10月4日に発足した岸田文雄内閣。世論は、新内閣をどう受け止めているのか。
FNNは、10月9・10日の両日、全国の有権者を対象に電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1016人から回答を得た。
その結果、岸田内閣の支持率は63.2%。9月菅前内閣の支持率から20ポイントあまり上昇し、順調なスタートを切った。この背景には何があるのか。
支持率63% “岸田丸”は順調な船出
まず調査の結果を詳しく見てみよう。
世論調査で、岸田内閣を支持する人は63.2%、支持しない人は27.4%。
菅前内閣で最後に実施した9月18・19日の調査で、内閣支持率は42.3%だったので、支持率が20.9ポイント上昇したことになる。
FNNの世論調査では、内閣支持率で明確な答えがない場合、「どちらかと言えばどうか」と重ねて尋ねているので、支持・不支持ともに高めの数字が出やすいが、63.2%は好調な数字と言える。
これを自民党支持層で見ると、内閣支持率は85.4%。一方、「支持政党なし」の人に限って見ると、岸田内閣を支持する人は45.7%。無党派層にも一定の支持を得ていることがわかる。
支持する理由トップは「他によい人がいない」
それでは、なぜ岸田内閣を支持するのか。岸田内閣を支持すると答えた人に、その理由を聞いた。
他によい人がいないから 35.2%
自民党中心の内閣だから 20.3%
岸田総理の人柄が信頼できるから19.5%
実行力に期待できるから 18.5%
政策がよいから 4.9%
「他によい人がいない」がトップで、「政策がよい」と答えた人は5%に満たなかった。
岸田内閣の顔ぶれについては、どういう評価なのか。
岸田首相は、自民党総裁選に立候補した時から、中堅・若手を登用する方針を打ち出し、自民党の役員人事や組閣で若手を起用した。しかし、世論調査では、岸田内閣で、中堅若手の登用が「実現していない」と思う人が49.5%と半数近く、「実現している」と思う人は34.8%だった。
それでも、岸田内閣に「期待している」人は60.8%と6割を超え、「期待していない」人は35.3%だった。
高い支持率は、首相の顔が変わったことによる、ご祝儀相場と思われる。
ただ、それだけではなく、新型コロナウイルスの感染状況が改善していることも影響しているとみられる。
支持率の背景にはコロナの状況も
政府の新型コロナウイルス対策を「評価する」人は56.9%と、9月の調査から14.4ポイント上昇した。「評価しない」人は36.0%だった。
また、ワクチン接種について、「順調に進んでいる」と思う人は73.8%と、これも9月の調査から18.5ポイント増えた。「順調に進んでいない」は23.9%だった。
このところ、新規感染者数は、一時期と比べ大幅に減少している。緊急事態宣言も解除された。ワクチンの総接種回数は1億7200万回を超えている(8日現在)。
支持率が好調な背景には、コロナの感染状況の改善もあるとみられる。ワクチン接種に取り組んできた菅前内閣の“遺産”を引き継いだ形と言える。
期待される岸田氏のコロナ対策 感染防止か経済再開か
岸田内閣に取り組んでほしい政策を聞くと、「新型コロナウイルス対策」がトップで、「景気や雇用」、「年金・医療・介護」と続いた。(選択肢から2つ選択)
新型コロナウイルス対策 47.9%
景気や雇用 36.5%
年金・医療・介護 32.5%
子育て支援・少子化対策 25.2%
外交・安全保障 16.2%
行政改革・財政再建 15.0%
環境・エネルギー政策 12.1%
憲法改正 7.6%
そのコロナ対策について、岸田内閣に、感染拡大の防止、経済活動の再開のどちらを期待するか聞いた。その結果、「経済活動の再開」を期待する人が50.2%と、「感染拡大の防止」を期待する人の45.4%を上回った。
さらに、ワクチンの接種証明などによる、飲食店やイベント、旅行などの行動制限の緩和については、賛成が71.0%、反対が25.6%。賛成が7割を超え、行動制限の緩和への期待感がうかがえた。
衆院選で与野党の議席は?
一方、今月行われる衆議院選挙について、与野党の議席がどうなってほしいか聞いた。その結果、「今のままがいい」が36.5%、「野党の議席が増えた方がいい」が35.9%と拮抗し、「与党の議席が増えた方がいい」という人は22.1%だった。
衆議院選挙の比例代表で、どの政党に投票しようと思うかについても聞いた。
自民党 39.1%
立憲民主党 9.5%
公明党 3.6%
共産党 3.2%
日本維新の会 3.4%
国民民主党 1.0%
社民党 0.6%
れいわ新選組 0.4%
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で 0.1%
投票には行かない 3.2%
わからない・言えない 35.0%
自民党が39.1%、立憲民主党が9.5%などとなったが、現時点で「わからない」と言う人も35%だった。
岸田首相は、14日に衆院を解散する方針で、衆院選は、19日に公示、31日に投開票が行われる。岸田内閣の支持率が衆院選にどうつながっていくのか、注目される。
(執筆:フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)