2月に東京・港区にオープンする完全個室型のフィットネスジムとサウナ。もともとは13階建てのビジネスホテルだったが、それを丸ごと1棟改装。

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ホテルならではの個室空間を生かしたフィットネスルームとサウナルームに転換した。客室にあったベッドはフィットネスマシンに置き換わり、シャワー完備の完全個室のトレーニングスペースに。

専用のリストをかざせば、カスタマイズされたポジションに自動調整されるAI搭載のフィットネスマシンも設置され、サーキットトレーニングを行うこともできる。

落ち着いた色合いのサウナ専用ルーム。明るく清潔感のあるサウナは、自由に照明を変えたり、備え付けの桶とひしゃくを使ってロウリュも楽しめる。

バスルームには、水風呂用に水温10度の水が出るシャワーと蛇口も設置し、「ととのう」環境がそろえられている。こうした業態転換の背景には、新型コロナの感染拡大が影を落としていた。

NEXUSグループ 星野敏取締役代表:このコロナ禍でホテル稼働率は20%を割り込む始末で、売却したくても値段を付けられない状況でした。

東京オリンピック・パラリンピック開催にともないインバウンド需要を想定して開業したというホテル。2019年には92%だった客室稼働率は、2020年、感染拡大の影響からおよそ15%にまで落ち込んでいた。

NEXUSグループ・星野敏取締役代表「(月会費)3万円で東京都心に自分専用のサウナ付きのフィットネスルームを持てると考えたら、非常にリーズナブルではないでしょうか。状況が見通せたら、できれば全国展開をしたいと目標を持っています。

ホテルからの業態転換で逆転の集客を狙う。

内田嶺衣奈キャスター:このニュースについては、株式会社キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話をうかがいます。ビジネスホテルの個室を利用した業態の転換。石倉さんはどうご覧になりますか。

株式会社キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:違うビジネスに転換する際に既存のアセット、つまり今持っている資産を有効活用するというのは王道なんです。今回の試みでいうと、個室というもともとあったスペースに加えて、空調であったり水まわりなども使えますから、新たな設備投資が少なく済んでいるというのもあると思います。さらに今回の業態転換は、アセットの有効活用だけではなくて、社会における価値感の変化をうまくとらえているのではないかと感じました。

内田嶺衣奈キャスター:その価値感の変化というのは具体的にどのような変化のことでしょうか。

株式会社キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:コロナ禍が続いている中で、同じ場所をほかの人と共有しないということが安心であって、それがメリットに感じる人が増えているという変化ですね。これは一部で『ホワイト社会の到来』という言葉でも言われていて、以前に比べて清潔であること自体の重要度が非常に増していると思うんですね。

株式会社キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:なので値段が安かったり、メニューが豊富であったり、従来の選択肢とは別に清潔であること自体が、その場所であったりサービスを選択する理由になってきていると思います。コロナ禍で多くの人が手洗いやうがいを習慣化してきたりとか、清潔であることに対する感度も上がってきていますから、ホワイト社会化は今後も進んでいくはずなんですよね。なので、これからビジネスを考える上では、どんな業態でも、いかに接触が少ないかとか、清潔であるかをアピールできるかというのがポイントになってくるなと思います。

内田嶺衣奈キャスター:確かに利用者側の気持ちになると、接触を避けられることに関しては大きなアピールポイントになりますよね

株式会社キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:そうですね、テレワークが普及して、運動不足の解消のためにフィットネスジムに通いたいであるとか、サウナはリラックスする時間のために需要が伸びているという業態ですけど、この2つの業態は、汗も出たり、人との距離も近いですから、感染リスクを恐れる人からすると避けている人もいると思います。

株式会社キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:この課題をクリアするための完全個室型ということだと思うのですが、今まで完全個室型のフィットネスがあっても、価格も高くて一部の富裕層向けというのが、どうしても限られていたのが、今回はアセットをうまく使ったことで価格を抑えて提供できるようになっていますから、これは歓迎される方が多いのではないかなと思います。

内田嶺衣奈キャスター:今、多くのサービス業が感染拡大の影響を受けています。人との接触を少しでも減らす工夫で不安感を取り除き、再び利用者を増やすこともできるのかもしれません。

(「Live News α」1月21日放送分)