自民党の岸田派に所属する田村政調会長代行と、立憲民主党の長妻政調会長が21日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)に出演。岸田首相が表明した岸田派解散について田村氏は、首相から事前に連絡があったことを明かしたうえで、「非常に強い意志のあらわれだった」と強調。「これからの自民党の姿勢を見て頂きたいという思いだったのだろう」と説明した。一方、長妻氏は自民党の派閥解散の動きについて、「裏金と関係ない話で、完全な論点ずらし」と批判。さらに、「(派閥が)本当に解散することはあり得ないと思う」と述べた。また、番組コメンテーターの橋下徹氏は、「岸田頑張れ、みたいな、新しい政治を作ってくれ、みたいな雰囲気になるところを国民はしっかり見なきゃいけない」と指摘した。

以下、番組での主なやり取り。

安宅晃樹情報キャスター(フジテレビアナウンサー):
田村氏は岸田派所属だが、今回のこの決定について、岸田首相から事前に話はあったか?

田村憲久氏(自民党・政調会長代行/岸田派・副会長):
(岸田首相が発表する)寸前に連絡があった。非常に強い意志のあらわれだったと思う。今自民党がこういう状況で、色んな改革案を出しても、今の状態では多分、国民が耳を貸してくれないという判断の中で、自らこのような形で派閥の解散を宣言することによって、それで許されるとは思わないが、まずは、これからの自民党の姿勢を見て頂きたいという、そういうような思いだったんだろうと思う。

安宅キャスター:
岸田首相からは、相談ではなく事前に報告という形であったのか?

田村氏:
相談というか、報告というか、それはもう「阿吽の呼吸」だったというふうに思う。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
岸田首相の岸田派解散という決断を長妻氏はどう評価するか。

長妻昭氏(立憲民主党・政調会長):
これは完全に論点ずらしだ。裏金と関係ない話だ。なぜなら、自民党の県連パーティーでも裏金疑惑がある。あるいは、薗浦健太郎氏という自民党の元議員は、個人のパーティーで裏金を作っていたわけで、論点ずらしに成功したと岸田首相が思っているとしたら、私は国民そんな甘くないと思うし、しかも、今の報道も含めて、自民党の中の反応も含めて、本当に(派閥を)解散するという前提で議論が起こっているようだが、私は本当に解散するなんていうことは、ありえないというふうに思う。福田達夫議員が早速、反省の上に新しい集団を作っていくことが重要だということで、おじいさんの福田赳夫さんが清和会(安倍派)を作った方なので、結局派閥が分裂して、新しい派閥になるということなので、あんまりそれを大きな論点として、マスコミや党が取り上げると全く裏金の話がどっかに行ってしまうような、目くらまし作戦じゃないか。いずれにしても30年前に自民党が政治改革大綱で、自民党自らが派閥はなくすいうのを30年前に決めておいて、30年間それを破ってきたので、きちんとケジメをつけてほしい。

梅津キャスター:
今の意見を聞いて、田村氏はどう思うか?

田村氏:
自民党のいわゆる派閥っていうものの要件が、実は暗黙の中にあって、一つは政治団体であること、つまり、お金が集められるということ。それから、事務所を持っているということ。もう一つは、木曜日の昼間12時に総会を開くこと。(派閥の)掛け持ちをさせないっていうこと。その上で、党の方に登録というか報告することになってる。この4つが派閥の要件になっているが、政治を、お金を集めるというもの、つまり政治団体というものをどう考えるのか、というところ。それから、掛け持ちをさせないっていう。今、福田達夫氏が言われているような、色んなグループっていうのは、多分自民党だけじゃなくて、色んなところにあると思う。問題は掛け持ちをするかしないか、っていうところなので、その掛け持ちをさせるのか、しないのかによってだいぶ変わってくると思う。ただ、何よりも、大きな集団をまとめるためには、そういう派閥のようなところがあった方が意思の決定、形成をしやすい。これがなくなった時に、みんなの合意を得ようと思うとかなり苦労がある。これは党の総裁を決めるだけじゃなく、意思を決定するにもかなりの手間をかけていかなきゃならないという中でのいろんな判断になっていくのだろう。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
(派閥を)掛け持ちさせないっていう意味で、毎週木曜日に昼に各派閥が集会を開いて、そこで一箇所しか行けないっていう構図になっていたが、これも今後変わってくるのか?

田村氏:
今言った派閥の要件というもの、派閥というものを解消していくんだとすれば、また、今あるグループが形を変えていくんだとすれば、そういうようなお金を集める機能だとか、掛け持ちさせないというような機能、こういうものをどう見ていくかというところが、焦点になってくると思う。

梅津キャスター:
視聴者投票の結果が出た。岸田派の解散表明について岸田首相の判断にあなたは?という質問に対して評価するという方が26%、評価しないという方が62%、どちらとも言えないという方が12%、この結果をどう見るか。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
視聴者がよく理解していると思うが、ただ、(他の)世論調査を見るとね、岸田政権の支持率、上がっている。自民党の支持率はあんまり下がってない。むしろ野党の支持率が伸びずに下がってるところもある。長妻氏が言われた通り、今回のこの派閥の問題は論点ずらしだ。政治とカネの問題から全然違うところに行ってしまって、これはやはり、自民党ってしたたかなのか何なのか、意図しているのかどうかわからないが、これから岸田首相と麻生副総裁が派閥の解消をめぐって大バトル(をやる可能性がある)っていうことで、メディアが一斉に報じると思う。なんとなく岸田頑張れみたいな。新しい政治を作ってくれ、みたいな雰囲気になるところを、国民はしっかり見なきゃいけないと思う。だから、野党は、これからのメディアの報道に負けないぐらいの改革案を出して、(自民党内の)バトルというのはインパクトが大きいので、これを上回るだけの改革案を出してもらいたい。気になるのは、主要な野党、特に立憲民主と維新の方が、どうも政治とカネの問題についてはインパクトが弱いというか。今やっとメディアも報じてくるようになったが、政策活動費っていうものすごい“大きな闇金”がある。収支報告書への記載不要、領収書も不要、精算も不要、納税も不要、ものすごい裏金を主要野党である立憲民主党も維新の会もこれを使っている。維新の会などは、身を切る改革とか、日本を大改革すると言いながら、政策活動費の使途公開については、まだ後ろ向き。立憲民主党も今議論しているということだが、廃止でいいのではないか。

長妻氏:
ちょっと(橋下氏に)誤解があるが、我々は(政策活動費は)廃止だ。我々も去年からこの政策活動費はやっていない、使っていない。それで、今後も政策活動費は廃止するということで我々は決めていきたい。政策活動費がなくても、きちっと政治活動はできるということなので、これは廃止をするということだ。

松山キャスター:
逆に自民党の田村氏にも聞きたいが、政策活動費、つまり党から各議員へのお金ってことになるが、この使途を明らかにするっていう議論がずっとある。これはどういうふうに取り組んでいくのか。

田村氏:
これも党の中で議論していかなきゃいけないだろう。今日は政治改革に対して党を代表して出てないんで個人的な意見になるが、個人的には、昔の文通費(旧文書通信交通滞在費)。これなんかをもう(使途を)開示していった方がいいと思う。

橋下氏:
田村氏には是非党を引っ張ってもらいたい。

松山キャスター:
結局、派閥解散をしたとしても、何らかの形で似たようなものがすぐ戻るんじゃないかというふうに思ってる人も多いと思う。1994年の政治改革の後も半年ぐらいでだいたい政策集団ということで同じようなものが戻ってきたという経緯があるが、ここはどういうふうにしていくか。

田村氏:
先ほど申し上げたみたいに、政治団体であるだとか、つまりお金の問題だとか、他に掛け持ちを許さないだとか、そういうところをどう見るかっていうのは実態になってくると思う。それと、今回、岸田首相が自らの宏池会の解消というものを言ったのは、支持率というよりは、国民の皆様に対する覚悟。つまり今自民党が何言っても聞いてもらえない。だから、まずは聞くだけは聞いてくださいと。中身見て判断してくださいという、その覚悟を示したのだろう。私は宏池会に入って4ヶ月で入ったばかりなので、あの岸田首相も私に対して「あなた入ったばかりで申し訳ないけど」という話をしていたが、そこは岸田首相の覚悟というものを私も感じたので(派閥解消に)賛同した。

日曜報道THE PRIME
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