自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、こんなお話。

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「ごはんの代わりにお菓子」はアリ?ナシ?記事の続きをチェック!
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「ごはんの時間になると、肝心のごはんを残して、おやつ(お菓子)を食べたがる…」

ごはんを残して“ごちそうさま”したのに、すぐにお菓子を食べたがる子どもたち。
ごはんを食べきってから「まだおなかが空いているから、何か食べたい!」というのならわかるけれど、お菓子だけ欲しがるのは許していいものだろうか。

一方で「ごはんが少しでも食べられたらご褒美としてお菓子をあげちゃう」「お菓子だけでも食べてくれたらいいかなと思って、ごはん代わりにお菓子を食べることもある」という意見も。

ごはんに興味なし・お菓子大好きな子どもたちをどう説得したらいい?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

パパママが「言葉と行動」を一致させて

――「ごはんを食べずにお菓子を食べたがる」子ども、どう対処するのがいいの?

私の相談室でも、子どもの食事や食欲についてのご相談はとても多いですね。とくに離乳食期~3歳くらいがもっとも多い印象です。
今回のテーマである「ご飯は食べないのにお菓子なら食べる」というお悩み、あとは「とにかく食が細い」「時間がものすごくかかってしまう」という困りごともよく聞きます。

「ご飯は食べないのにお菓子なら食べる」というお悩みは、食欲がないわけではない点で、もともと食が細いお子さんとは違うと言えるでしょう。そういうご相談の場合、私が専門とする心理学的な見地からするアドバイスは、食欲自体はあるので、お菓子に折れず、ご飯を食べさせたいという意向で工夫していった方がいいということです。

こういうとき、とても大事なのが、子ども側から見たらその状況がどう映っているかという視点です。パパやママが口頭でいくら「お菓子じゃなくてご飯を食べなくちゃダメ」と言っていたとしても、実際にはその子がお菓子を口にできていれば、経験上は「しつこくせがめば、ご飯じゃなくてお菓子を食べられる」という認識になってしまいます。

子どもは自分がした経験で学んでいくものなので、パパやママが口頭で伝える内容と行動で示す内容を合致させていくことがとても大事になります。お腹がいっぱいになってしまうと食べられなくなるのはどの子もそうだと思うので、順番的に“ご飯→甘いもの”とするのが堅実でしょう。あとはそこでぐずる我が子に屈せずに対応できるか、ここが一番大変だと思いますが……。


――「食が細くてお菓子しか食べたくない」子どもにはどうする?

食が細いというのは体質的な影響が大きいようで、見た目の彩りや調理の工夫をしたとしても、それで「モリモリ食べるようになった」という変化は残念ながら起こりにくいものです。心理的な工夫で盛り上げても、元の食欲の方がそれ以上の影響力を持っているというのは、私のこれまでの相談事例でも感じています。ただ、食の悩みは小さい頃に集中しがちで、基本的にみんな大きくなれば食べるようになるということも実感しています。

ご飯を食べてくれないことで親が悩むのは、食は命の源という思いがあるからで「食べてくれない、飲んでくれない、この子が体調を崩したらどうしよう…」と心配になってしまうのですね。たしかに食べないままでは血糖値も下がってしまいますから、そこでお菓子でもいいからと差し出してしまうのだと思います。

ですが、「ご飯のかわりにお菓子を食べる」というのが習慣になってしまう前に、まずはかかりつけの先生にご相談されるのが望ましいと思います。食べる量は個人差があるものなので、親が思っている「このくらい食べないと!」という量が、必ずしもその子にとっての適量とは限りません。お菓子に行きつく前に、我が子の適量を知る上でも、食のアドバイスをしてくれる方に相談してみるのがいいのではと思われます。


――「ついついおやつを食べすぎてごはんが食べられなくなっちゃう」パターンは?

これもとてもよくある相談です。食事と食事の間に食べるおやつが多くなり過ぎて、ご飯がしっかり食べられないというパターンですね。

子どもの「もっともっと」「あと1つ」に、「じゃあこれが最後だよ」と言いつつ、また渡してしまう。よくある光景かと思います。ですが、少しずつ小出しして渡すやり方は、子どもにはルールとして伝わらないことが多いので、もし当てはまる場合は、そこを修正していくのは良い試みかと思います。

たとえば結果的にクッキーを3つあげるのであっても、

パターン1:「はい今日のおやつはこれだよ」とまず1枚クッキーを渡し、「もっと」とせがまれることで、「じゃああと1枚」「もう1枚」と計3枚渡す場合

パターン2:はじめからお皿に3枚のクッキーが乗っていて、「はいこれが今日のおやつ」と渡す場合

とでは、子どもへの伝わり方が違います。パターン1は、子どもの「もっと!」のかけ声が状況を動かしているので、4枚目、5枚目をせがまれ、親が折れるか、怒るかのどちらかの展開になることが予測されますが、パターン2だと「お菓子はこれ」というお約束の線が1つしかないので、子どもも引き際を学びやすくなります。

「ヘタにちびちび渡すよりは、はじめから限界値をあげた方がいいですよ」と私はよくお伝えするのですが、子どもから見てどういうお約束の線に映ったかという視点はとても大切です。ぜひ意識してみてください。

ごはんを残してお菓子を食べたがる…そんな時はシンプルに「最初からお菓子を与えるのではなく、まずはしっかりごはんを食べてもらう」ことを考えていくこと。
そこで大事になってくるのが、パパママが言動をブレさせないこと!駄々をこねられたり泣かれたりしてしまうとついつい「さっきはきちんとごはんを食べようねと言ったけれど、やっぱりお菓子を食べちゃおうか?」「いつもはだめだけど、今日だけ特別にお菓子をあげるね」と親の方が“折れて”しまいがちだけれど、子どもたちが「ずっと言い続ければお菓子がもらえるんだ!」と間違った学習をしてしまうことはNG。

最初から「ごはんの時間はお菓子は食べないよ」、あるいは「ごはんを食べ終わったらデザートが食べられるよ」などと子どもたちに“宣言”することで、しっかりルール作りをしていくのが良いそうだ。

あなたの投稿が漫画になる!エピソード募集中

「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。

・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?

などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?

※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。