想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」。

今回のテーマは「駅」。

「出られない駅」や「一日の利用者数が少なすぎる駅」「ビックリするものとドッキングしちゃった駅」まで、思わず首をかしげてしまう“ナナメ上な駅”を紹介する。

まずは、最新のサービスと駅から。

JRの最新サービス・駅

JR西日本ではお得だけれど、ドキドキしちゃう“あるサービス”を行っている。

それが「サイコロきっぷ」。

「サイコロきっぷ」画像:JR西日本
「サイコロきっぷ」画像:JR西日本
この記事の画像(15枚)

専用のアプリを使ってサイコロを振り、出た目によって行き先が決まるという、運試しの切符だ。

出発地は岡山駅で行き先は小倉、奈良、敦賀、松山の4駅。

料金は往復運賃で1回5000円から。そのため、どこになってもお得だが、小倉駅の場合は通常の約8割引きになる。

さらにJR西日本といえば、近未来型の大阪駅「うめきたエリア」が話題になっている。

大阪駅「うめきたエリア」画像:JR西日本
大阪駅「うめきたエリア」画像:JR西日本

事前に顔写真を登録しておけば、改札を“顔パス”ができる「顔認証改札機」や、バーチャル駅員と会話しながら切符の購入ができる“AI券売機”など、近未来型の駅になっている。

「顔認証改札機」画像:JR西日本
「顔認証改札機」画像:JR西日本

一方、JR東日本では今年3月に千葉県では25年ぶりとなる、JRの新駅「幕張豊砂駅(まくはりとよすなえき)」が誕生した。

千葉「幕張豊砂駅」画像:JR東日本千葉支社
千葉「幕張豊砂駅」画像:JR東日本千葉支社

国内2位の売り場面積を誇るイオンモール幕張新都心が目の前にあり、買い物にも便利。

太陽光が多く取り込まれる設計になっていて、“明るく、ぬくもりのある駅”になっている。

そんな進化を続ける「駅」だが、中には“ナナメ上”に進化しちゃった駅もあった。

“出られない駅”

山口県岩国市を流れる錦川沿いをのんびり走る「錦川清流線」。

その中で2019年開業の「清流みはらし駅」が“出られない駅”といわれているが、「出られない」とはどういうことなのか?

山口・岩国市「清流みはらし駅」画像:錦川鉄道
山口・岩国市「清流みはらし駅」画像:錦川鉄道

駅に到着し、ホームに降り立つが、改札へと続く道が見つからず、そもそも改札すらない。

これでは確かに列車が行ってしまったらどこへも行けない。

しかも周りは切り立った崖と川しかなく、出られないどころか、入ってくることもできない。

まるで陸の孤島だ。

一体この駅は何なのか。

錦川鉄道・杉原さんによると「駅からの眺めを楽しむだけの駅で、周りの山々や錦川の風景を楽しんでいただくという感じです」とのこと。

実はこの場所、眺望の開けた絶景ポイントで、夏の錦川の透明感や滝、秋の紅葉や冬景色など、四季折々の景色が楽しめるという。

ただし、この駅に停車するのは景色を楽しむツアーが開催された時だけ。普段は通過してしまう臨時駅となっている。

さらに、ツアー開催時でも停車時間は10分だけ。このツアーはお弁当付きで5000円、月に1回開催しているという。

続いては、一日の利用者数が少なすぎる駅。

一日の利用者数がたった1人の駅

一日の利用者数が多い駅といえば、JR新宿駅で約100万人と言われている。

しかし、徳島県と香川県の県境付近にある土讃線(どさんせん)の坪尻駅(つぼじりえき)の一日の平均利用者数(2022年度)は1名。

「坪尻駅」
「坪尻駅」

1人しか利用しない駅とは一体どんな駅なのか。

現地を訪れてみるが、本当に何もない。

1950年に開業した坪尻駅は空から見ても、その周りには目立った施設どころか、車道もなく、ホームと木造の駅舎だけがポツンとあるだけ。

時刻表を見ると一日に止まる列車は上下線合わせて7本。

この駅を利用する人というのはどんな人なのか。

JR四国の広報によると「今は定期的に日常使いされているお客様は、当社が把握しているところでは、いらっしゃらないと聞いております」とのこと。

ならば、どんな人が利用しているのか?調査を続けていると、写真を撮影する男性を発見した。

これでこの日の利用者数は昨年度の一日の平均利用者数を超える2人になった。

「電車に乗るのと電車を撮るのが好き。場所自体がすごいところにあるなと、道路もないのに。想像よりはるかに秘境でした」と語った大阪から来た男性は、YouTubeでこの駅の存在を知り、やって来たという。

坪尻駅は「シンプルに秘境を味わいたい」とうお客さんが利用する駅ということのようだ。

非日常を味わいたいという方は訪れてみてもいいかもしれない。

続いては、ビックリするものとドッキングしちゃった駅が登場。

家×ホーム“ドッキングした駅”

佐賀県伊万里市にある「東山代駅(ひがしやましろえき)」。

佐賀・伊万里市「東山代駅」
佐賀・伊万里市「東山代駅」

1987年に開業した松浦鉄道が旧国鉄から引き継いだ、一日平均54人が利用する無人駅なのだが、ホームの横にはドアがある。

近くには待合室があり、トイレのドアにも見えない。

一体これは何なのか?

よく見てみると、ホームに隣接している家を発見。

実はこちら、元々駅舎だった建物に約60年前に一人の女性が移り住み、現在はその息子さん夫婦が住んでいるという。

ちなみに勝手口から駅の白線の内側までの距離は3メートル47センチ。

そこで調査員が家の勝手口から、どのくらいの時間で乗車できるか検証してみると、その時間わずか2秒、歩数にしたら7歩。これぞ真の駅近物件だ。

電車に乗り遅れることはなさそうな、家とホームが一体化してしまった駅だった。

みなさんもナナメ上に進化した駅から電車を乗ってお出かけしてみてはいかかでしょうか。

(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年6月27日放送)