年賀状の受付が12月15日から始まるが、今年、出す予定はあるだろうか?

すでに準備しているという人も、これからだという人もいるだろうが、毎年「はがきを買いに行ったり印刷するのが面倒」「一枚一枚メッセージを考えて書くのが大変」「そもそも誰に送ろうか悩む」という人も多いかもしれない。

また最近では、メールやSNSなどで「新年の挨拶」を済ませる人が増えた印象もある。

年賀状を読むのは嬉しいものだけれど…(イメージ)
年賀状を読むのは嬉しいものだけれど…(イメージ)
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そんな中、年賀状印刷事業などを展開するフタバ株式会社は、自社の“年賀状お役立ちサイト”「フタバコ」で、「年賀状じまい」の方法を紹介している。

同社によると、「年賀状じまい」とはその名の通り「年賀状を出すのをやめる宣言をする」ことだ。

毎年「実は年賀状が毎年の悩みの種だった…」という人は、この機会に「来年から年賀状を出さない」と決めてしまえば、すっきりとした気持ちで新年を迎えることができるかもしれない。

しかし、年賀状じまいとは、そもそもどんな風に伝えるものなのだろうか? どんなことを書けばトラブルにならない? 知らないことの多い「年賀状じまい」の方法について、フタバ株式会社に聞いた。

「関係を終わらせたい」と誤解されないように…

――「年賀状じまい」の方法には、どんなものがある?

「年賀状じまい」には、マナーや常識のような決まった形があるわけではなく、一概に「これが一番の方法です」というものはありませんが、長年やり取りをされている関係性であれば、なるべく失礼がないように配慮すると角が立ちにくいかと思います。

(1)年賀状で来年から出さない旨を伝える
長い間やり取りを続けてきた方に対してはこちらの方法が伝えやすいのではないでしょうか。年賀状だけのつながりという方に対しても、確実に伝えられる方法だと思います。 

(2)直接宣言する 
普段から顔をあわせる機会が多い方には、直接「年賀状を送らない」という旨を伝えておく方法もあります。この方法なら、関係が悪化してしまうようなことや、気まずい思いをすることもありません。 

また直接伝える場合は、「全員に対して」早めに年賀状をやめることを伝えるようにしましょう。既に相手が年賀状を用意している可能性があるため、相手が用意した年賀状が無駄にならないよう、早めに連絡をする必要があります。 

(3)年賀状を出さない 
相手が自分とあまり親しい間柄ではない場合は、何も言わずに年賀状を送るのをやめてしまっても問題ないでしょう。年賀状はある程度の交流がある方とやり取りをするものですが、積極的に年賀状を送りたい相手ではないと感じる場合は、義務感に駆られて年賀状を送る必要はありません。ただし、親しい相手ではなかったとしても、直接顔を合わせることがある場合は気まずい思いをしてしまう可能性があります。 

(4)寒中見舞いで年賀状をやめた旨や来年から出さない旨を伝える 
年賀状を出さずに、寒中見舞い(松の内が明ける1月8日から立春の2月4日までの間に相手に届けるのがマナー)で返事をして年賀状をやめた旨を伝えるのも一つの方法です。特に、年賀状を送っていなかった方から届いた場合には、寒中見舞いで年賀状をやめた旨を伝えるのがよいでしょう。また、年賀状という新年を祝うおめでたいものに「お付き合いをやめたい」という内容を書くのは縁起が悪いという考え方もあります。その場合、年賀状ではなく寒中見舞いに記載するとよいいでしょう。 

(5)メールやLINEなどで挨拶する 
メールやLINEなどで新年の挨拶を送り、今年から年賀状をやめる旨を付け加える方法があります。ただし、相手から年賀状が届いた場合に返事をメールやLINEでしたり、同じ内容の文章を一斉送信したりすると、相手が不快な思いをしてしまう可能性があります。メールやSNSで伝えるのであれば、皆に同じ内容を送るのではなく、一人ひとりに向けたオンリーワンの一言を添えましょう。 


――年賀状じまいを伝える上で、どんなことに気を付けるべき?

今後の関係性にひびがはいらないように丁寧に対応することが大切だと思います。年賀状じまいを受け取った方から、一切連絡がなくなってしまったという話を聞いたことがあります。

年賀状でのやり取りだけをやめる意図で出したものが「関係を終わらせたい」と取られるケースもあります。今後の連絡先や手書きで一言添えるなど、大事な方へは特に丁寧な対応をすると良いかと思います。 

年賀状じまいに使える「例文」

――例えば、今年送る年賀状で「年賀状じまい」を伝えるには、どんな文章がいいの?

【年齢や立場などに左右されない、一般的な文例】

(1)お健やかに新年をお迎えのことと存じます 
勝手ながら本年限りで年賀状を失礼させていただきます 
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします 

(2)お健やかに新年をお迎えのことと存じます 
今年限りで年賀状を卒業することにしました 
今後とも変わらぬお付き合いをお願いいたします 

例えば…【年齢や体力を理由に年賀状じまいをする場合】
(1)子どもたちが成人を迎えましたのを機に
本年をもちまして年賀状を控えさせていただきます 
今後とも変わらぬお付き合いをお願いいたします 

(2)高齢のため筆をとるのが難しくなってまいりましたので 
年始のご挨拶は今年限りとさせていただきます 
非礼をお詫びいたしますと共に今後も変わらず 
お付き合いをいただければ幸いです 


――体力などを理由にしない場合…若い年代の人が年賀状じまいをする際、【同世代】【会社の上司など、年上・目上の人】にあてる文章はどうしたらいい?

どちらも一般的な文例で問題ないかと思います。

同世代の友人に対しては、直接伝えるかメールやLINEなど普段やり取りしているコミュニケーションツールで早めに伝えるのが良いのではないでしょうか。 

目上の方や特にお世話になっている方には、年賀状で伝えた上で、次に顔を合わせた際や連絡する際に直接お詫びの気持ちを伝えると、より丁寧です。 

“紙”のメリットは「ゆるく、程よい距離感で付き合える」

「年賀状じまい」のポイントは、長年やりとりを続けてきた相手に失礼にならないよう、配慮すること。紹介した例文を使いつつ、“最後の年賀状”を書いてみてはいかがだろうか。

一方で、やはり恩師や遠方の友人など、年賀状のみのやりとりで繋がっている人と「すっぱり連絡を絶ってしまうのは心苦しい」という気持ちがある人もいるはず。

フタバ株式会社も「フタバコ」の中で「年賀状をやめるということは、世間的にも珍しくなくなっています」と話しているが、年賀状じまいのことを頭の片隅に置きつつ、今一度「年賀状の良さ」について考えてみるのも良いだろう。

――今、実際に「年賀状じまい」をする人は増えている?

高齢者が増えたことで、墓じまいなどいわゆる終活の一環として、年賀状じまいという動きが出てきたと感じています。実際に弊社での印刷数は減ってきており、夫婦連名で出されていた高齢世帯では配偶者が亡くなったことにより、印刷枚数が減ることも多いと思います。また昨今の虚礼廃止の流れもあり、義務的に出されていた分が枚数として減っているのではないでしょうか。 


――年賀状じまいをするか迷っている…「紙の年賀状」の“良さ”はどこにあると思う?

やはり「年賀状をもらったら嬉しいと感じる方が多い」ということかと思います。 今年、弊社で実施した調査でも、75%程度の方が年賀状を受け取った際「好意を抱く」と回答しています。 また、手書きで一言メッセージが添えられていたりすると、想いや温かみが感じられる点も、あえて紙の年賀状を送る良さではないでしょうか。 

それだけでなく、昔の恩師など、年賀状だけでつながっているケースも多いかと思います。日常的にやり取りするわけではない方とでもゆるく、程よい距離感で付き合えるのも年賀状ならではのメリットだと思います。また年に一回、それも新年に挨拶できるので、普段やりとりしない方へコミュニケーションをとるきっかけとしても年賀状は重宝すると感じています。あまり難しく考えずに、気軽にコミュニケーションを楽しんでみてはいかがでしょうか。 

手書きのメッセージはやはり嬉しいもの(イメージ)
手書きのメッセージはやはり嬉しいもの(イメージ)

――年賀状じまいを一度したけれど、やっぱり“再開”したい!そんな気持ちになったら…

年賀状じまいを宣言したものの、いざやめてしまうと寂しく感じる方も多いようです。素直に相手に伝えてみるのが良いのではないでしょうか。 

(1)年賀状をやめてしまったら、思いのほか寂しく感じてしまい、近況報告を兼ねて年賀状を再開することしました 

(2)お健やかに新年をお迎えのことと存じます 
ご無沙汰しておりますが お変わりございませんか 
昨年年賀状の欠礼を申し上げましたが 
直接お会いする機会も少なくなる中 
改めて筆をとることにいたしました 


――ちなみに、年賀状じまいの宣言をしたけれど、相手から年賀状が送られてきた…そんな時はどうする?

この場合、以下のケースが考えられるかと思います。 

(1)年賀状じまいの連絡が届いていない・気付かれていない 
(2)相手が年賀状をやめても、自分からは年賀状で挨拶を続けたいと思っている

対応例としては、 
(1)のケースと思われる場合は、再度年賀状じまいの連絡をする。
(2)のケースと思われる場合は、ご厚意のお礼を別の手段で伝えるか、負担でなければその方のみ年賀状を送る。
などが挙げられます。 

相手の方との関係性によって対応は変わるかと思いますが、無視してしまうことは避けて、なるべく失礼のないように丁寧に対応されるとよろしいのではないでしょうか。

終了も再開も、臨機応変にでOK(イメージ)
終了も再開も、臨機応変にでOK(イメージ)

年賀状は時に煩わしく感じてしまうこともあるかもしれない。

最後のやりとりと決めてすっきりと新年を迎えるのも、相手のことを思い浮かべながらメッセージを考える楽しみを再発見してみるのも自分次第。新しい年を迎える前に、年賀状との付き合い方をじっくり考えてみてはいかがだろうか。

取材協力:フタバ株式会社
参考:年賀状お役立ちサイト「フタバコ

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。