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歴史的一戦の相手は4年前「銅」争ったイギリス

2月20日、カーリング女子日本代表が臨んだ歴史的一戦。初めてのオリンピック決勝。金メダルを争う相手は、イギリス。奇しくも、4年前の平昌五輪で銅メダルをかけて戦った相手だ。
当時、最終エンドのラスト1投でイギリスの司令塔・ミュアヘッド選手が失投し、日本のストーンが真ん中へ、日本初の銅メダルが決定した。
あれから4年。北京五輪で、雪辱に燃えるミュアヘッド選手は決勝の第1エンドから…

実況:
イギリス2点を取りました

絶妙なショットを決め、2点を先制。すると日本の司令塔・藤澤選手も…

解説:
ナイス

実況:
ダブルテイクアウト

第2エンドはナイスショットの応酬に。

実況:
藤澤五月。2エンドラストストーン。1つでした。ナンバー1は取りました

解説:
しっかり取りましたねー

日本が1点を返す。序盤、紙一重の攻防を繰り広げた。
平昌の銅メダルからさらに躍進し、決勝の舞台に立った日本代表。その躍動の秘密とは何だったのか?
Mr.サンデーと共に決勝を見届けたのは、ソチ五輪の日本代表メンバー、小野寺佳歩選手。鈴木夕湖選手らと元チームメイトで、今もよく知る盟友はその強さをこう語る。

「それぞれの個性がかみ合った強さ」盟友が語るショット力の秘密

ソチ五輪代表メンバー「フォルティウス」所属 小野寺佳歩選手:
スイープとコールと投げ、全てかみ合ってスーパーショットがどんどん4人の力、(リザーブの石崎琴美選手も含め)5人の力で生まれている感じですね

それぞれの個性がかみ合った強さ。それは今日の決勝でも現れていた。

実況:
吉田夕梨花、きょうはここまで100%のショット成功率。

1番手のリード、吉田夕梨花選手。リードは戦術通りにストーンを配置したり、相手のストーンをどけたりして、いかに有利な状況を作れるかが勝負だというが、吉田夕梨花選手のショット成功率は決勝で97%。また、準決勝のスイス戦では脅威の99%を記録した。正確なショットで、後のメンバーが投げやすい形を作っていく吉田夕梨花選手。
さらにセカンド・鈴木夕湖選手は…

選手:
見てね、見てね!ヤップ!ヤップ!

鈴木選手の武器は“超高速スイープ”

ソチ五輪代表メンバー「フォルティウス」所属 小野寺佳歩選手:
やっぱ速いですね、誰よりも。体重は他の海外の選手よりも少ないので、その分をしっかりこうスピードで補って

身長146cmという体で、体格に恵まれた海外選手をしのぐ鈴木選手のスピード。ストーンの進む距離や曲がり具合をよりコントロールでき、チームのショット成功率を引き上げている。なぜ、小さな体からこれほどの“スイープ力”が生み出されるのか。

「ナイスショット」への”磨き” 氷の外でも

道着姿で空手を行う日本代表の選手たち。身体能力向上のため、カーリング以外のトレーニングも取り入れてきたという。他にも乗馬やボルダリング。さらに、有酸素運動のエアロビクスやピラティスにもチャレンジ。指導したインストラクターに話を聞くと…

インストラクター樋口敬勇さん:
ピラティスは簡単に言うと体の操作能力を上げる運動なので、(スイープの)少ないエネルギーで大きなパワーを出すために非常に有効だと思います。

氷の外で磨きをかけた力強いスイープ。さらに、試合でその効果を引き出すのが…

吉田知那美選手:
がんばれ!がんばれ!最後まで!スイープナイス

主にストーンの動きを見ながら、スイープの強さやタイミングの指示を出しているのが吉田知那美選手。

ソチ五輪代表メンバー「フォルティウス」所属 小野寺佳歩選手:
コールのかけるタイミングとかもすごく上手ですし、ハウスの状況を見て、すぐ切り替える判断力、切り替えとかもすごく速い選手ですね。

戦術通りの形づくり。狙い通りにストーンを導くスイープ力と判断力。
そのバトンを受け、最後に得点を決めるのがスキップの藤澤選手だ。予選と準決勝のショット成功率は、同じポジションの選手の中で1位だった。
しかもチームには、より力を発揮しやすい下地があるという。

吉田知那美選手:
私たちの強さは、強くあろうとしないっていうこと。弱さ全開で、私たちは弱さをしっかりと情報交換し合って、理解してるからこそ助け合うことが出来るので

鈴木夕湖選手:
やらかしたことに対して、怒る人はいないですよ。みんなやらかすから

盟友の小野寺選手によると、決勝のイギリス戦でも4人らしさを象徴するナイスショットがあったという。

まさかの一挙4失点…笑顔と涙の銀メダル

ソチ五輪代表メンバー「フォルティウス」所属 小野寺佳歩選手:
大事なショットですね…

それは日本が3点を追う第6エンド、藤澤選手の1投目。点差を縮めるには、相手ストーンの間を縫って、中央に近づけなければならない。難しいショットだというが…

実況:
激しくスイープを始めた!ヤップがかかる!引っ張って…伸ばしてきました!

解説:
ナイス!

実況:
ナイスショット!

解説:
ナイスショット!

実況:
つけてきました!ナンバー1、日本!

内側にピタリとつけ、第6エンド、日本は1点を返した。
しかし、直後の第7エンド。これが4年前の雪辱に燃えるイギリスのミュアヘッド選手の底力か。日本はまさかの一挙4失点。結果、金メダルには届かなかった。
それでも、縁の下で支えたリザーブの石崎琴美選手と共に、もたらしたのは日本初の銀メダル。

カーリング女子それぞれの思い

吉田知那美選手:
試合終わった後は悔しかったんですけど、本当にみんなよくやっていたので、本当にみんなに「お疲れ様」「ありがとう」というのを伝えました

鈴木夕湖選手:
支えてくれたみんなに感謝したいですし、さっきから喜び始めて、これ(銀メダル)が宝物になり始めてます

石崎琴美選手:
この4人じゃなかったら私はこのチームに入ってなかったので、金メダル以上のうれしさがあった

吉田知那美選手:
自分に対してもすごく悔しい気持ちがあるんですけど、4年間本当によく頑張ってきたなと感じています

藤澤五月選手:
4年前とは1つメダルの色も変わったんですけど、正直まだ悔しさの方があって。でもここまでこのチームで、最終日まで皆でプレーできたっていうのは、チームを本当に心から誇りに思います

(「Mr.サンデー」 2月20日放送分より)