『楽しくアクション! SDGs』と題して、持続可能な社会のために何ができるか、SDGs(持続可能な開発目標)を見つめ直す。
今回は、国際協力NGOの「ジョイセフ」が販売を開始した「SRHR NOTE」に迫った。
「性と体のマイノート」国際協力NGO「ジョイセフ」発表
東京都内で行われた発表会。
この記事の画像(14枚)参加者が、真剣なまなざしで見つめているのは、国際協力NGO(非政府組織)の「ジョイセフ」が販売を開始した「SRHR(エスアールエイチアール) NOTE」。
産婦人科医などが監修を行い、その日の性に関する健康チェックができるカレンダーや、妊娠しているかもしれないときに、どのような行動をとればいいかなど、イラスト付きで掲載されている。
また、ジェンダーのページには、「男は人前で泣いてはいけない」、「女は足を開いて座るべきじゃない」といった、性別による思い込みの例なども記載されている。
「自分のこととして考える」
ノートの対象は高校生から20代までだが、発表会には多くの企業が参加していた。
参加企業:
ジェンダー平等だったり、女性のキャリア向上は、すごく課題になっている。何もないで話すとなかなか難しいので、このノートは大事なツールになると思う。スポーツアパレルの会社なんですけど、その中のブランドでは、使おうと思っている。
参加企業:
うちの会社でも、研修でDEIやジェンダーを学ぶ機会がこのところ急に増えているので、私も昭和世代だが、世の中の移り変わりを、しっかりキャッチアップしないとまずいと思った。
(DEI = 「ダイバーシティ(多様性)」、「エクイティ(公平性)」、「インクルージョン(包括性)」)
学校教育だけでなく、企業などでの活用も期待される“性と体のMYノート”。
企画・執筆したのは、20代の女性だ。
企画・執筆 ジョイセフ 青山紗都子さん:
若い世代は、日々の生活で違和感を感じるところが多くあると、周りでも声が上がっていて、大人の方にも、(ノートを)手に取ってもらったら知識は増えると思うし、こういう考えもあるんだと気づいてもらえると思う。人ごとに思わずに、1人ひとりの考え方が、社会を大きくつくっていると思うので、そこを自分のモノとして考えてほしい。
ノートは、「ジョイセフ」のオンラインショップで、1冊330円で購入できる。
「知識・お互いを尊重」シンプルなこと
「Live News α」では、4児の母で産婦人科専門医の稲葉可奈子さんに話を聞いた。
堤 礼実 キャスター:
── 稲葉先生も監修に加わったこのノートを通じて知ってほしいこと、考えてほしいことに、どのようなものがありますか?
産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
このノートにあるSRHRというのは、「Sexual Reproductive Health & Right(セクシャル リプロダクティブ ヘルス&ライツ)」のことです。
これは性に関することと、お子さんを望むか望まないかについての健康と、自分で決める権利が、性別に関係なく誰にもに与えられているという、基本的人権の1つとして国際的に認識されています。
男女の体の違い、生理のこと、さらには、性的同意、避妊、子宮頸(けい)がん予防、妊活や不妊など、大人になるまでに知っておきたいトピックが詰まっています。
堤 礼実 キャスター:
── 大切なことなのに、誰も教えてくれない。その機会がなかったという方、多いかもしれませんね?
産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
知らなかった、と後悔することのないように、そして、性暴力の被害者にも加害者にもならないように、本来は学校でちゃんと教えるべきです。
若い世代のうちに知っておきたいことである一方で、今の大人世代は教わることなく社会に出ています。大人が知る機会というのも必要と感じています。
例えば、性的同意についても、何も難しい話ではなく、信頼関係のうえで、お互いのその時々の気持ちを尊重して、ちゃんとコミュニケーションを取るということです。
そして、「『NO=嫌い』というわけではない」ということは、性的同意にかかわらず大事な認識です。
「ジェンダーフリー」男性も生きやすく
堤 礼実 キャスター:
── このノートでは、ジェンダーギャップの解消についても触れていますが、これについてはいかがですか?
産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
今回の発表イベントでも、20代後半の女性が「仕事か、子どもか、選ばなければならない」と悩んでいる方がいらっしゃいました。どちらか一方しか選べないわけではなく、両方欲張っていいんです。
性の多様性への理解は広まっている一方で、「家事育児は女性」というようなジェンダーバイアスは根深く残っています。
やはり、各世代のマインドチェンジが必要です。ジェンダーフリーというのは、女性のためだけでなく、「男性も生きやすい社会になるということ」と知っていただきたいです。
堤 礼実 キャスター:
何ごとも、まずは知るということが大切です。こういったものをきっかけに、より多くの人が心と体に向き合ったり、自分たちの権利についての理解が深まっていくことを期待したいですね。
(「Live News α」2月8日放送分より)