12月21日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権。

「優勝する気で勝ちに行きたい」と意気込むのは、三浦佳生(18)だ。

去年の全日本は6位だったが、その後出場した四大陸選手権と世界ジュニア選手権で2冠を達成した。

『進撃の巨人』は振付師のシェイ=リーン・ボーンに振付を依頼
『進撃の巨人』は振付師のシェイ=リーン・ボーンに振付を依頼
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三浦の今シーズンのフリーは、人間と巨人の戦いを描いた、大人気コミック『進撃の巨人』。

そのワンシーンから、三浦は「心臓を捧げてから4回転を跳びにいきます」と並々ならぬ決意を見せる。

ランボルギーニ「釣り合ってない」

今シーズンの三浦は、初戦から過密スケジュールだった。

8月に「げんさんサマーカップ」「木下トロフィー」を連戦し、優勝。

9月の東京選手権は3位だったが、10月のフィンランディア杯で優勝する。

9月の東京選手権で三浦は3位に
9月の東京選手権で三浦は3位に

GPシリーズ2戦にも出場し、スケートカナダで2位、フィンランド大会で初優勝すると、2年連続のGPファイナル出場を決めた。

そのGPファイナルでは体調不良もあり、本来の力を発揮できず5位に。

だが、今年の三浦はこれまでとはひと味違い、真夏の地方大会からアクセル全開で、他の選手も「今年の佳生は違う」と口をそろえる。

インタビューに応じた三浦
インタビューに応じた三浦

三浦の特徴は、トップスピードから繰り出す回転速度が速い、飛距離のある4回転ジャンプで、ついた異名は「ランボルギーニ」。

本人にこの異名について聞くと「高級車じゃないですか。全然、釣り合ってない(笑)。だからもっと、自分がうまくならないといけないので、うまくなったら呼んでください。ランボルギーニって呼ばれるように頑張ります」と謙遜する。

4回転ループの参考は羽生結弦

その三浦にとって、今シーズンのカギは4回転ループだという。

「不思議なことに練習だと全然決まらないんです。全く回転も回らない。でも、現地の会場に行ったりすると、なぜか跳べるというナゾが起きていて、最近。

ちょっと自分でもよくわからないんですけど。練習から跳びたいのに、練習だと全然回らない。なのに本番リンクに行くと回るようになる。

そこに期待するのもおかしいですけど、違う刺激やスイッチが入ったときによくなるというか成功率も変わりますね」

本番には強いタイプだと本人の自覚もあるといい、「練習で決まらなくても本番で決まったりする。でも例えば全日本や大きな大会で失敗につながることもあるので、練習でも成功できるようにしたい」と語った。

氷上練習をする三浦
氷上練習をする三浦

その4回転ループの参考にしているのは、オリンピック2連覇をしている羽生結弦さんだという。

「やっぱり一番は羽生結弦さん。きれいに跳び上がっているんですよね。跳び上がりのムダがないというか。離陸から着陸までのすべてにムダがないので、そういったところをしっかりスローにしてみたりしています。

跳び方は違うんですよ、羽生さんとは。跳び上がりの滑らせ方、エッジの滑らせるタイミングをどのくらいでやっているのか見たりしますけど、最終的に僕は僕の跳び方なので、すべてをマネするのではなく、お手本にしながら、自分の跳び方に合うやり方を模索しています」

簡単に負けるわけにはいかない

そんな三浦は、去年の全日本のリベンジに燃えている。

ショートで出遅れ13位スタートとなり、フリーでは全体2位の会心の演技を見せるも、総合6位で表彰台には届かなかった。

演技後、悔しそうにする三浦(2022年全日本)
演技後、悔しそうにする三浦(2022年全日本)

今年の全日本に向けて「一番悔しかった大会なので。なんとしても良い演技をしたいという気持ちと、(全日本が)近づいてくると、あのトラウマというか、緊張感がよみがえってくる。そこをどう払拭するか、自分の今回のポイントだと考えています」と語る。

フリー『進撃の巨人』で胸に手をあてる三浦
フリー『進撃の巨人』で胸に手をあてる三浦

『進撃の巨人』に “人類の勝利のために命を捧げて巨人に挑む”という決意を表すワンシーンがある。

三浦はそのシーンになぞらえて「戦いに行く前もそうですし、全日本選手権を自分の中で一番大事な大会だとしているので、心臓を捧げてから4回転を跳びにいきます」と決意を新たにする。

「(宇野)昌磨くんや(鍵山)優真だったり、すごくレベルが高いのはわかっているんですけど、自分もそんなに簡単に負けるわけにはいかない。自分も優勝する気で勝ちに行きたい」と意気込んだ。

全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
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フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班