9月18日は敬老の日。国民の祝日に関する法律第2条には、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」祝日と定められている。父や母、祖父や祖母などに感謝の言葉を伝えたり、プレゼントを贈る人もいるだろう。
この記事の画像(4枚)ただ一口に「高齢者」と言っても、時代によりその姿は大きく変わっている。
総務省の統計を紐解くと、10年前の「高齢者」とは全く違う、現代の「働く高齢者」の姿が見えてくる。また都道府県ごとの地域差も大きいことが分かった。
働く高齢者が増加中
総務省が9月17日に発表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、65歳以上の高齢者の就業者数は19年連続で増加。2022年には、過去最多となる912万人となった。
これは、65歳以上の高齢者の25.2%。つまり、高齢者の4人に1人は働いているのだ。10年前の2012年には19.5%、5人に1人であり、2年で1%の割合で増加している。
世界的に見ても、日本の高齢者はよく働いている。アメリカの高齢者就業率は18.6%、カナダは13.9%、イギリスは10.9%、ドイツは8.4%、イタリアは4.9%、フランスは3.9%と、日本を大きく下回っている。主要国の中で日本よりも働いている高齢者が多いのは、36.2%の韓国くらいだ。
医療や福祉の現場で働く高齢者が増加
では高齢者はどこで働いているのか?最も多いのが「卸売業、小売業」で127万人。次いでサービス業が105万人、「医療、福祉」が104万人となっている。中でも急増しているのが「医療、福祉」分野だ。10年前と比較すると2.7倍・65万人増加している。
一方、「農業、林業」を見てみると、高齢就業者の数は10年前から変わらず101万人のまま。
逆に、「農業、林業」に従事する労働者のうち52.6%は高齢就業者が占めている。
「農業、林業」分野の高齢化は深刻だ。
働く高齢者が多い県は福井
働く高齢者の割合は、地域差が大きい。男性高齢者の場合山梨県がトップで41.3%となっている。次いで福井県が40.8%、長野県が39.6%、山形県が38.5%となっている。
一方、女性の高齢者の場合、トップは福井県で23.3%。次いで長野県が22.6%、山梨県が22.2%、佐賀県が21.8%となっている。
山梨、長野、福井など、甲信地方、北陸地方などで働く高齢者の割合が高い傾向が見える。特に福井県は男性2位、女性1位と働く高齢者が多い。逆に奈良県は男性が46位、女性は最下位となっている。
男女を合わせた高齢者就業率は、福井県が30.9%に対し、奈良県は21.9%となっている。