子供がスマートフォンなどを見る「スクリーンタイム」が長いと体力テストの合計点が低くなる傾向がある。新型コロナが、外に出て体を動かす機会を奪うことで肥満の増加に拍車をかけたとの分析結果をスポーツ庁が公表した。

 各地でスポーツイベントが開かれたスポーツの日の10月10日、保護者から「子供の体力低下」に関して気になる声が次々とあがった。

■新型コロナの流行から始まった!? 子供の体力の"急激な低下"

保護者:
ゲームとかしたがるので…行けるときは外に行ってもらいたい。

保護者:
小さい子供は体力が落ちていると聞いてます。なるべく子供と一緒に、こういったイベントや公園でキャッチボールとかするように心がけています

 新型コロナの流行が始まったころから、子供たちの体力が急激に低下している。スポーツ庁の調査では、中学生の持久走で4年前と去年の平均タイムを比較すると、男子が13.5秒、女子は10.8秒遅くなっていた。小学生でも、20メートルを何回折り返せたかを測定するシャトルランが、男子で平均5.3回、女子で3.7回減っている。

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■体力低下のもう一つの要因「スクリーンタイム」

 スポーツ庁はこれについて、子供がスマートフォンなどを見る「スクリーンタイム」が増えて運動時間が減り、肥満が増加する傾向に、新型コロナが拍車をかけたと分析している。

 小学生女子の1日のスクリーンタイムは、コロナ前の2018年は「2時間以上」が46.3%だったが、2021年には53.2%と増加した。小学生男子や中学生男女も、同様にスクリーンタイムが長くなっている。

 スクリーンタイムと体力テストの合計点の関係を見ると、中学生男子では、スクリーンタイムが「1~2時間」の場合は42.5点だが、「5時間以上」の場合は38.2点となり、中学生男子の全国平均41.1点を下回っている。

 これは男女や年齢を問わず、スクリーンタイムが長いと、体力テストの合計点が低くなるという傾向があるそうだ。

 体力低下の影響として、子供の身体活動に詳しい城西国際大学の大塚正美教授は、「姿勢が悪くなる」「疲れやすくなる」「骨折や糖尿病など、けがや病気のリスクが高まる」と指摘する。

 「スクリーンタイム」の増加だけでなく、大きな声を出さないように言われたり、人との接触を減らすよう言われたりしたことも、子供の遊び方に影響しているように思われる。

 また、子供だけでなく社会全体が、コロナ禍で外に出て体を動かす機会が減っている。感染対策の緩和とともに、失われた体力を取り戻すタイミングが来ているのかもしれない。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月10日放送)

関西テレビ
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