7月10日、米軍海兵隊約18万人を指揮するデービッド・バーガー司令官の退任式が首都・ワシントンで行われた。

司令官としての4年の任期を迎えたためだ。

バーガー氏の退任に伴い司令官代理としてエリック・スミス司令官補が職務を引き継ぐことになるが、司令官は不在に。

米軍海兵隊トップである司令官の不在は、当時の司令官が死去した1859年以来164年ぶりで、歴史上、異例の事態となる。

司令官不在の理由

バイデン大統領は6月、司令官代理のスミス氏を海兵隊の第39代司令官に指名し、それを承認するための連邦議会上院の公聴会が行われた。

この記事の画像(2枚)

しかし、アラバマ州選出の上院議員トミー・タバビル氏(共和党)は、中絶の合憲性を認めない連邦最高裁判決があるにも関わらず、国防総省が軍人の中絶を保証していると主張。海兵隊司令官の承認を保留した。

タバビル氏は、国防総省が中絶が認められた州に行く必要がある軍人に休暇と旅費を支給する政策を廃止しない限り、譲らないとしている。

今後は、どうなるのか。

仮にこのまま承認されなかった場合、スミス氏が司令官補を兼務しながら司令官代理として職務を続けることになる。しかし国防総省では、同様の理由で265人の人事の承認が滞っているほか、年末までにさらに650人が追加され、全体の約9割に影響が及ぶ可能性があるとしている。

国防総省は、退職を遅らせるなどの対応措置を講じているとしているが、ロシアや中国との緊張が高まる中、前例のない事態と向き合い続けることになる。

国際取材部
国際取材部



世界では今何が起きているのか――ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、モスクワ、イスタンブール、北京、上海、ソウル、バンコクのFNN11支局を拠点に、国際情勢や各国の事件・事故、政治、経済、社会問題から文化・エンタメまで海外の最新ニュースをお届けします。