ロシア軍の無差別攻撃で、ウクライナ東部では今も市民の犠牲が増え続けている。こうした中、姿を現したプーチン大統領の「黒いカバン」に注目が集まっている。

大量のタイマー地雷住宅街に

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ロシア軍の空爆を受け、激しく燃え上がる住宅。ウクライナ北東部にある第2の都市「ハルキウ」だ。消火作業のさなかだった。すぐそばで爆撃音が響き、消防士たちは急いで建物の陰に避難した。

今も緊迫した状況が続くハルキウ。さらに住宅街でも無差別攻撃が行われていた。突然、爆発したのは、緑色の筒状の「地雷」だ。竹筒のような形をした地雷が、道路や住宅の庭など街のいたるところに散乱していた。

住民は「うちの2階建ての建物に、建物といっても鶏小屋だよ。(地雷を落とし)どこかのバカがボタンを押して爆破した」と憤る。

住民によると、ロシア軍が深夜に住宅街に時限装置付きの地雷を撤いたという。現場には防護服に身を包んだ地雷除去隊員が出動し処理にあたった。

マリウポリでサリン報道も

手段を選ばないロシア軍。こうした中、南東部のマリウポリでは、ロシア軍が"化学兵器"を使った可能性が浮上した。

ウクライナのアゾフ大隊はSNSで「ロシア軍がマリウポリで正体不明の有毒物質を使った」と投稿。多くの人に呼吸不全などの症状が出たとして、地元メディアは"サリンの可能性がある"と報じた。

ウクライナ国防省は11日、「ロシア軍が部隊の再編成を行い、マリウポリなど東部への攻撃準備を終えた」として警戒感を示している。

11歳の体操少女も犠牲に

市内の犠牲者が2万人を超えるとの見方もあるマリウポリ。ブルガリアで行われた新体操のワールドカップでは、表彰式でスビーチに立った国際体操連盟の渡邊守成会長がある少女の死に触れた。

スクリーンに映し出されたのは、体操王国・ウクライナの将来の金メダル候補だった11歳のカティア・ディアチェンコさんだ。先月、自宅がロシア軍の砲撃を受け、11歳の若さで家族とともに亡くなった。

「皆さん私と同じでお辛いでしょう。なぜならば私たち新体操界の心は一つだからです」と涙ながらに報告した渡邊会長は、会場に黙祷を呼びかけ、表彰式では異例となる1分間の黙祷が捧げられた。

プーチン氏の娘2人の資産凍結

日本政府はロシアへの追加制裁措置として、新たに約400人の資産凍結を決めました。その対象者の中には"プーチンの娘"と記載された長女マリヤ・ボロンツォワ氏と次女カテリーナ・チホノワ氏が含まれた。

友人葬儀に「核のカバン」が

このプーチン大統領をめぐり、海外メディアがある映像に注目していた。8日、赤いバラの花束を手に葬儀の場に現れたプーチン大統領。その背後の警護スタッフの手には「黒いカバン」が確認できる。

イギリスの大衆紙「ザ・サン」などは、このカバンが、「遠隔で核ミサイルを発射するための核のカバン」だと指摘した。

1999年12月、当時のエリツイン大統領から受け継いだ核のカバン。記事では「プーチン大統領がいつでも核兵器を使用する可能性があることを示す恐ろしい兆候だ」と分析している。

戦争状態は「2035年まで続く可能性」

終わりの見えないロシアによるウクライナ侵攻で新たな分析も。ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は、インタビューの中で、「ロシアとの戦争状態は2035年まで続く可能性がある」との見解を示した。

「これがロシアとの最後の戦争ではなく、イスラエルとアラブ国民が経験した戦争のように、おおよそ2032年から 2035年まで戦争状態が続くと思う」 

インタビューの中で、イスラエルとアラブ諸国の間で起きた「中東戦争」に触れたアレストビッチ氏。中東戦争が1948年から73年の間に4回の戦争が繰り返されたことを引き合いに、ロシアとの戦争状態が2035年まで続く可能性があり、数年おきに軍事衝突が起きるだろうとの見方を示した。