自民党は派閥の解消に伴い、党内の中央政治大学院が中堅若手議員向けの勉強会を開催した。この勉強会には、これまで派閥が担ってきた議員の育成を担う狙いがあるが、政策集団が存続する一方で、中央政治大学院に勉強会の機能を付け加えることは、改革をアピールするためのこじつけに見えるという専門家の意見もある。

自民「背骨勉強会」中央政治大学院で開催

派閥の解消を受け、自民党は、派閥に代わって議員を育成するため、中堅若手議員向けの勉強会の初会合を開いた。

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自民党・遠藤中央政治大学院長:
政治の金問題、ご批判をいただいておりますが、世界観を持った対策・施策をしっかりしていかなくては。

「背骨勉強会」と銘打った今回の勉強会は、政治資金事件をうけ、安倍派や、岸田派、二階派などが解散したことから、派閥が担ってきた議員の育成を担う狙いがある。

自民党の人材養成組織、中央政治大学院が開催し、衆議院は当選4回以下、参議院は当選2回以下が対象。初日の4日は、94人が出席し、斎藤経済産業大臣が戦前史をテーマに登壇した。

勉強会は“改革アピール”?

「Live News α」では、津田塾大学教授の萱野稔人さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
自民党による人材育成のための勉強会ということですが、萱野さんは、どうご覧になりますか。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
派閥を無くしていこうとする以上、党として組織的に人材育成を行っていかなくてはならない、という考えは理解できなくもないが、これについては違和感の方が強いです。

まず、派閥は政策集団としては残るという意見と、どう整合性をとるのかという違和感があります。政策集団が存続するのなら、そこが勉強会の場になるはずです。

自民党内で候補者発掘などを担う「中央政治大学院」に、わざわざ議員の勉強会の機能を付け加えることは、改革をしていることをアピールするためのこじつけに見えてしまいます。

堤キャスター:
今回の試みが、政治が変わることに繋がっていくのか。問われるのは、そこなのかもしれませんね。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
その点でいうと、国会議員を長く続ければ続けるほど、永田町の論理に染まり、社会の常識や変化に疎くなってしまうとすれば、むしろ再教育が必要なのは、若手・中堅議員よりもベテラン議員ではないかという違和感もあります。

何より、そもそも派閥を解消することが問題の解決なのかという違和感がぬぐえません。もともと派閥解消の流れを作ったのは、岸田首相の出身派閥である宏池会の解散でした。

内閣支持率が低迷している岸田首相にとって、派閥の解消は、派閥を背景にした自民党の重鎮達の力を削ぐことにもつながります。

派閥は中間組織体として、党内の抵抗勢力にもなりうることを考えるなら、その派閥をなくしていくことは、党内で岸田首相自身への求心力を高める狙いもあったのではないかと勘ぐりたくもなります。

優先すべきは、政治家自身を縛る法改正の実現

堤キャスター:
萱野さんは、政治とカネの問題をクリアするために、どんなことに取り組むべきだと思われますか。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
解決すべきなのは、裏金問題に端を発した政治とカネの問題です。そうである以上、派閥の解消よりも優先すべきは、政治家自身を縛る法改正の実現ではないでしょうか。

具体的には、政治資金規正法を改正して、政治資金をもっと透明化していくことが必要なのではないかと思います。派閥の問題ばかり議論されるのは、問題の本質からずれていってしまうようにみえます。

堤キャスター:
何のために政治家を志したのか初心を取り戻していただき、クリーンな政治を期待したいです。
(「Live News α」3月4日放送分より)

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