衆院選では、自民党が絶対安定多数を獲得し、11月10日、第2次岸田内閣が発足した。有権者は、岸田内閣をどう評価しているのか。

FNNは、11月13・14日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1046人から回答を得た。

岸田内閣支持63.2%…「他によい人がいないから」

岸田内閣に関する世論調査は、第1次内閣の発足直後の10月9・10日に行って以来、2回目だ。

今回、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、先月と変わらず63.2%。「支持しない」と答えた人は27.4%。衆院選後も、好調な支持率を維持していることがうかがえる。

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岸田内閣を支持する人にその理由を聞くと、「他によい人がいないから」が最も多く、36.3%。次いで「自民党中心の内閣だから」(22.4%)。さらに、「実行力に期待できるから」(21.5%)、「岸田首相の人柄が信頼できるから」(14.0%)、「政策がよいから」(4.8%)と続いた。岸田内閣の政権運営に対する評価は、まだこれからのようだ。

期待する政策  「景気・雇用」対策がトップに

岸田内閣に取り組んでほしい政策を2つ選んでもらったところ、以下の結果となった。()内の数字は、前回10月調査の結果だ。

景気や雇用 42.3%(36.5%)
年金・医療・介護 36.3%(32.5%)
新型コロナウイルス対策 35.3%(47.9%)
子育て支援・少子化対策 25.5%(25.2%)
行政改革・財政再建 17.3%(15.0%)
環境・エネルギー政策 16.2%(12.1%)
外交・安全保障 13.5%(16.2%)
憲法改正 7.7%(7.6%)

10月の調査では「新型コロナウイルス対策」が最も多かったが、今回、「景気や雇用」が、新型コロナ対策を抜いてトップとなった。このところ感染状況が落ち着いていることなどが背景にあると思われる。

経済・コロナ対応を評価6割 10万円給付では評価割れる

成長と分配を掲げる岸田首相の経済政策に「期待する」は59.3%、「期待しない」は36.6%。

政府の新型コロナウイルス対策を「評価する」は59.9%、「評価しない」は35.1%。

さらに、政府が来月から始める方針の新型コロナワクチンの3回目の接種について、「接種したい」70.9%、「接種したくない」23.1%となった。

岸田内閣が進めるコロナ対策、経済政策への評価や期待がうかがえる。その一方で、評価が割れる政策もあった。

政府与党は、18歳以下の子どもに対し、親の年収が960万円未満なら、現金・クーポンあわせて10万円相当を給付することを決めた。これについて質問したところ、

適切だ 19.6%
所得制限を設けず一律に給付すべきだ 16.9%
所得制限を引き下げるべきだ 27.1%
子どもに限った給付は必要ない 33.7%

給付が適切だという人は2割弱にとどまり、子ども限定の給付は必要ないという人から、所得制限を下げて対象を絞るべきという人、所得制限をつけず全員に給付すべきという人まで、意見が分かれた。

また、観光支援事業「GoToトラベル」の再開については、「賛成」59.5%、「反対」36.4%との結果になった。

維新が政党支持率で立憲を抜き2位に

今回注目すべきは、政党支持率だ。以下が各党の支持率だ。()内は先月の調査の数字だ。

自民党 40.2%(45.3%)
日本維新の会 11.7%(2.6)
立憲民主党 9.0%(6.4%)
共産党 3.6%(2.5%)
公明党 2.9%(2.4%)
国民民主党 1.9%(0.5%)
れいわ新選組 1.5%(0.3)
社民党 0.4%(0.3%)
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で 0.4%(0.1%)
支持政党なし 26.5%(37.1%)

日本維新の会は、政党支持率を先月より9.1ポイント増やし、立憲民主党を抜き、自民党に次ぐ2位となった。

10月の衆院選で維新は、11から41と議席を4倍近く伸ばしており、その勢いが続いているようだ。

立憲・共産の共闘「続けない方がよい」55.9%

衆院選の議席減を受けて枝野前代表が辞任した立憲民主党。小選挙区での候補者一本化など、共産党との共闘が衆院選の敗因の一つと指摘されている。

世論調査では、立憲・共産の共闘を「続けた方がよい」と答えた人が33.2%なのに対し、「続けない方がよい」という人は55.9%と半数を超えた。

これを支持政党別に見ると、共産党を支持する人では、84.7%が共闘を続けることを望んでいた。

一方、立憲を支持する人では、「続けた方がよい」48.6%、「続けない方がよい」48.3%と、共闘賛成と反対が拮抗している。

枝野氏の後任を選ぶ立憲の代表選では、来年の参院選に向けた共産党との関係が大きな争点となりそうだ。

憲法改正の行方は

衆院でのいわゆる改憲勢力、自民・公明・維新・国民民主の4党の議席は、現在347議席。憲法改正の国会発議に必要な衆院の3分の2(310議席)を上回っている。維新と国民民主は、立憲・共産などの野党と一線を画し、憲法改正の議論に積極的だ。

世論調査で憲法改正について聞いたところ、「賛成」が55.5%と半数を超えた。「反対」は33.9%だった。

岸田首相も、憲法改正に積極的な姿勢を表明しており、今後、憲法改正を巡る動きが出てきそうだ。

(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)

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日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
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三嶋唯久
三嶋唯久

フジテレビ報道局政治部編集委員・解説委員。神戸市出身。細川政権から政治取材をスタート。
政治討論番組「新報道2001」のプロデューサーやFNN世論調査なども担当してきた。