愛情たっぷりの、手作りお弁当。
娘さんのためにお父さんが毎朝作る“個性派なお弁当”がインスタグラムに投稿されている。

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“月が綺麗ですね”
娘が意味を知っていたら、キモっ!って言われがち弁当。
昨夜の満月は本当に綺麗だった。そして、
“芋も美味しいですね”

「I LOVE YOU」の訳として有名な「月が綺麗ですね」というメッセージが、白米の上に海苔で書かれたこちらのお弁当。
隅には満月を模した輪切りのさつまいもが置かれ、シンプルながらアイデアあふれる仕上がりだ。

15歳の娘さんのためにこのお弁当を作ったのは、お父さんの内田直人(@bento_star)さん。

こんな素敵なお弁当なら、ぜひ毎日食べたいところだが…内田さんのアカウントには、思わず「なんだこれ!?」とツッコミたくなる、気になるお弁当がたくさんアップされている。
さっそく、そのいくつかを見てみたい。

「弁当の半分はごはんでできています」
「弁当の半分はごはんでできています」

たとえば、白米の上に「弁当の半分はごはんでできています」と書かれたこちらのお弁当。

確かに、お弁当箱には春巻きや焼き魚といったおかずが半分、そしてもう半分には美味しそうな白米が詰まっているが…これには内田さんも自ら「う、うん。だろうね。」とコメント。

「#やさしさとちゃうんかい」「#いや入ってない訳ではないけど」と続く漫才のようなコメントに、思わず笑ってしまう。

続いてはこちらのカレー弁当。

「控えめに言って米」
「控えめに言って米」

スープジャーに入ったカレーをかけて食べるお弁当はこれまた美味しそうなのだが、白米に書かれた「控えめに言って米」との主張と、内田さんの「大袈裟めに言ってみても、やはり米」とのコメントに、またも「だろうね」と一言ツッコミたくなってくる。

「テスト期間中あるある」尽くし
「テスト期間中あるある」尽くし

娘さんがテスト期間中だった時に作ったというお弁当には「とある父親の学生時代」とコメントが添えられているが…器用に切り抜かれた海苔で書かれているのは

・部屋掃除
・机片づけ
・ちょっとマンガ
・うたたね
・爪切る
・さあやるか 22:00


の文字。遠い記憶がよみがえってくる人も多そうな、勉強しなくてはいけない時に限ってやってしまいがちな行動の羅列に、テスト期間中の娘さんは気を引き締めたかもしれない。

他にも、アニメや漫画のキャラクターを海苔で切り出した“キャラクター弁当”など、様々なお弁当を作っている内田さん。

力作ぞろいのお弁当は、どれもふたを開けた瞬間、思わずニヤリとしてしまいそうな仕上がりなのだが、中には1980年に販売が開始された携帯ゲーム機「ゲーム&ウオッチ」の画面や、漫画「巨人の星」のひとコマを再現したものなど、まだ15歳だという娘さんには「元ネタがわからないのでは…」と思う“懐かしネタ”のお弁当も。

「ゲーム&ウオッチ」のゲーム画面を再現したデコ弁
「ゲーム&ウオッチ」のゲーム画面を再現したデコ弁

果たして、そんなお弁当たちへの娘さんの反応はいかに?こだわりのお弁当作りについて、内田さんにお話を聞いてみた。

「おかずよりごはんに注目して」で開始

――普通のお弁当ではなく“デコ弁”を作り始めたきっかけは?

令和改元の日、なんとなく手元にあった海苔で切り貼りして作った「令和」の字が始まりでした。そして料理が全くのど素人で、おかずに目を行かせなくするのに、これは丁度いいと思ったのがきっかけだったと思います。


――デザインはいつ決めているの?

基本的に夜に海苔を切るので、それまでに。朝と夜の少しの会話からネタを拾って、そこから広げる感じ。あとは時事的な(テストやクラブや漫画発売とか)ところをネタにすることがほとんどです。


――「月が綺麗ですね」のお弁当は、どんなアイデアで作ったの?

この日あたりがスーパームーン的な日で、たまたま婆ちゃん(僕の母)から芋貰ってあって。そういえば前におませな妹がこの言葉を得意げに言ってたなと思い出して、のネタでした。


「おとなしめのしっかり者」だという中学3年生の長女と、「明るめのしっかり者」という小学4年生の次女がいて、長女が中学校に入学したことでお弁当作りを開始したという内田さん。実は“デコ弁”開始のきっかけは、慣れない料理をする中でおかずよりもごはんに注目させたい!というお父さんならではの努力からだった。

こちらが2019年に「初めて作った」という海苔文字弁当
こちらが2019年に「初めて作った」という海苔文字弁当

初めての海苔文字弁当は、卵焼きにウインナー、きんぴらごぼうなどの定番のおかずが並び十分においしそうだが、3年が経った現在の“海苔さばき”と比べるとざっくりとした形の海苔文字に、思わずほっこりしてしまう。

娘さんの反応は「ほぼ無反応」!?

どうやって作っているのかというと、デコ弁作成に使っているのは「普通の手巻き用」の海苔。

「パリパリのまま切ると、思わぬところでちぎれたりする」そうで、海苔はまず袋から取り出しておき、急いでいる時は湯気にあてて「強制シナシナ」状態にするのがポイントだそうだ。

海苔の準備をしたら、次に使うのはパソコン。
お弁当箱の実寸サイズの枠をパワーポイントで作ってあるそうで、そこにイラストや文字をはめ込み、大きさや位置調整をするそうだ。

デザインが決まったら、細すぎる線をサインペンでなぞり、切り抜きやすい太さに調整。
愛用のデザインカッターとピンセットを使い、「絵の内側の細かくくりぬく部分→内側の全体→外周」の順番で絵を切り抜いたら、ごはんにセットして完成だ。


――そんな手間暇かかったお弁当、完成までにはどのくらいの時間が?

だいたい海苔切り60分。朝5時起きで洗濯回して弁当詰めて海苔のせてインスタあげて朝食用意して洗濯干してちゃちゃっと掃除して7時半に自分と妹が家出るので、その間の時間で収まるように夜のうちに弁当(おかず)の段取りしておきます。


――娘さんの反応は…

ほぼほぼほぼほぼ無反応でして……
唯一娘から反応があったのが「昼の蛍」ネタの時くらいでした。基本的に娘から感想を聞けることはないのです。


――では“懐かしネタ”のお弁当にも、反応はない?

上の通りですので、もうやりたい放題です。
 

1時間ほどかけて“海苔切り”をするなど、手間暇かかったお弁当だが、娘さんからの反応は残念ながらほぼ無し…

そんな娘さんが唯一反応したという「昼の蛍」は、何も知らずに蓋を開けたらビクッとしてしまいそうな仕上がり。

内田さんが「限りなくゴキ」「今日のはさすがに開けた瞬間弁当ひっくり返されるとあかんと思て、朝写真見せて断っておきました」「写真見せたら『へー』って。思ったよりタフな娘です」と話すそのデザインをタイトルから想像しつつ、スクロールしていただきたい。

思わずのけぞりそうな「昼の蛍」
思わずのけぞりそうな「昼の蛍」

――お気に入りのお弁当はどれ?

父のお気に入りは、モグラ叩き弁当(ソーセージ利用)とかミートボール利用弁当(だいたいウンチネタ)とか大人漫画ネタ(ベルセルクやバガボンド)ですかね。娘の反応が良かったのは……よくわからんのです。

お父さんお気に入りの「モグラ叩き弁当」
お父さんお気に入りの「モグラ叩き弁当」

高校入学後も続きそう?

――娘さんの中学入学から始まったお弁当。これからはどうする?

最初は中学卒業まで頑張って作ろうと思ってやってきたんですが、ここまでくると高校も作ろうかなと思ってます。妹からは「推しメン以外絶対イヤ」と言われているので、妹の弁当は普通の弁当になりそうです。


――お弁当への反響について…

こんなに沢山見てもらえるようになったのは、この半年くらいのことでして。やっぱりたくさんイイネもらえると嬉しいです。でも自信マンマンで投稿したものが反応薄かったり、そうでもない物が反響大きかったり、全然思った通りにならなくて本当に面白いです。

でも基本的には娘へのメッセージとしての投稿を心がけています。もっともっと上手なキャラ弁作られる方はたくさんいらっしゃいますし、あんまり変に色つけたり、変わった食材を使うのは娘が嫌がるので、海苔一本で勝負ですわ。そしてこんな投稿にコメント等いただいた方には全力でお返ししたいと思ってます。

「春遠からじ」ではなく…
「春遠からじ」ではなく…

娘さんへの愛情がたっぷり詰め込まれ、仲良しさがビシビシと伝わってくるお父さんのお手製弁当。

当初は中学卒業までの予定だったそうだが、高校入学後も続いていきそうということで、さらに磨かれたお父さんのセンスと技術でつづられる娘さんへのメッセージを楽しみにしたい。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。