「感染が爆発してもおかしくない」コロナ対策を担う政府関係者は、ゴールデンウィークを目前に新型コロナの感染者の爆発的な増加に強い懸念を示した。
3年ぶりに迎える緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のないゴールデンウィークは、3年ぶりの行動制限のないゴールデンウィークとなる。行楽地では客足の増加が見込まれ、観光・飲食業界を中心に期待が高まる。
感染対策と経済回復の両立を目指す、いわば「ウィズコロナ」型の大型連休を終えた後に、感染者は増えるのか、それとも抑えられるのか。ゴールデンウィーク後の感染者の動向は「ポストコロナ」のあり方を占う試金石となると共に、岸田政権の命運を握る可能性もある。
全国の感染者数の行方を占う沖縄
現在、コロナの新規感染者数は多くの地域で減少に転じているが、一部の地域で感染者数が増加している。特に沖縄県は、直近1週間の10万人当たりの新規感染者数は全国で最悪だ。そのため政府は、沖縄県に元首相秘書官をトップとする国と自治体の連絡調整を担う「リエゾンチーム」を派遣。
この記事の画像(3枚)政府関係者によると、チームは沖縄全域での感染状況の特性を把握し、まん延防止等重点措置の適用の必要性を検討したほか、進まない若者のワクチン接種などに向けて県側との連携を強化したという。
沖縄から全国への感染拡大を警戒
政府が、沖縄の感染状況をとりわけ重視するのには、理由がある。ゴールデンウィーク中に、人気観光地である沖縄に観光客が殺到し、沖縄から全国に感染が拡大する懸念があるからだ。
コロナ対策を担う閣僚の一人は周囲に「これまでは東京から地方にコロナを広げないようにどう対策するかという話が中心だったが、今回は沖縄など観光地から東京などの都市部にコロナを持ってこないようにどう対策するかという話に転換しないといけない」との見方を示している。
一方、首相周辺は「今回はワクチン接種で抗体が残っている状態でゴールデンウィークに突入するから、これまでとは違う」と話し、ワクチンの効果で感染者数が抑制できることに期待する。
まん延防止措置出せば野党が追及
仮に全国的な感染爆発が起きれば、政府はこれまでなら、まん延防止等重点措置の適用を視野に入れてきた。しかし、ある政府関係者は「まん延防止等重点措置は本当に効果があるのかわからない」「それ以外に打つ手がなくて困っている」と漏らす。効果は分からないが、それ以外に打つ手がない。「まん延防止措置」頼みの対策に、手詰まり感が出ているのも実情だ。
一方で、政権には夏の参院選を前に、まん延防止等重点措置を出したくない思惑もちらつく。これまでのように一部にまん延防止措置を適用した後に、五月雨式に対象地域が毎週増えるような事態で選挙に突入すれば、政府のコロナ対策に「失敗」の烙印が押され、与党に逆風となる危険性が高い。
参院選前には、令和4年度の補正予算を編成するため、衆参での予算委員会が開催される。まん延防止措置が出ている状態で審議に入れば、野党側が政府のコロナ対策を追及するのは必至で、政権へのダメージとなる。
3年ぶりの行動制限のないゴールデンウィークの後に、どのような景色が広がるのか。再びコロナが猛威を奮うのか。岸田政権の行く末を大きく左右することになる。
(フジテレビ政治部)