2023年も今日で終わる。年が明けると旧年の感謝を捧げたり新年の祈願をしに、神社に初詣に出かける人も多いことだろう。

参拝(イメージ)
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そんな神社で見かける神職について、身につける“袴(はかま)”に、いくつかの色があることをご存知だろうか? 注意して見てみると紫の袴などがあるのだ。

なぜ色の違いがあるのか?そして何種類あってどんな人がどの色を着用しているのか?神社本庁・教化広報部の担当者に、“神職の袴”について聞いた。

違いは色だけでなく文様があるものも…

ーーなぜ神職の袴の色には違いがあるの?

神職には、階位や職階、神職としての経験や功績によって定められる「身分」というものがあります。この身分に応じて身に着ける袴の色やお祭りにおいて着装する装束が決まっています

※階位とは、本庁包括下の神職になるための資格になり、最高位の浄階から順に、明階・正階・権正階・直階の5つあります。
※職階とは、宮司を最上位とし、権宮司、祢宜、権祢宜といった順に定められる役職になります。

なお、神社本庁包括下の神職の身分は神社本庁が定める規程に基づき決まります。神職の階位についても、神社本庁が試験や経験などによって決めます。大学の専門課程や神職養成所の課程を修了し、神社本庁の試験に合格した者や一定の講習を受け審査に合格した者に授けられます。

左:二級(紫の袴、文様なし) 右:三級・四級(浅黄の袴、文様なし) 提供:井筒装束店
左:二級(紫の袴、文様なし) 右:三級・四級(浅黄の袴、文様なし) 提供:井筒装束店

ーー何種類の色があるの?

色だけではなく、色と藤の丸という文様(色の違いや有無)によりわかれます。
「白の袴に白色の文様入り」「紫の袴に白色の文様入り」「紫の袴に紫色の文様入り」「紫の袴(文様なし)」「浅黄の袴(文様なし)」があります。

左:一級(紫の袴、白色の文様入り) 右:二級上(紫の袴、紫色の文様入り) 提供:井筒装束店
左:一級(紫の袴、白色の文様入り) 右:二級上(紫の袴、紫色の文様入り) 提供:井筒装束店

ーーどんな人がどの色を身につけているの?

神職身分に応じた袴を着装します。神職身分は「特級」「一級」「二級上」「二級」「三級」「四級」の順に定められております。

特級:白の袴に白色の文様入り
一級:紫の袴に白色の文様入り
二級上:紫の袴に紫色の文様入り
二級:紫の袴(文様なし)
三級と四級:浅黄の袴(文様なし)

特級(白の袴、白色の文様入り) 提供:井筒装束店
特級(白の袴、白色の文様入り) 提供:井筒装束店

ーー最高位の人はどれくらいの割合でいる?

最高位の身分は「特級」になり、「白の袴に白色の文様入り」を着用します。特級を有する神職は92名おり、全体の0.4%と限られた神職となります。

身分は神職としての経験、神社界において指導的な役割を担ったり、地域や社会に対する貢献などの功績に応じて定められるため、どの神社にて奉仕するかというのは一概には挙げられません。

巫女は神職ではではない

ーー巫女のイメージは緋袴(赤色)だけど、決まりはあるの?

神社本庁では巫女の袴について決まりを定めていませんが、伝統的に緋袴を用いる神社が多いです。

緋袴 (提供:井筒装束店)
緋袴 (提供:井筒装束店)

ーーでは、巫女の身分での位置付けはどこになる?女性でなければダメ?

巫女は神職ではありませんので、神職の身分のようものはありません。巫女は日々、神職を補助して、神様に奉仕する立場にあります。お祭りでは巫女舞を奉仕したりすることもあります。

古くからの巫女の職掌(担当する職務)を考えると、基本的には未婚の若い女性が多いです。古代においては、巫女は祭祀や儀礼の中で神様のお告げを聞き神意を伝える重要な役割を担っていましたが、しだいに神職の補助的な存在となっていったようです。

巫女(イメージ)
巫女(イメージ)

ーー特別な時にだけ着用する袴はあるの?

神職の祭祀における服装は、祭祀に応じて定められおり、中には身分にかかわらず全員が白の袴を着装することもあります。


ーー神職の服装の支度で気をつけないといけないことは?

神職の服装の支度、例えば髪の毛色や髪型等といった決まりはありませんが、神道では清浄さを保つことが重要とされることから、神職は清潔感のある身支度を心掛けます。

身分にかかわらず全員が白袴を着用することもある(提供:井筒装束店)
身分にかかわらず全員が白袴を着用することもある(提供:井筒装束店)

神社に参拝した際、その神職の袴を見てみるのはどうだろうか? もしかしたら限られた特級の神職を見かけることがあるかもしれない。

ちなみに神社本庁の公式HPでは、お参りの作法を始めとした神社についての基礎知識を説明している。「正月のあれこれ」としてまとめたページもあるので、参拝前に見て予習してから行くのはどうだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。