東京オリンピック・パラリンピックが開催された2021年も、Twitter上ではさまざまな投稿が話題となり、中には数万にも及ぶ人からリツイートされる“バズる”体験をした人がいる。

ただ、“バズりたい”という願望はあってもそうなるのは一握りで「実際バズったらどんなことが待ち受けるのか」は経験したものにしかわからない。

新たな年を迎える前に、今年バズった投稿者に当時体験したことや、気になるその後を聞いてみた。

天井から草!?ゾンビのような生命力

家の天井から草が生えてきたという驚きのツイートが8月に投稿され、自然の生命力の強さに驚かされた。

「は?」と言葉を失ったかのようなコメントと共に、漫画家のアシガル丸さん(@asssssssssssya)が投稿したのは、家の中の天井隅から植物が生えている画像。

朝にアシガル丸さんの家族が洗面所を使う際に気付いたそうで、最初はカマキリなどの虫かと思い、植物だと分かると思わず笑ってしまったのだそう。

天井から草が!?(8月8日発見当初)
天井から草が!?(8月8日発見当初)
この記事の画像(25枚)

しかし、この植物を専門家に聞いてみたところ、恐ろしい正体が分かった。ノウゼンカズラという外来種で、ツルを伸ばし、木などに巻き付いたりして、明るい所を求めて成長していく、観賞用としてどこにでもある植物。

ただ、このノウゼンカズラが恐ろしいのは、抜いても抜いても茎や根が少しでも残っていると、死なずにそこからまた何年後かに出てくるという“ゾンビのような生命力”の持ち主だというのだ。

隙間からひょっこり生えてきているのが分かる(8月8日発見当初)
隙間からひょっこり生えてきているのが分かる(8月8日発見当初)

完全に駆除することは難しく“出てきたものを抜いていく”ということを辛抱強く続けるしかないというのだ。そして残念なことにこの我慢比べを繰り返しても、発生源含め、伸びてきているツルなどの通り道全ての根やツルを完全に取り除かない限り、完全に駆除できるわけではないという。

(関連記事:「は?」天井から草が生えてきた…専門家が“ゾンビ”と表現する植物の生態を聞いた

投稿には「植物ってすげー」「これは流石に草」「自然の力はすごい」といった、植物の生命力の強さに驚くコメントが多く寄せられ、中には「放置すると柱や梁が腐ってしまうかも」「速攻調査して止めて下さい」と注意喚起してくれる人も。

さまざまなコメントで賑わった投稿は、 12月下旬までに約4.7万件のリツイートと、約27.3万件のいいね!を集めた。

「生まれてはじめての万バズでした…」

アシガル丸さんの家で着々と成長を続けていたノウゼンカズラ。取材時には処理すると話していたが、一体どうなったのだろうか? その後や、当時投稿がバズった際の状況などをアシガル丸さんに聞いてみた。

ーーどうして投稿をしようと思ったの?

珍しいこと起こったなーというのと、混乱を落ち着かせるためにつぶやきました。


ーー改めて、壁の隙間から生えてきた植物を見た時どう思った?

まさに「は?」でした。最初はカマキリかなにかかと思いましたがよ~く見たら本当に植物で、「いつからだ!?」とか「なんで気づかなかった?」と混乱していました。家族はあまりの出来事に笑いながら驚いていました。

発見から3日目(8月10日)ツルが少し太くなってきている
発見から3日目(8月10日)ツルが少し太くなってきている

ーー投稿は大きな反響となったが、当初からこれくらい話題になると予想していた?

まったく予想していませんでした。たった2文字でこんなことになるとは…。


ーーこの投稿が過去一番のバズったツイート?

過去イチで生まれてはじめての万バズでした…。

発見から6日目(8月13日)確実にツルが伸びてきている
発見から6日目(8月13日)確実にツルが伸びてきている

ーー「バズった」と感じた日の状況を教えて。

もともと通知を切っていたので電池消費は心配なかったのですが、スマホからツイッターを見ると通知の数が見たことのない数になっていました。3秒待てば通知がすごい数溜まっていく様子を見て、インフルエンサーの方々にはこれが通常なのかなーなんてぼんやり考えていました。


ーーその反響に対して、家族の反応はどうだったの?

RT数といいねの数で喜んでいました。好きな映画の似たシーンの画像がリプライで送られているのを見てテンションが上がっていたようです。

発見から8日目(8月15日)30センチまで大きく成長
発見から8日目(8月15日)30センチまで大きく成長

ーーリプライなどのコメントで印象に残っているものはある?

映画やアニメの似ているシーンを送ってくる人はたくさんいましたね。知っているとやはりテンションが上がりましたが、「これから植えようかと思ってた」「自分の家も同じことがありました(あるいは現在進行系)」などのリプライ・引用は印象的でした。

「開き直るっきゃない」家族にアカウントがバレた!

ーーバズったことで困ったこと、嬉しかったことはあった?

困ったことは家族にアカウントがバレました(笑)。バズりすぎて家族のアカウントにまで回ってきたとのことです。仕事の面もあるので開き直るっきゃないと思いました。

(自分の)作品の宣伝をした際にはファンの方からバズってくれて嬉しいなどのお声を頂いたり、購入した・これ知ってる・これ好きなどのコメントもいただけて大変嬉しかったです。


ーーバズった前後で何か変化したことはある?

フォロワー数がいっきに増えましたが、趣味趣向に関係ないツイートでバズったので、あまり影響はないです(笑)。

発見から10日目(8月17日)右は生えてきている根本。根本も太くなっている
発見から10日目(8月17日)右は生えてきている根本。根本も太くなっている

ーーではバズったことで、ツイートすることに対する意識は変化した?

自分ではあまり変わったと思ってはいませんが、処理までは毎日観察画像をアップしました。家族にアカウントがバレましたが、開き直ったので変化は無いです。変わらず趣味全開でつぶやいています。
 

発見から11日目(8月18日)葉の数も多くなってきている。
発見から11日目(8月18日)葉の数も多くなってきている。

業者の方に処理してもらいました

ーー植物の正体が「ゾンビのような生命力の持ち主」と分かった時はどう思った?

家族とは「怖いねー早く取りたいねー」なんて話していました。


ーー毎日徐々に成長していく様子をどう思いながら見ていた?

葉っぱの形状としては結構好きな部類でしたが、成長が本当に早くて、植物の怖さを日々感じていました。

発見から13日目(8月20日)ツルはとどまることを知らずに伸び続けている
発見から13日目(8月20日)ツルはとどまることを知らずに伸び続けている

ーー現在、その植物はどうなった?

(出てきている部分を)業者の方に処理してもらい、しばらくの間は生えてきた箇所に除草剤をぶっかけ続けたので、すっかり見る影もないです。


ーー完全駆除はできず、今後も付き合っていかないといけないことに対してはどう感じている?

そもそも植えなければこんなことには…と思うばかりです…。植えたら最後。

発見から2週間(8月21日)処理してもらった直後
発見から2週間(8月21日)処理してもらった直後

ーー改めて、ノウゼンカズラという植物をどう思う?

当時はノウゼンカズラを調べたりしたのですが、花は愛らしく色味も明るくて、植えたくなる気持ちもわかります。実際に「先日植えました!」「実家の庭の~」「ご近所の庭に~」などのツイートが散見されていて、植えてしまう人は我が家以外にもいるんだなーと…。


ーーないことを祈っているが、また生えてきた時はどうする?

また同じように処理して除草剤ぶっかけ続けるしかないですね。

生えてきた天井隅の現在の様子(11月末提供)
生えてきた天井隅の現在の様子(11月末提供)

次は趣味趣向の関連でバズりたい

ーー今回の投稿のように、またバズってみたいという気持ちはある?

バズれるならば、とは思います。もし次バズるならば、趣味趣向の関連でバズりたいですね(笑)。


ーー今後、初めてのバズりを迎える人にアドバイスするなら?

バズると結構なとこまで(ツイートを)遡って見られるから、困るようなものは消しておくんだゾ!身内にアカバレしたらもう腹を括りましょう。

 

植物が生えてきていた壁の現在を見ると、少しだが植物が出てきた形跡が残っている。この様子を見てアシガル丸さんは「もう生えてきてほしくないですね…」と話した。

専門家がゾンビと例えた強い生命力を持つノウゼンカズラ。冬の間は大人しくしているそうなので、夏にどうなるのかが心配だ。続報がないことを願いたい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。