全国各地でクマの目撃情報や人への被害が相次いでいる。
野生のクマは、四国では徳島や高知の山中で生息が確認されているが愛媛でクマが出没する可能性はあるのだろうか。
もし、クマに遭遇した場合の対処法は?

全国各地で相次ぐクマ被害

2023年、全国でクマに襲われた人の数は、環境省が統計を取り始めて以降、過去最悪となっている。10月19日、岩手県では70代の夫婦がクマに襲われ妻が死亡。

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さらに、富山県では連日、市街地でクマの目撃情報が相次ぐなど出現する場所も広範囲にわたっている。愛媛では6年前の2017年に宇和島市津島町で大型のクマと見られる野生動物1頭の目撃情報がある。

また2022年、西条市と高知県の県境付近の山でクマと見られる足跡が発見されたという情報が1件あったが、愛媛県によると10月に入ってから、愛媛県内での生存の確認や目撃情報はないということだ。

「四国ツキノワグマ広域協議会」に参加する、とべ動物園の佐々木善基副園長に「クマ」について聞いた。

とべ動物園・佐々木善基副園長:
高知県と徳島県の県境あたりにツキノワグマが生息するのみとなっており、愛媛県には現在ツキノワグマはおりません。

50年前に目撃されたクマは剥製に

愛媛でクマの生存が最後に確認されたのは今から約50年前(1972年)に体重85kg、体長約1.5mのオスのツキノワグマ1頭が小田深山から内子町の集落を通過した、伊予市中山町のクリ園に出没した。

クマの剥製は伊予市中山町の建設会社に保管されている
クマの剥製は伊予市中山町の建設会社に保管されている

クマは捕獲され、現在は剥製として地元の建築会社に保管されている。

クマを捕獲した映像(1972年)
クマを捕獲した映像(1972年)

このクマを猟銃で撃って捕獲した当時の猟友会メンバーのひとり、宮崎広實さん(84)に当時の様子をうかがった。

正本健太アナウンサー:
実際に見た時のクマの印象とか覚えてますか?

当時の猟友会メンバー宮崎広實さん:
(銃声で)2m?3mくらい飛んだね。20~30mくらいでしょうかね。走って、そこで(撃って)動かんようになりました。

人里に野生の動物が現れる理由

なぜ全国で今、人里にクマが現れるようになったのだろうか。

とべ動物園佐々木善基副園長:
結構人慣れしているクマも出てきたりしている。やっぱりクマが増えすぎていることとか、食べ物が少ないというような状況などが考えられます。

2023年10月に松山市でサルが出現した時の映像
2023年10月に松山市でサルが出現した時の映像

愛媛県内では10月、松山市の中心部にサルが出現し、丸一日わたって捕獲作業が行われたほか、2021年は住宅街にイノシシが現れ、男性の足にかみついたりと、人を襲う可能性のある野生動物があらゆる場所に出没している。

刺激を与えずゆっくり後ろへ

もし、クマに遭遇した場合、私たちはどうすればよいのだろうか。

とべ動物園・佐々木善基副園長:
まず熊に刺激を与えないということが一番です。その場にじっとしながらゆっくり後ろへ逃げていくっていうことと、中にはもう完全に伏せてしまうっていうのが安全策だという説もあります。遭遇した場合はパニックになることがあるかと思いますのでそこは冷静に受け止めて、対処の仕方をあらかじめ把握していくということも大切なことに繋がっていくと思います。

(テレビ愛媛)

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