長野市の公園問題。苦情をきっかけに存続か、廃止かで揺れた「青木島遊園地」について、荻原健司市長は3月1日、議会で「廃止する」と表明した。遊園地は借地で「すでに新たな利用が決まり、これ以上借りられなくなった」と説明した。住民からは憤りの声が上がっている。

青木島遊園地「廃止」表明

長野市・荻原健司市長:
遊園地は廃止とし、4月中には土地をお返しする。結果として、存続を望んだ住民の期待に応えられなかったことは、大変申し訳なく思う

1日の市議会代表質問。注目の公園問題について、市長は「廃止」を表明した。

「子どもの声うるさい」苦情きっかけに…

青木島遊園地は一部住民から出た「子どもの声がうるさい」などの苦情をきっかけに市が一度、3月末で廃止する方針を決めた。

青木島遊園地(長野市)
青木島遊園地(長野市)
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しかし、「一部の声で決めていいのか」、「子どものことを第一に考えてほしい」などの声があがり、存続を求める署名活動などが展開される事態に。

市長は「再検討」の考え示すも…

署名活動(長野市 2022年12月)
署名活動(長野市 2022年12月)

これを受けて市は2月、住民説明会を開き市長は「再検討」の考えを示した。

長野市・荻原健司市長(2月):
廃止なのか存続なのか含めて判断をしていく。皆さまのお話を受け止めた中で廃止のままでいくのはどうかなと

住民説明会後に取材に応じる荻原健司市長(長野市 2月11日)
住民説明会後に取材に応じる荻原健司市長(長野市 2月11日)

廃止の理由は…

あれからおよそ3週間。市長が出した答えは「廃止」。遊園地は借地で市長は「これ以上、土地を借りられなくなった」と説明した。

長野市・荻原健司市長: 
(地権者が)新たな土地利用を計画されており、関係者との調整を重ねてきたがこれ以上、お借りするのは断念せざるを得ない状況

長野市・荻原健司市長(市議会 3月1日)
長野市・荻原健司市長(市議会 3月1日)

住民から憤りの声

青木島地区の住民からは「あの時の雰囲気と全然話が反対で驚いた。市長は何を考えているのか」 、「断る理由がなくなってきたから、地主のせいにしたんでしょ、汚い」、 「無駄に時間だけ使わされた気がして、無駄に子どもたちも嫌な思いとか悲しい思いしている」など憤りの声が聞こえてきた。

存続の署名求めたグループは―

青木島遊園地を考える会・小嶋小百合代表:
当初から廃止ありきで話が進んでいたのであれば、残念なことだなと。児童センターをつくる際に、安心して遊べる場はセットで当初から考えるべき問題だった

青木島遊園地を考える会・小嶋小百合代表(3月1日取材)
青木島遊園地を考える会・小嶋小百合代表(3月1日取材)

地権者との協議については詳しい説明がなく、市の判断に不満の声が上がっている。

長野市・荻原健司市長: 
われわれとしても、(地権者に)事情を説明しながら調整を図ってきたところですけど、土地はお返しすることになりまして、廃止ということにさせていただきました

小学校の校庭を遊び場にする考えも

遊園地を利用してきた隣の児童センター。現在、青木島小学校の1、2年生が利用している。3年生以上は学校内の「子どもプラザ」を使っている。 今後は児童センターを子どもプラザに統合し、小学校の校庭を遊び場とする考えだ。 

青木島遊園地の周辺
青木島遊園地の周辺

長野市・荻原健司市長:
平日、休日関係なく地域に開放するなど、小学校と連携した新たな子育て環境整備の長野市モデルをつくれないかと考えている

児童センターを利用する保護者は、 「今までと変わらない」 、「校庭で遊んでいても苦情が来る」などの声が聞こえてきた。

青木島遊園地を巡る経過

青木島遊園地は2004年に住民の要望で開設されたが、まもなく、一部の近隣住民から「子どもの声がうるさい」との苦情が寄せられた。 市も対策を施したが、2021年1月には住民が直接、児童センターに静かにするよう要請。センターも子どもたちの利用を中止した。

青木島遊園地を巡る経過
青木島遊園地を巡る経過

区長会は使われない公園について「廃止やむなし」とし、これを受け、市が廃止の方針を決めた。 しかし、その後、存続を求める署名活動などが展開され、荻原市長は2月に再検討を表明していた。

青木島遊園地(長野市)
青木島遊園地(長野市)

市長「反省すべきところは反省…」

今回、なぜここまで問題となったのか…。

市長はいわゆる都市内分権を進める中で、地区の役員に任せすぎ、市の進め方にも問題があったと述べている。

長野市・荻原健司市長:
地区の役員の皆さまに任せすぎてしまったこと、重要な決定にあたり住民の皆さまの意見の聴取、お知らせの仕方にも課題が残った。反省すべきところは反省し、今後に生かしていきたい

 長野市の住民自治のあり方という課題も浮き彫りとなった。

(長野放送)