全国で、クマによる被害が連日報告されている。 関西でも出没が相次いでいる。クマによる被害に遭わないために、私たちはどうすれば良いのだろうか?

全国で相次ぐクマの目撃情報

私たちが生活するすぐそばでクマは相次いで目撃されている。北海道で10月29日に目撃されたクマはカメラに気づいても逃げるそぶりもない。

10月30日午後11時25分ごろには、富良野行きの1両編成の普通列車がクマと衝突した。クマの生死がわからず、乗客5人は、夜が明けてクマが死んでいるのが確認されるまで、約7時間にわたり車内で過ごした。

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北海道では66頭ものウシを襲ってきたヒグマ・OSO18が駆除されるなど、クマの被害は住民を恐怖に陥れてきた。

環境省によると、クマによる被害にあった人は2023年9月までに全国で109人にのぼる。これは記録が残る2007年度以降で、過去最悪のペースだ。

秋田県では取材班がクマの親子に遭遇した。さらに、長野県の柿畑で撮影された映像には、柿を目当てに集まったとみられる複数のクマの姿が映っていた。クマが立ち去った後には肉球の跡がくっきりと残っていた。

死亡事故などもあり緊急点検を行うなど対策が行われている。

関西でもクマが身近に現れている

クマの目撃は関西でも。滋賀・大津市の民家の目の前でクマが目撃されたという。

クマを目撃した住民:
すぐ目の前にいたんです。目があったんです、ぱ~ってあっちに逃げていって。ほんとにびっくりして。体長1メートルぐらいでまんまるでした

クマの対策グッズも売り上げを伸ばしている

クマの対策グッズも売り上げを伸ばしているという。

アウトドア用品店では、人の気配を感じさせるために音が鳴る鈴や、鈴よりもさらに大きな音を出すことができるグッズなどが人気で、そもそもクマを寄せつけないためのアイテムも多く取りそろえられている。

それでも、もしクマに遭遇してしまった時は「熊スプレー」だという。

モンベル広報部 渡辺賢二さん:
熊スプレーは10メートル以内に近づいた時に発射するものです。トウガラシのかなり濃い強い成分なので、肌についたらかなり痛いものですので、嫌がって一目散に退散する。最後の手段として撃退するスプレーです

最後の手段ということあって値段も高価だが、こちらも一時在庫がなくなるほどの売れ行きだそう。

モンベル広報部 渡辺賢二さん:
最近だと通学路とかにクマが出没するということで、学校単位で購入されることにまでなっています。特にことしは被害に伴って、2022年の1.2倍近く売れている。

2023年は比叡山での目撃が増えていて被害も

関西でも2023年、クマが人に危害を加えるケースがあった。

15年前から比叡山に登っている鎌田東二さん(72)は、2023年の山の日に京都市左京区の比叡山でクマに襲われ、大けがをした女性を助けた。

鎌田東二さん:
いつものように登山口から登り、30分ほど歩いた辺りで、尾根の向こうから「助けて」って声が3度聞こえてきて、「クマに襲われた」っていうやりとりを尾根越しにしました。目撃情報はあっても襲われたってのは聞いたことありませんから、“まさか”という思いはしましたね

15分から20分かけて、沢を3つ越えて登った尾根で、叫びながら下ってきた青ざめた女性を見つけたということだ。血が流れる腕には、クマが爪を刺した跡がはっきり見てとれたそうだ。

鎌田東二さん:
ものすごい緊張感がありました。血が出てますからね、3カ所から。指をかまれて。耳はひっかき傷が、かなり血がタレ落ちていて…

京都府などによると、女性を襲ったのは子グマを連れた体長150cmほどのツキノワグマだったそうで、トレイルラン中に登山道から外れた道を走っていたところで襲われた。女性は幸い、意識はハッキリしていて鎌田さんは救急隊に引き渡したという。

この山道はトレイルランやハイキングだけでなく観光で来る外国人も多いそうで、鎌田さんは府などに頼み、4カ国語で注意を促す看板を設置してもらった。

対策はクマに存在を知らせること

登山客も対策しているようだ。「鈴と笛を持っている。クマに『これから通りますよ~』と言って、笛を吹いたりしている」と話す。

京都府では20年前より3倍以上クマが増えたとして、2021年から保護対象だったクマに対し、狩猟による捕獲を解禁した。京都府内の2023年度の出没情報を見ると、山だけでなく、住宅地での目撃情報も出ている。

京都府農村振興課・藤井伊参事:
今年は目撃が多いですね。今年の状況を見ると、過去と比べて比叡山の所ではちょっと出没情報が多いですね

京都府全体の数は例年と変わらないが、2023年は、かつて出没しなかった比叡山エリアに出てくるようになったそうだ。

京都府農村振興課・藤井伊参事:
寒くなれば減るんですけど、今1年の中で1番多い月ですね。クマがいる可能性があるという前提で、鈴をつけたりラジオを鳴らすとか、自分の存在をクマに知らせていただくといい

10月31日、国の対策会議が開かれた。

環境省の担当者:
今シーズンはクマの出没を踏まえて、クマ対策の専門家をクマ出没地域に派遣して、出没対策の指導・助言を行っていただきます

トレッキングやハイキングに最適な今の季節。クマが出没するかもしれないと思って、まずは個人でできる対策を行ってほしい。

(関西テレビ「newsランナー」2023年10月31日放送)

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