福岡に出されている緊急事態宣言。「自粛疲れ」などで、人流の抑制効果は薄れつつあるように見える。
そうした中、北九州市門司区から近い山口・下関市では、いわゆる“越境飲み”をする人の姿があった。

緊急事態宣言下の街には大勢の人

8月28日、土曜日の福岡市・天神。8月最後の週末を迎えた。
福岡県内には4度目の緊急事態宣言が出されているが、福岡市の天神では「自粛疲れ」もあって、大勢の人が出歩いていた。

8月最後の週末の福岡市天神(8月28日)
8月最後の週末の福岡市天神(8月28日)
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街の人:
なんか怖いっていうのは、正直あるんですけど、たまにはやっぱり出てきたいなって思いますね

街の人:
友達の買い物の付き添いで来ました。怖い面もあるので、アルコール消毒はちゃんとしています

福岡県の緊急事態宣言の発令は4度目で、宣言への「慣れ」もあって、人流の抑制効果は薄れつつあるようだ。

“宣言”の余波…海を挟んだ市場は閑散

福岡に出されている緊急事態宣言の余波は、海をまたいだ山口・下関市にも及んだ。

桜井福大記者:
美しい海に面し、豊かな海の幸が食べられることで有名な下関市の唐戸市場。毎日、多くの人でにぎわいますが、いま現在は人影はまばらです

人の姿は少ない
人の姿は少ない

福岡県から関門橋を渡ってすぐの場所にある唐戸市場。この市場では毎週末、新鮮な魚を客の前でさばき、すしを提供するイベント「いきいき馬関街」が人気を博していた。

しかし、来場者は県外からの観光客が高い割合を占めることから、感染拡大のリスクを考慮し、27日に急きょ このイベントの中止が決定された。

人気のイベントは中止に
人気のイベントは中止に

県外からの観光客:
出張で名古屋から来ました。有名な場所で、すしを握ってくれるとか、活気のある有名な市場だと思ってたんですけど…閑散としてて、ちょっとショックでしたね

県外からの観光客:
関西です、滋賀から(来ました)。閉まってて残念でした。おすしを食べに来たんですけど

「ほとんど福岡の人」“越境飲み”で生じる感染リスク

一方、下関の夜の街にもある異変が起こっていた。
いわゆる“越境飲み”だ。

緊急事態宣言下の北九州市門司区と、宣言が出ていない山口・下関市の直線距離は、わずか2.5kmしか離れていない。
酒類を提供する飲食店への休業要請が行われていない山口県に、多くの北九州市民が酒を飲みに渡っているのだ。

下関市の居酒屋「みすず」の店長・湊幹郎さんは、次のように語る。

居酒屋「みすず」湊幹郎店長:
ほとんど県外の福岡の人が多いから、感染リスクがある訳ですよね。だから、もともと閉めたかった訳ですよ

居酒屋「みすず」湊幹郎店長
居酒屋「みすず」湊幹郎店長

「みすず」では、県外、特に隣接する福岡県からの客がほとんどを占める。

福岡県から来た客:
自分は(福岡県の)遠賀ですね。久々は久々、週末だけ。向こうでは、それはできないので。あー、酔っ払った

湊さんは、店内での感染に対して不安を感じながらも、山口県からの時短要請がなく、協力金もないことから営業を続けてきた。

居酒屋「みすず」湊幹郎店長:
経営を維持するためには売り上げを上げざるを得ないということで、実際に地元の方は出てこない訳ですけども。単純明快ですよ、まず生活第一ですから

しかし、山口県は8月30日から飲食店に対する時短要請を開始し、協力金も支給する。
この山口県の対応を受けて、湊さんは協力金が支給される9月12日まで店を閉めることにしている。

店の休業を決めた湊さん
店の休業を決めた湊さん

目に見えないウイルスとの闘いが長期化する中、大勢の関係者がその対応に追われ、大きく振り回されている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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