東京・清瀬市の郷土博物館を訪問された紀子さま(2024年4月30日)
東京・清瀬市の郷土博物館を訪問された紀子さま(2024年4月30日)
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秋篠宮妃紀子さまは4月30日、東京都清瀬市にある郷土博物館を訪問し、この清瀬市と関わりの深い「結核」についての展示をご覧になりました。

2023年リニューアルされた展示室では、清瀬市に初めてできた結核の療養所「東京府立清瀬病院」の跡地から出土した、医療器具や患者が使った日用品などが並びました。

清瀬病院が開設した後に、多くの結核療養施設が造られ、病院への物品納入や見舞客、患者を対象とした商店街が並び繁盛したという話に、「お互いが支え合ったのですね」と感想を述べられていました。

お帰りの際には、「結核について興味深く拝見させていただきまして、とても良い学びになりました」と述べられたということです。

「清瀬市と結核」について関心を寄せ続けてこられた紀子さま

テーマ展示「結核療養と清瀬」をご覧になられる紀子さま(2022年4月11日)
テーマ展示「結核療養と清瀬」をご覧になられる紀子さま(2022年4月11日)

この博物館には2022年4月にも訪問していて、この時は、清瀬市の伝統的な生活風習などの常設展示のほかに、テーマ展示「結核療養と清瀬」をご覧になっています。

その際も、清瀬市の展示パネルに「貴重な資料ですね」などと述べるほか、結核予防の普及活動の様子を興味深くご覧になられています。

テーマ展示「結核療養と清瀬」をご覧になられる紀子さま(2022年4月11日)
テーマ展示「結核療養と清瀬」をご覧になられる紀子さま(2022年4月11日)

そして、この時に「清瀬にこんなにたくさんの結核療養施設があって、多くの方が療養されていたことなども、改めて調べていきたい」と話されていたということです。

清瀬市は、昭和6年に清瀬病院が設立されて以降、多くの結核療養施設が作られていきます。昭和29年には、十数もの結核療養関連の施設が開設しています。

紀子さまが総裁を務める結核予防会による「研究所」も、昭和18年に清瀬に移転してきたほか、昭和22年には複十字病院の前進、結核研究所臨床部の病棟が、清瀬市に開設しています。

こうしたこともあり、紀子さまはこれまでも「清瀬市と結核」について、関心を寄せ続けてこられたのです。

今回の清瀬市ご訪問では、郷土博物館に続いて、紀子さまは清瀬中央公園の清瀬病院跡地に立つ「清瀬病院記念碑」を訪れています。

さらにここを皮切りに、清瀬市に残る「結核にゆかりの地」へと、散策され始めたのです。

外気舎記念館:
結核からの回復期にある患者が2人一組で大気療法や作業を行い回復を図るための木造の病棟として使われた小屋。現在は国立療養所東京病院の一角に移設されている。

歩行訓練路:
患者がそれぞれ決められた距離を歩き、体力回復を図った。リハビリテーションの考え方。桜の木がたくさん植えられている。

清瀬小児病院跡地:
現在はアカマツ保全地域となっている場所。子どもと親が共に治療に向かい合ったこともあり、母子像が設置されている。

松山緑地:
結核研究所付属療養所の一部で、雑木林として保存されている昔は入院病棟があった。

こうした場所を、紀子さまは2時間以上かけて回られました。

「学ぶ」ことの大切さを示された紀子さま

実は、こうした結核に縁の場所について、2014年に当時結核予防会の顧問だった島尾忠男氏が清瀬市内でツアーを行ったということで、興味を持った紀子さまもいつか回ってみたいと思われていたということでした。

そんな思いをお持ちとは知らなかった私たち記者に、紀子さまは、清瀬病院記念碑をご覧になった直後、「ご一緒にいかがですか」と語りかけられたのです。

この「ご一緒に」には一緒に学びましょう、という意味が込められていたと感じました。

ご一緒させていただくことにすると、紀子さまは靴を歩きやすいものに履き替えており、足取りも軽快に、大集団の先頭を結核予防会の方の説明を聞きながら、歩かれていきます。

その手には、地図などの資料のほか、メモ用の小さなノートを持ち、説明者の話を書き取られていました。

予定された縁の地を回り終えた時、紀子さまは記者たちに「たくさんの学びがありました」と述べられています。

この「学び」という言葉は、紀子さまから何度もお聞きした言葉です。そして、「学び」を大切にされるのは、ご自分の事だけではないようです。

2023年に清瀬第二中学校で、結核に関する授業を学ぶ生徒の姿をご覧になっています。

清瀬に結核研究所があり、研究が進められてきた歴史などについての生徒の発表などもお聞きになりました。そして、「また来ますね」と声をかけられていました。

東京・清瀬市の清瀬第二中学校で授業を見学される紀子さま(2023年4月25日)
東京・清瀬市の清瀬第二中学校で授業を見学される紀子さま(2023年4月25日)

紀子さまご自身も、多くのことを「学ぶ」姿勢を持ち続け、「学ぶ」人たちに温かい目を向け、「学ぶ」ことの大切さを示されています。

私たち記者に対しても「ご一緒に」と学びへと誘ってくれました。こうした紀子さまの「学ぶ」姿勢は、これからも拝見する機会は多いのだと思っています。
【執筆:フジテレビ皇室担当解説委員 橋本寿史】

橋本寿史
橋本寿史

フジテレビ報道局解説委員。
1983年にフジテレビに入社。最初に担当した番組は「3時のあなた」。
1999年に宮内庁担当となり、上皇ご夫妻(当時の天皇皇后両陛下)のオランダご訪問、
香淳皇后崩御、敬宮愛子さまご誕生などを取材。