富山県小矢部市で木材加工会社を立ち上げ、家具や雑貨を製作している木工職人の福江翔太さん。端材の新たな使い道を考えるデザイナー「ハザイナー」として生み出す商品が注目されている。

世界で唯一!?のハザイナー

木工職人の福江翔太さん
木工職人の福江翔太さん
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端材の使い道を考え、デザインして商品に変える「ハザイナー」として活躍する木工職人の福江翔太さん。

福江翔太さん:
「僕は世界で一人だけのハザイナーとして、使い道がないと思われる端材に新しい命を吹き込んでいます」

廃棄される端材を有効活用し、木材の魅力を発信しようと福江さんが発案した、端材のデザイナーだ。

以前、製材所で働いていた頃、木材加工の過程で出る大量の端材を何とか生かせないかと考えていた。

福江翔太さん:
「いやいや使い道あるでしょうと思って何になるかは考えてなかったけど絶対使い道はあると思って、その時から端材に何かしら新しい命を。ちょっとおこがましいけど」

端材から生まれる新たな命

福江さんは、カッティングボードや木のトロフィー、黒板のような小さなメッセージボードなど、もったいないから生まれたオリジナルの商品を手がけている。

‟自分が欲しい”をテーマにユニークで愛着が持てるデザインを考えている。

中でも2023年商品化し人気となっているのが、フランスの焼き菓子カヌレのような商品。

実はロウとおがくずで作った着火剤だ。

商品化のきっかけは、福江さんの実家の寺で出るロウソクにあった。​

福江翔太さん:
「使い切ったロウというかお寺で使われているロウソクの途中のもので捨てちゃうものを回収して着火剤に使おうと」

廃棄されるロウソクと工房で出たおがくずを組み合わせ、カヌレの型で作った、その名も「チャッカヌレ」

表面に白く残ったロウを一つ一つ炙って仕上げ、見た目にもこだわっている。

福江翔太さん:
「喜ばせたいのが一番もらった人が初めて見た時に何?カヌレ~?って思って頂けるようにしたかったのでこだわって作らないと人の笑顔は生めないんじゃないかとカヌレ以外でも思ってる普段から」

見た目のかわいさだけでなくカヌレの山のような形と溝が功を奏し強い火力が生まれることから、アウトドアや薪ストーブ初心者への贈り物として、またグランピング施設などからも引き合いがあるという。

ハザイナーが注目する端材が

福江さんが訪ねたのは、南砺市のバット工場。

福江さん(右)とバット職人の中塚陸歩さん(左)
福江さん(右)とバット職人の中塚陸歩さん(左)

昔ながらの手削りで年間1万本の木製バットを手がけ、全国シェアの4割を占める会社だ。

この会社では、バットの材料として生の木材を仕入れ工場でじっくり乾燥させていることから、その段階で木が割れたり、中から節が出てきたりと、バットにならない木材が出てくる。

バット職人 中塚陸歩さん:
「バットにならないものはほとんどが今の時期の薪ストーブの燃料にして燃やしてしまってたけどもったいないので何か活用できる方法はないか模索していたところ福江さんと出会って色々進めている」

 

そこで福江さんが思いついたのが小さなバット。その使い道は…

バットの形をした薪割り。

素材や大きさなどバット職人の腕を生かして数ミリ単位で調整してもらい、1年がかりで完成した。

福江翔太さん:
「全然力入ってない。叩いてる感覚も全くなくて手に衝撃が全くこない」

野球選手がバットの芯でボールをとらえるように、手に衝撃がなく少しの力で簡単に薪を割ることができ、アウトドア初心者や女性、子供でも使いやすいと評判だ。

アウトドアシーズンが始まる5月頃の商品化を目指していて、福江さんは今後も「あらゆる端材の可能性を見出したい」と話す。

福江翔太さん:
「例えば木材と布を合わせると面白いものができる鉄と皮を合わせても面白いものができるのでそういった異業種をつなげる存在になっていきたい」

世界で1人のハザイナー。

端材の価値を信じて、きょうも新たな命を吹き込んでいる。

(富山テレビ)

富山テレビ
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