FNNの6月の世論調査で、岸田内閣の支持率は、5月より4ポイント超減の46.1%だった。

マイナンバーカードの利用拡大に「不安を感じる」人は73.7%と7割を超えた。また、岸田首相の「次元の異なる少子化対策」で少子化が「改善する」と思う人は18.8%にとどまり、「改善しない」が76.5%にのぼった。

内閣支持率46.1%で4ポイント超減 「マイナンバー原因か」

FNNは、6月17日・18日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1014人から回答を得た。

岸田内閣を支持する人は、5月調査から4.3ポイント減って46.1%。支持しない人は4.7ポイント増えて49.2%。3カ月ぶりに、「不支持」が「支持」を上回った。

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支持率の下落について、ある閣僚は「政権を取り巻く状況や雰囲気が必ずしもよいとは思えない」と懸念を示す。また、官邸関係者は、「マイナンバーをめぐるトラブルが原因にあるのかなと思う」と話す。

マイナカード利用拡大「不安」73.7% トラブル対応「評価しない」66.9%

政府が進めるマイナンバーカードの利用拡大について、「不安を感じる」は、「大いに感じる」(31.5%)と「ある程度感じる」(42.2%)をあわせて73.7%で、7割を超えた。「不安を感じない」は、「あまり感じない」(19.2%)と「全く感じない」(5.6%)をあわせて24.8%だった。

政府は、現在の健康保険証を来年秋に原則廃止し、マイナ保険証として、マイナンバーカードと一体化する方針だ。そのための法律が今国会で成立したが、立憲民主党などは反対した。

世論調査では、この政府の方針に「賛成」が42.1%、「反対」が52.0%。反対が半数を超えた。

松野博一官房長官は19日の会見で、マイナ保険証に対する世論の厳しい声について、「様々な意見があることは承知しているが、政府の方針通りに進める。丁寧に説明を続けたい」と述べた。

さらに、相次ぐマイナンバーをめぐるトラブルについて、岸田政権の対応を「評価する」は21.3%、「評価しない」は66.9%と、政府にとって厳しい評価が出ている。

異次元の対策で少子化「改善する」18.8% 「改善しない」76.5%

岸田首相が力を入れているのが「次元の異なる少子化対策」だ。岸田首相は13日、こども未来戦略方針の閣議決定を受けて会見し、「若年人口が急減する2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスだ。不退転の決意を持って実行する」と表明した。

世論調査では、児童手当の拡充をはじめとする異次元の対策で、少子化が「改善する」は、「大いに改善する」(1.8%)と「ある程度改善する」(17.0%)をあわせて18.8%と、2割に満たなかった。「改善しない」は、「あまり改善しない」(50.6%)と「まったく改善しない」(25.9%)をあわせて76.5%だった。

少子化対策の財源について、岸田首相は会見で、「歳出改革等によって確保することを原則とする」とした上で、年末までの予算編成の中で具体化すると説明するにとどめた。

世論調査では、少子化対策の財源を確保するため、医療など社会保障への政府の支出を「減らしてもよい」は24.2%、「減らすべきでない」は68.4%。社会保障費削減への抵抗感が強いことがうかがえる。

自民党内では、「目玉政策の少子化対策があまり評価されていないのも関わらず、その財源のために社会保障費を削減しようとしているというのは、先が思いやられる」との声も出ている。

衆院解散見送り「評価」55.5%

今国会の終盤、野党が内閣不信任案を提出したら、岸田首相が衆院の解散総選挙に踏み切るのではないかとの見方が広がった。解散の可能性を睨んだ緊迫した局面の中、岸田首相は15日、「今国会での解散は考えていない」と表明した。この岸田首相の対応を「評価する」は55.5%、「評価しない」は33.4%だった。

今回の解散見送りを受け、岸田首相はいつ解散に踏み切るかが今後の政局の焦点となる。

自公連立「解消すべき」53.1% 自民支持者でも39.9%

連立政権を組む自民党と公明党は、東京での選挙区調整で対立した。公明党の石井啓一幹事長は「東京での自公の信頼関係は地に落ちた」と述べた。

世論調査では、自民党と公明党が、今後も「連立を続けるべき」は30.1%、「連立を解消すべき」は53.1%。連立解消すべきと答えた人が半数を超えた。

支持政党別に見ると、自民党を支持する人では、「連立を続けるべき」が47.1%、「連立を解消すべき」が39.9%。自民党支持者の約4割が連立解消と答えたことは注目される。

一方、公明党支持者では、「連立を続けるべき」が70.0%、「連立を解消すべき」が17.0%で、7割が連立維持を求めていた。

自民党関係者は「自民党内で、学会に対する不満が溜まりつつあるのを感じる」と話す。自公両党にとって、衆院選などに向けて、協力関係をどう維持していくかが課題になる。

衆院比例投票先 維新12.0%で立憲8.8%を抜き野党トップ

衆院選の比例代表の投票先を聞くと、自民党が最も多く30.9%。次いで日本維新の会が12.0%で、立憲民主党は8.8%。野党では、維新が立憲を上回った。維新は、4月の等位地方選で、全国の自治体の首長や地方議員の数を大幅に増やした。野党第一党を目指す維新は、次の衆院選で、国政の議席を伸ばすのか。今後の維新の動きも注目される。

(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)

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三嶋唯久
三嶋唯久

フジテレビ報道局政治部編集委員・解説委員。神戸市出身。細川政権から政治取材をスタート。
政治討論番組「新報道2001」のプロデューサーやFNN世論調査なども担当してきた。