政府は13日、脱炭素社会の実現に向け「水素社会推進法」などを閣議決定。法案は、水素やアンモニアの利活用を促進するため企業を支援したり、二酸化炭素の貯留技術を推進するもの。太陽光や風力発電の問題を解消する次世代エネルギー分野で日本が先行できるか注目される。

脱炭素へ…2法案を閣議決定

脱炭素社会の実現に向けて、政府は次世代エネルギーの利活用を促進する「水素社会推進法」と「CCS事業法」の2法案を閣議決定した。

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政府が13日に閣議決定した「水素社会推進法」は、次世代エネルギーの水素や、アンモニアの利活用を促進するため、企業に財政支援を行う法案。

設備を建設する助成金のほか、水素と天然ガスの販売価格差を埋めるための補助金を創設し、普及を後押しする。

また「CCS事業法」は、工場などから排出される二酸化炭素を地中深くに貯留する技術「CCS」を実用化するための許可制度などを定めたもので、地層を調査する権利「試掘権」や、実際に貯留する権利「貯留権」を与える。

政府は両法案の今国会での成立、2024年内の施行を目指す。

貯蔵して長距離を運べる水素やアンモニア

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
これからのエネルギーについて、さまざまな選択肢が示されているようですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
CO2削減のためのエネルギーというと電力と思われるかもしれませんが、電力は貯めておいたり、長距離を運ぶのが難しいです。

例えば、クリーンエネルギーの電力を作るために太陽光や風力の発電を考えてみましょう。太陽光の場合、太陽光パネルを大量に敷設する広い敷地が必要ですし、風力の場合なら、騒音などの問題があるので、住環境の近くには設置できません。

そう考えると、「貯められない・運びにくい」は、電力にとっては大きなハンデになります。

堤 礼実 キャスター:
その使い勝手という点では、水素やアンモニアはどうなのでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
水素やアンモニアを活用する際のメリットとして、タンクに貯めて長距離を運ぶことができます。つまり、水素・アンモニアは、クリーンエネルギーとしての電力の弱いところをカバーすることができるんです。

水素やアンモニアは、直接燃焼させてエネルギーに変えることもできますが、水素は、燃料電池として電力を作ることもできます。つまり、電気を電気の形で運ぶのではなく、水素の形で運び、使用する場所で電力に変えるという使い方です。

エネファームや燃料電池車は既に実用化

堤 礼実 キャスター:
私たちの暮らしの中で、どのような形での活用が考えられるのでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
燃料電池は家庭用のガスから取り出した水素を電力に変えるエネファームや、主にトヨタなどが開発する燃料電池車として、すでに実用化が始まっています。

とりわけ、燃料電池車は商用車としての利用が早く実現しそうです。EVのように充電に時間をかけず、ガソリンの給油と同じ手軽さで水素を充てんできる使い勝手は、時間が大切な商用車にとって、とても便利だと考えられています。

また、トヨタは、水素を内燃機関の燃料とする水素エンジンの開発も進めています。

燃料電池や水素エンジンは、日本発のクリーンエネルギーとしてとても注目されています。この分野で日本が世界に貢献できて、それがビジネスにもつながると、よいですよね。

堤 礼実 キャスター:
日本が世界にさきがける形で、クリーンエネルギーを活用した社会を築けるといいですね。
(「Live News α」2月13日放送分より)

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