2021年に山形・最上町で切り倒された「日本一の大アカマツ」が、ついに楽器となってよみがえった。樹齢600年のマツの音色はどんな響きなのか。町では今、子どもたちが中心となって演奏会の準備が進んでいる。

伐採と同時に動き出したプロジェクト

3月6日。待っていたものがようやく届いた。

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「手づくり楽器」の先生・泉谷貴彦さん:
フィドルという弾く楽器

日本一の大きさを誇っていた最上町の樹齢600年の「東法田の大アカマツ」。地域のシンボルとして愛されてきたが、2021年、枯れていたことがわかり伐採された。それと同時に始まったのが、大アカマツを楽器としてよみがえらせ、演奏するプロジェクト。

切り倒されてから2年がたとうとしているが…。

「手づくり楽器」の先生・泉谷貴彦さん:
とにかくすごかった。部屋中、すごい香りがした。爽やかな香水のような香りに満たされる

これまで数々の楽器を手掛けてきたが、ほかの木との違いは明らかだった。

「手づくり楽器」の先生・泉谷貴彦さん:
600年あの木の中にいた。これ(木くず)だけでも貴重な気がする。捨ててはいけない気さえする

高知県で音楽の先生をしていた手づくり楽器の第一人者・泉谷貴彦さんが町に住み込み、木の状態を確かめてきた。

「手づくり楽器」の先生・泉谷貴彦さん:
まだもう少し乾かしてからになる

自然乾燥に費やした歳月は1年8カ月。3月に入って九州の加工業者からパーツが仕上がってきたが、これを1人で楽器として完成させる訳ではない。

「大アカマツが守ってくれるから演奏会は成功する」

30年ほど前、地元・高知の木で作った楽器の音色に魅了された泉谷さん。全国をまわって、その土地の木で楽器を作り、演奏する活動を続ける中、2009年、最上町での交流がスタート。2018年には、旧赤倉小の子どもたちと手づくり楽器でコンクールに出場し、「日本一」に導いた。こうした取り組みこそが、泉谷さんの活動の原点だ。

子どもたち:
できてるぞ!

楽器を制作する子どもたち
楽器を制作する子どもたち

演奏会に参加する地元の子どもたち。泉谷さんが組み立てた本体に、子どもたち自らパーツを貼り合わせて楽器を完成させる。

向町小4年・沼澤龍之右さん:
樹齢600年のアカマツを普通に触れること自体すごいこと。めったに触れないものを俺たちが楽器にしている。大アカマツが僕たちを守ってくれるから、演奏会は成功する

触り、匂いを嗅いで樹齢600年の大アカマツ感じる子ども
触り、匂いを嗅いで樹齢600年の大アカマツ感じる子ども

「手づくり楽器」の先生・泉谷貴彦さん:
木の歴史を知り、匂いを嗅ぎ、音を奏でる。そうしたことは必ず感性を豊かにする。そうした時間をこれからも作っていきたい

日本一の大アカマツで作った楽器の演奏会は3月26日、最上町の中央公民館で開かれる。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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