セブン-イレブンが、オフィスのスペースを利用したコンパクト店舗の出店を2024年春から本格的に開始する。
スマホアプリでの決済で業務が効率化され、福利厚生としての企業ニーズにも対応。
コンビニ業界では、小規模店舗への展開が加速しており、これにより海外展開も期待される。
コンビニのコンパクト店舗が本格始動
セブン-イレブンは、オフィスの狭いスペースを活用したコンパクトな店舗の出店を本格的に進める。
この記事の画像(11枚)セブン-イレブン・ジャパンが2024年春から本格的に出店を始めるのは、オフィスの食堂があった場所などを活用した「コンパクト店舗」。
レジでの会計をする必要がなく、専用のスマホアプリで入店の際のQRコードや、商品のバーコードなどを読み取るだけで決済が可能。
従業員は、レジでの業務がなくなることで、商品の陳列などに専念できるとしている。
セブン-イレブン・ジャパン 店舗事業開発部 総括マネジャー・川北篤さん:
(従業員の)一番負担にかかるのがレジの対応。通常のお店よりもかなり少ない人数でお店を運営できる。
コロナ禍でオフィスにあった企業の食堂が閉店し、その代わりとなる「福利厚生の場所を設置したい」というニーズに対応する狙いで、今後、工場やタワーマンションなどにも出店を進めていく方針だ。
購買客数減少の歯止めとなるか
「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。
堤 礼実 キャスター:
── 今回の試み、コンビニの店長経験もある渡辺さんは、どうご覧になりますか?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
顧客メリットとしては、セブン-イレブンのえりすぐりの1000品の品ぞろえは、通常の売店と比べてバラエティーに富むものであり、ATM( 現金自動預払機)の設置も利便性の向上につながる。
一方のセブン側も、顧客のスマホをレジにするなど、品出し・清掃などを除けば、ほぼ無人で運営でき、人件費が削減できる。
今回、業界No.1のセブン-イレブンが特定の顧客を対象に、無人化したコンパクト店舗をフォーマット化して展開するのは、コンビニの未来を考えるうえで大変興味深い。
堤 礼実 キャスター:
── それは、どういうことでしょうか?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
そもそも、もう街中にコンビニの店舗を増やしていくのは考えづらい。
加えて、人口の減少とコロナ禍の行動変容もあって、コンビニの去年(2023年)の購買客数は162億人弱と、ピーク時の4年前と比較して、12億人も減少している。
こうした逆風の中でコンビニ各社は、鉄道のホーム・工場・オフィス・マンションといった特定の顧客を対象にする閉ざされた小さなマーケットへの出店を加速させている。
ここでコンパクト店舗の運営ノウハウを蓄積できると、海外展開にも応用できる可能性がある。
東南アジアではミニマムサービス
堤 礼実 キャスター:
── 具体的には、どのような形で海外に出ていくのでしょうか?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
例えばベトナムでは、便利なフルスペックの日本のコンビニよりも、韓国のコンビニの進出数が上回っている。
韓国のコンビニは、日本の店舗と比べて店舗の大きさも半分程度の店も多く、トイレやコピー機なども置いていないが、現地の顧客はこれで十分なのかもしれない。
例えば日本のコンビニでは、おにぎりや弁当などの中食が人気だが、東南アジアは安くておいしい屋台を含めた外食が多く、中食で売り上げを伸ばすことはなかなか難しい。
今回のセブン-イレブンのコンパクト店舗は、実は東南アジアで求められている形に近く、日本で小さな店舗の運営ノウハウを蓄積して、海外展開で活用されるのを期待したい。
堤 礼実 キャスター:
スタッフの方が接客してくれるお店もいいですが、人手不足など店舗運営のコストが増えていく中で、無人店舗によって解消される問題も多くあるのではないでしょうか。
(「Live News α」2月15日放送分より)