旧統一教会は、22日記者会見を行い、教会の改革案を発表した。会見に登場したのは、かつて合同結婚式で話題となった“あの人”だった。

“テッシー”が「過度な献金の禁止」を強調

午後2時、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、教団の改革案に関する記者会見を開いた。

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登壇したのは、これまで会見を行ってきた田中会長ではなく、教会改革推進本部の勅使河原秀行本部長だった。

勅使河原氏は会見の冒頭で、「今回の安倍元総理の銃撃事件以降、さまざまな報道を通じて世間を大変お騒がせしましたこと、ならびに日本国政府、そして国会議員の皆様に大変なご迷惑をおかけしましたことを、心からおわび申し上げます。大変申し訳ありませんでした」と謝罪し、頭を下げた。

勅使河原氏は1992年8月、韓国で行われた合同結婚式にオリンピック元日本代表だった女子アスリートとともに参加。

“テッシー”などの愛称で呼ばれ、教団の広告塔ともなった人物だ。

会見では、教団本部に「教会改革推進本部」を設置し、献金問題などでコンプライアンスの徹底を図るなどと説明した。

勅使河原氏は、「献金がある意味度を過ぎて通常の生活を送るのを害するような、そういった過度なものになってはいけないということは当然のことであります」「献金が信者の生活を圧迫することが決してないよう、指導を徹底いたします」と述べた。

霊感商法「2009年以降はない」と主張 メディア批判も…

1954年に文鮮明氏が韓国で創設した旧統一教会。数千組の信者による「合同結婚式」が大きく報じられた一方で、壺などの高額販売、いわゆる霊感商法や多額の献金などが社会問題化した。

安倍元首相の銃撃事件後、山上容疑者の母親と教団の関係が浮き彫りとなり、高額な献金問題などが再び問題視されることになった。

事件直後の7月11日に行われた会見で、田中会長は「2009年以降の案件で、そのような(献金)トラブルはありません」と説明していた。

ところが、その6日後の7月17日、声明で「トラブルがゼロになったという意味で言ったものではありません」と訂正した。

そして22日の会見で、勅使河原氏は「度を過ぎた献金で生活を害するようなものになってはならない」として、指導を進める考えを示した。

一方で、ボードなどを用いて教団をめぐる報道を批判し、「私の認識では、霊感商法というのは1件もないはずです。2009年以降は。にもかかわらず、引き続き継続して出しているというような印象を与えるような記事は、誠に遺憾であります」などと声を荒らげる場面もあった。

「では、なぜ山上容疑者の事件が起きたのか?」との質問には、30年にわたり教団の顧問弁護士を務める福本修也弁護士が「あの事件の(山上容疑者の)お母さんが献金されたのは1990年代です。それが20年以上を経て、山上容疑者の恨みとしてあのような形になったわけではありますけれども。90年代の話であって、コンプライアンス宣言以前の、はるか以前の問題でございます」と答えた。

山上容疑者の母親「過度の献金であった」

会見では、過度な献金とする金額についてどのように判断するのか、具体策は示されなかった。

勅使河原氏は「生活を圧迫しない程度という指針を示しましたので、献金をお受けする際に、特に高額な献金の場合ですね。これが本当に大丈夫なのか、御家族の合意がとれているのかとか、そういったことをきちっと確認するという程度で、その詳細までまだ決めていないです」と述べた。

また「高額というのは受取手の考え方によって違うのでは?」という記者の指摘については、「高額というのは信徒さんご本人の経済状態によって変わる。やはり1万2万だって、本当に高額だと感じられる方も大勢いらっしゃるでしょうし、あるいは1000万あるいは1億だってさして高額ではないという方もいらっしゃるのが実情ではないでしょうか」と答えた。

そのうえで、山上容疑者の家庭のケースは過度な献金だったかを問われ、福本弁護士が「(献金額)1億の原資というのは生命保険金、そして不動産の売却代金が充てられたということも確認できております」と、1億円以上の献金を受けていたことを認めた。

そして、「確かに私の感覚で言えば、過度な献金であったと思います」と述べ、過度の献金であったとの認識を示した。

安倍元首相の国葬が5日後に迫る中、国葬に賛成かとの質問も出た。勅使川原氏は、「私は個人的に安倍元総理を大変尊敬しておりました。丁重に国を挙げて葬儀をするということは、私は賛成です」と述べ、教団としての公式な見解ではないとした上で「賛成する」とした。

旧統一教会問題を追及してきたジャーナリストの有田芳生氏は、22日の会見の印象を「霊感商法の被害がゼロというのは現実でもないし、被害者なんかにまともに向き合おうとしていないことが明らかになった、茶番の記者会見だと思いました」と語った。

“過度な献金問題”への具体策が示されないなど、多くの疑問が残る会見となった。

(「イット!」9月22日放送)