富山県で、2023年は平野部にも関わらずクマによる人身被害や目撃情報が相次いでいる。この問題について、クマの専門家は富山の『ある地形』が出没につながっていると指摘している。

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クマの生態に詳しい立山カルデラ砂防博物館の白石俊明主任学芸員。

クマの移動ルートになっているという場所に案内してもらった。
向かったのは富山市の国道41号線沿い、熊野川にほど近い大沢野地区だ。

岐阜県境の山から、富山市の大沢野地区に入ると『河岸段丘』の崖が続いてきている。この河岸段丘を通って山から下ってきたクマが、熊野川の河川敷のやぶに隠れながら集落へと散開していく可能性が高いという。

河岸段丘という地形がクマを導く

『河岸段丘』とは、河川に沿って発達する階段状の地形。

白石さんは、この河岸段丘の崖の部分、林や森として残っているところがクマの移動ルートになっていると指摘する。
そして、熊野川の流域では…。

立山カルデラ砂防博物館 白石俊明主任学芸員:
飛び石のように使える屋敷林や周辺にカキもある

屋敷林にクマが身を潜める

屋敷林とは、風や雪から家を守るため周囲に木を植えた林で、富山県内では多くの地域で見ることができる。

「河岸段丘の林」に、「河川敷のやぶ」、そして「屋敷林」。クマにとっては、安全を確保できる移動ルートだ。

立山カルデラ砂防博物館 白石俊明主任学芸員:
地形は、なかなか変わらないので、将来に渡って警戒をしないといけない

クマが何カ所からも流入してくる地形が残っている富山。将来の大量出没に備えて獣害に強い集落にする必要もありそうだ。

新世代ベアに警戒

白石さんは、里山で育ち、人や車を恐れない『新世代ベア』の存在も指摘。
これまでの常識を変えて警戒、対策するよう呼びかけている。

(富山テレビ)

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