共働き世帯の子どもが小学校に入学する際に直面する「小1の壁」。放課後の預け先としての児童クラブは、保育園よりも利用時間が短く送り迎えの時間が合わないなど、ミスマッチの解決が課題となっている。一方、児童クラブがないことで新入生が減り、存続が懸念される学校もある。

定員増えても教室足りず…待機児童も

児童クラブは宮崎市に59カ所あり、放課後から午後6時まで週6日利用できる。宮崎市の内海小学校では、放課後の勉強や遊びの場として利用されている。料金は曜日あたり500円。最も高い場合で月に3,000円だ。

児童クラブで勉強する子どもたち
児童クラブで勉強する子どもたち
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宮崎市の2022年5月時点での利用者は4,559人。定員は毎年増えているが、教室が足りずに学校の外に場所を確保する必要がある。週に1日も児童クラブを利用できない待機児童は、2022年5月時点で59人となっている。

宮崎市教育委員会 生涯学習課・長田理恵子課長:
保護者の就労状況や家の事情を見ながら、1年生、2年生、3年生と学年の低い方から優先的に入れるように審査をさせていただいています。「上の子は審査に落ちたけれど、下の子は通りました」ということはあります

去年の新入生ゼロ…クラブ設置を要望

宮崎市では、児童クラブがないことで学校の存続が懸念されている地域もある。

鏡洲小学校では「放課後子ども教室」を設置
鏡洲小学校では「放課後子ども教室」を設置

24人の児童が通う鏡洲(かがみず)小学校では、コーディネーター、保護者、地域住民が協力して「放課後子ども教室」を設置し、平日の4日間、無料で受け入れている。

保護者:
宿題や危ない遊びをしていないか見てくれるので安心です

子ども:
外で遊んだりするのが楽しいです

帰宅する親子
帰宅する親子

しかし週末や夏休みなどの受け入れはなく、午後5時までの帰宅が決まりとなっている。このため、午後6時までの児童クラブより預け入れの時間が短い。

保護者:
私の実家が遠方で、親族の預け先がなく、そこが一番不安でした。入ってみたら平気だったんですけど、ちょっと時間が短いから入学前に考えてしまうかも

保護者:
毎日ばたばたで、放課後子ども教室がないとうちは無理。ありがたく利用させてもらっています

放課後子ども教室コーディネーター・西河美樹さん:
仕事が残っているけど、迎えにきてからもう一度仕事に行く人もいます。保護者同士協力しあって、迎えに行けないからお願いしますというパターンもあります。皆で工夫し合っていますね

鏡洲小学校では、児童クラブがないことと児童数が少ないことへの保護者の不安もあり、2022年の新入生はゼロとなり、過去3年間で9人が校区外の小学校に進学した。

地域住民が児童クラブの設置を宮崎市に要望
地域住民が児童クラブの設置を宮崎市に要望

児童の流出が相次いだことで学校存続の懸念が生じ、地域住民が2022年11月に児童クラブの設置を宮崎市に要望した。地域の核である小学校の存続を願っている。

鏡洲小の将来を考える会・渡邊泰己会長:
学校がなくなると、地域自体がさびれて活気がなくなることも懸念されますので、学校をなくしたくないという気持ちは多くの人たちが望んでいることだと思いますので、ぜひ存続させたいです

クラブ設置に向けて協議進む

こうした住民の熱意もあり、宮崎市では学校の多目的スペース活用を前提に、鏡州小学校での児童クラブの設置に向けて協議が進められている。

宮崎市教育委員会 生涯学習課・長田理恵子課長:
保護者の7割以上が就労していて、児童クラブができたらうれしいというか、ニーズがありました。できるだけ早く整備できるよう頑張っているところです

2023年春に鏡洲小学校に入学した子どもたち。
2023年春に鏡洲小学校に入学した子どもたち。

そして、2023年春には児童クラブの設立に向けた取り組みが保護者にも伝わり、5人が鏡洲小学校に入学した。

新入生の保護者:
児童クラブがある学校じゃないと、送り迎えの不安は続くじゃないですか。そういうのができる予定であるので、皆さん鏡洲小に入学を決めてくださったと思います

安心して預けられる放課後の受け皿ができれば、流出も避けられる。

鏡洲小の将来を考える会・渡邊泰己会長:
放課後の子どもたちを預かる場所があるとないとでは違うので、若い人たちがどんどん鏡洲地域に住んでくれれば、子どもも増えて、学校もまた活気が出てくるんじゃないかと期待しています

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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