチャーシュー1枚とネギのみだ。

この日のテーブルに着いたのは、全国優勝を果たしたこともあるダンス部の女子生徒たち。初めて口にした一風堂のラーメンの味に、「うまい!めっちゃうまい!これが学校で食べられるの、めっちゃ良くない!」と絶賛していた。

一方、何度も全国制覇をしている超強豪、テニス部の男子生徒たちも「学校で食べられるっていうのは柳川高校だけだと思うので、うれしいです」「放課後の練習にやる気が出ます。(麺だけに)“メン”タルトレーニングして…」と話すなど、評判は上々だった。

一風堂「一緒に福岡県を盛り上げる」

ラーメン提供のきっかけは、「学食にラーメンがないのが寂しい」という生徒の訴えだった。その声を聞きつけ、一風堂が応えた。

一風堂 広報部・桑野洋さん:
地元、福岡の高校ということで、「一緒に福岡県を盛り上げることができたらな」という意味も込めて、ご一緒させていただいております。柳川に一風堂の店舗はないので、食べたことがない若い皆さんに一風堂を知ってもらうきっかけにもなれば

柳川高校・田島祐輝主事:
やはり生徒の満足度を上げるという観点です。一風堂のラーメンが、自信を持って発信していける柳川高校のブランド力につながっているのでは

スマホ1台で…学食をスマート化

続いては県内屈指の進学校、福岡市の福岡高校を取材。創立107年を迎える名門校の学食、驚きなのは最新システムを使った注文方法だ。

赤木希アナウンサー:
お昼休みになって、続々と生徒が食堂に集まって来ました。みんな手にスマホを持っています。そしてQRコードを読み取っています

どんな仕組みなのか、女子生徒に尋ねると「QRコードを読んでそれで注文する。料理を選ぶのは朝。朝選んで、バスの中で食券を買いました」と教えてくれた。

学食の専用アプリで予約
学食の専用アプリで予約

何と、専用のアプリで朝7時から食べたいメニューを予約し、昼休みになって食堂前にあるQRコードを読み込むと、その注文が瞬時に調理場に伝わって調理が開始されるのだ。出来上がりの通知もスマホに来て、スムーズに受け取ることができる。

「食券だと混むからこっちの方がスマート」「お財布持ってこなくていいから」と生徒も使いこなしている。メニューは、「牛すじカレー(390円)」や「鶏からチリ丼(490円)」などが並ぶ。予約開始1分で売り切れるという一番人気の日替わり定食は590円。どれも豪華でリーズナブルだ。

強豪、ラグビー部の男子生徒も「まじで、めっちゃおいしいから、部活もすごく集中できます。このから揚げ、(食べて…)最高です!」と笑顔を見せていた。

スマホ1台で予約・注文・決済までできるこのシステム。メリットは効率化だけではない。

福岡高校・溝田陽一郎副校長は、「スマホ決済にすることで、保護者の方にもお子さまが何を食べたか、情報が共有できますので、栄養管理にも役立つのではと思っております」と話す。

学校生活になくてはならぬ学食だが、福岡の県立高校、全95校のうち実に90校に学食がある一方で、九州の他県に目を向けると、鹿児島県では61校中12校、長崎県では56校中ゼロ、沖縄県でも59校中ゼロ、さらに最近は物価高騰などの影響で学食の運営から撤退する企業もある。福岡県は「学食天国」なのだ。

福岡の学食文化がどう変わっていくのか、今後も注目だ。

(テレビ西日本)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(19枚)
テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。