中国の大型連休期間中、日本が中国からの海外旅行先として最も人気があるという。
円安の影響もあり、北京発・東京行きの航空便はほぼ満席。
専門家は、円安が日本のインバウンド市場に追い風をもたらす中、オーバーツーリズム対策が課題と指摘する。

中国連休開始 海外旅行で日本が人気1位

中国では、1日から大型連休が始まる。
円安の影響などもあり、2024年の海外旅行先の人気1位は日本となっている。

空港のカウンターで列を作る中国人旅行客
空港のカウンターで列を作る中国人旅行客
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FNN北京支局・河村忠徳記者:
こちらは日本の手続きをするカウンター前になります。朝早くから、中国人旅行客がこのように列を作っています。

中国では5月1日から5日まで「労働節」と呼ばれる連休に入る中、北京の空港では、日本行きのカウンター前に多くの中国人旅行客の姿が見られた。

中国の大手旅行会社によると、2024年の海外旅行先の人気1位は日本で、4月27日から5月1日までの北京発・東京行きの便は、ほぼ満席だという。

日本への旅行客:
USJの「スーパーマリオ」が楽しみ。

日本への旅行客:
為替レートが安いうちに買い物したい。

中国ではこの連休の期間中、飛行機や鉄道を利用して、延べ1億5000万人以上が移動すると予想されている。

インバウンド消費は自国で輸出展開も

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
── 中国で一番人気のある海外旅行先は「日本」ということですが、いかがですか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
コロナ前にはインバウンド客の約3割を中国からの旅行者が占めていたが、2019年と比べると、3月は65.4%となっている。

日本と中国は、コロナ前には滞在期間15日以内のビザ免除措置を実施していたが、現在は、まだ制限が続いている。

私は4月中旬、中国の広州で講演を予定していて、仕事で訪問するビザが下りるまで申請から4日程度かかった。逆に、中国から日本を旅行で訪れる場合は時間がかかり、6日程度かかるとされている。

今後は日本と中国の間で、観光やビジネスで、人的交流をより盛んにすることが日本経済にとって望ましい。

堤キャスター:
── 円安という追い風もあり、インバウンドはますます増えそうですね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
エネルギー、原材料、さらには食品などの多くを輸入に頼る日本にとって、円安は物価高につながる一方、商品やサービスを海外に輸出する場合は有利になる。

景気の回復期には、この円安のメリットを生かして経済成長をはかることが大切。

海外の方に日本でお金を使ってもらう「インバウンド消費」も輸出にカウントされる。海外の方が旅行中に、日本の「いいモノ」をショールーミングしてもらうことは大事。

自国に帰ったあとも、日本企業が現地で展開するコンビニやスーパーを利用したり、飲食チェーンを訪れたり、さらには越境EC(電子商取引)など、日本企業の商品やサービスを継続して購買してもらうチャンスにつながる。

外国人観光客を受け入れる体制を

堤キャスター:
── 一方、課題については、いかがですか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今、インバウンド客は毎月のように過去最高を更新しているが、一方では“オーバーツーリズム”対策も必要。

例えば、海外では普及しているライドシェアなどの移動手段の多様化を、全国で進めていく必要がある。

それと、翻訳サービスのデジタル化や、表示の外国語対応も進めていく必要がある。

訪日外国人観光客の受け入れ体制を整えて、世界No.1のフランスをキャッチアップすべく、ここ数年の受け入れ体制作りが、日本国内で大事になってきそうだ。

堤キャスター:
日本人として、安い国「日本」ではなく、良い国「日本」に触れてほしいと思います。
ここではサービスや質に対する適正な価格、さらには賃金の見直しなどを含めて、日本という国の価値を高めるための取り組みも必要なのではないでしょうか。
(「Live News α」4月30日放送分より)

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