さまざまな問題が明らかになっている旧統一教会。教団に対し、大きな影響を及ぼす国の判断が正式に決定された。

解散命令請求を正式決定

「宗教法人 世界平和統一家庭連合に対し、解散命令請求を行うことについて、相当であるとの全会一致のご意見でありました」

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盛山文科相は12日午後に会見を行い、旧統一教会への解散命令の請求を決定したことを明らかにした。

きっかけとなったのは、2022年7月に演説中の安倍元首相が銃撃された事件で、山上徹也被告が旧統一教会への恨みを犯行動機として挙げたことだった。

1950年代に韓国で創設された旧統一教会は、合同結婚式などで世間の注目を浴びる一方、強引な勧誘や高額な献金、つぼや印鑑などの霊感商法が問題として指摘されてきた。

文科省は、元信者への聞き取りや教団への質問権の行使などを重ね、12日に解散命令請求を決定。その理由として、信者に献金などをさせる行為が「教団に財産を得させること」にあり、「本部から各教会に指示が出されていた」ことなどを挙げている。

「政府はよくそこまで動いてくれたなと感謝」元信者の鈴木さん(仮名)
「政府はよくそこまで動いてくれたなと感謝」元信者の鈴木さん(仮名)

過去に500万円もの金を旧統一教会に献金、借金を背負ってうつ病になったという元信者の鈴木さん(仮名)は、「政府はよくそこまで動いてくれたなと感謝しております」と話した一方で、「“統一教会”の信者の人たちが暴走して、何か起こしたりするんじゃないか」と不安ものぞかせた。

一方の旧統一教会側は、解散命令請求を出さないよう、信者ら5万人分の嘆願書を文科省に提出していた。

現役信者は何を思うのか。FNNは今回、教団側が取材を指定した信者に話を聞いた。

現役信者(二世)の小嶌希晶氏「(政府は)今の教会に通っていない人たちばかりの声を聞いている」
現役信者(二世)の小嶌希晶氏「(政府は)今の教会に通っていない人たちばかりの声を聞いている」

現役信者(二世)の小嶌希晶氏は、「(政府は)今の教会に通っていない人たちばかりの声を聞いて、現役信者の声はなんで聞いてくれないのか」と不満をあらわにした。一方、現役信者(二世)の成田紗弥香氏は「教会が今、本当に変わろうとしていて、これからの家庭連合を期待してほしいというか、その姿を見てほしい」と語った。

日本からの献金減少か?資金繰りに苦心

教団本部のある韓国では、ある異変が起きていた。12日、ソウルの教団施設を緊急取材すると、資金繰りに苦心する教団の窮状が見えてきた。

ソウル市内にある、旧統一教会が拠点とする教会
ソウル市内にある、旧統一教会が拠点とする教会

ソウル市内にある旧統一教会が拠点としている教会。入り口にはキリストの像に加え、仏教の銅像、そして、儒教の孔子像が並んでいた。12日も信者らしき人の出入りがある一方で、この教会の土地と建物について、日本円で約220億円で売却の手続きが進められているという。

教会の土地と建物について売却に向けた手続きが進められていることが判明
教会の土地と建物について売却に向けた手続きが進められていることが判明

「教会職員ですが...日本から来ましたか? 道中でどこを撮ろうとかまいませんが、でも、うちの教会を撮ってますから」。われわれの取材に気付いたのか、職員らしき人物がこちらの様子をうかがう。

韓国の宗教ジャーナリストのオ・ミョンオク氏は、「国内(韓国)にある不動産を売却することがしばしばです。日本からの献金が減っているため、財政危機に陥っているようです」と語り、教団の窮状は、日本からの献金が減っていることと関係していると指摘した。

今回の解散命令請求の決定を受け、旧統一教会側は12日午後、「このような決定がなされたことは、当法人として極めて残念であり、遺憾に思っております。今後は、裁判において、私たちの法的な主張を行っていく予定です」とコメントを発表。

文科省は13日にも解散命令を東京地裁に請求する見通しで、裁判所からの解散命令が出た場合、教団は宗教団体としての活動は続けられるものの、税制上の優遇措置はなくなるという。
(「イット!」10月12日放送より)

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